2021.05.27

若手の入社研修で最初の課題がLinux。それを契機に多くの社員エンジニアがLinuCレベル1の認定取得にチャレンジ

株式会社ラクスパートナーズ

企業・合格者の声

#新人教育

株式会社ラクスパートナーズ
テクニカルサポート(技術教育)
西上原 聡さん

「ITに関わるすべての人たちを応援する楽楽パートナー」をスローガンに、ITエンジニアの派遣サービスを提供している株式会社ラクスパートナーズ。同社の派遣エンジニアは全員が正社員であり、オンプレ・クラウドの専門技術のエキスパートに特化した精鋭ぞろいです。また、若手社員を中心にLinuCレベル1を受験している人が多く、合格者はさらに上級の資格に積極的にチャレンジしています。同社の人材育成の取り組みや資格に対する考え方などを、技術教育担当の西上原 聡さんに伺いました。

技術分野に特化したエンジニアを正社員として育成

----御社の派遣エンジニアは、全員が正社員だと伺いました。いわゆる登録型派遣とは異なり、雇用が安定していて教育にもじっくりと取り組める点は、正社員ならではの利点だと思いますが、そのあたりも含めて、御社のエンジニア育成についてご紹介ください。 

当社ではクラウドインフラの専門技術に特化した IT技術者の派遣を行っています。人材育成は24~28歳までの第2新卒までの若手を対象に、入社後はまず3か月間の研修カリキュラムでみっちりと教育を行います。

研修カリキュラムの特徴としては、座学だけではなく課題解決型学習として、基礎から演習までをセットにした実践型のメニューを用意しています。

当社が求めている人材像としては、「自走力の高いエンジニア=自発的な学習意欲を持っている」が挙げられます。IT業界は変化も競争も激しいので、その中で自分なりにいろいろな課題を見つけて、そこに取り組んでいける学習意欲の高いエンジニアを求めています。

----IT人材というと、経済産業省が警告している「2025年の崖」問題があります。正社員としてエンジニアを育てる背景には、そうした人材不足に備えて優秀なスタッフを確保しておくねらいなどもあるのでしょうか。

それも、もちろんあります。そこを見据えてエンジニアの採用数も5年後、10年後にどれくらいの人数を確保するかの計画もすでに立ててあり、今後人数が増えていくエンジニアに対してどのように教育や育成を行うかは、当社にとって将来に向けた重要な経営課題と位置づけられています。

自己学習意欲の高い社員が最初の目標にするLinuC

----西上原さんの役職は「テクニカルサポート(技術教育)」とありますが、研修のカリキュラム策定や実施以外には、どんな教育・育成の施策が用意されていますか。

たとえば、派遣先で技術的な課題につき当たったエンジニアからヘルプ要請が来ればサポートする。キャリア的な悩みがある人には、1on1で話を聞いたりといった対応も行います。またそれらの課題が教育で解決できると判断すれば、研修を受けさせたり、資格取得を勧めたりといった指導も行っています。

さらに若手のキャリアパス設計などは人事課と連携したり、CS(キャリアサポート)と呼ばれるエンジニアの悩みやキャリアの相談を受ける専門チームなど、社内の各関連部署と柔軟に連携しながら課題解決にあたっています。単なるエンジニア育成というよりは、当社の HRM(人材マネジメント)に関わる人たちと協力しながら、さまざまな課題解決に取り組むというスタンスですね。

----そうした技術教育指導の立場から、御社のLinuCレベル1 Version 10.0の受験者が多い理由をどうご覧になっていますか。

研修ではLinuCという資格があることは話しますが、 特に認定取得を指示するといったことはしていません。考えられる理由としては、もともと当社では自走力が高く自発的に自己学習に励めるエンジニアを採用しているため、入社後の研修期間を含めて自己学習に非常に熱心に取り組む人が多いのです。

加えて、研修で最初に学ぶのが Linuxであり、その重要性も詳しく説明するため、自分の最初の目標としてLinuxの資格取得を考えるのではないでしょうか。当社の資格支援制度にLinuCが含まれているのも、追い風になっています。この支援制度は、LinuCを始めCCNAやJava、Oracleや AWS、機械学習関連などの各資格が対象で、受験費用の全額負担はもちろん、合格した資格のレベルに応じてお祝い金が支給されます。

----そこで資格を取得すると、やはり自走力の高い若手社員としては、さらにステップアップを目指す方も多いのですか。

資格というのはある技術に関して一定のレベルを達成している証になるので、ステップアップの目標設定としては非常に有効です。ですから最初の研修修了後、AWS分野に進む人はAWS の関連資格を目指すし、Linuxを手がける現場に配属された人は、より上位であるLinuCレベル2、レベル3の取得を目指したり、一層専門的であるLinuxのカーネルチューニングやパラメータチューニングについて学ぶなど、自分のキャリア指向に合わせてスキルを高めていくケースが多いですね。

LinuCはクラウド時代のLinux技術を網羅した試験

---- 西上原さんご自身も、長いキャリアをお持ちのエンジニアですが、現在のLinux やLinuCをどうご覧になっていますか。  

まずLinuCですが、資格認定の対象として押さえている範囲が、かなり実務に沿ったものになっていると感じます。特に LinuCレベル1 Version 10.0では、基本から応用まで本当に実務で使えそうな部分が試験範囲として網羅されています。クラウドの実務に即した仮想化やコンテナ化なども積極的に採り上げていて、これからLinuxの分野で活躍したい若手エンジニアには必須の知識を問う試験との印象を受けました。

----そうしたご評価を聞いて、LinuCレベル1 Version 10.0を受けてみようと考えた若い受験者に、何かアドバイスをいただけますか。

これはLinuCに限りませんが、資格の勉強の中には座学中心で暗記だけで取れるものもあります。しかし、やはり自分で手を動かして勉強しないと、現場で使える技術は身につきません。資格は答えの暗記が目的ではなく、あくまで自分が進みたいジャンルや技術について、体系立てて学習する手段です。そこを意識した上で、自分で手を動かしてみて、納得できるまで学ぶことをお勧めします。

当社でも入社直後の研修では、会社でAWSのEC2などを用意して、自分でコマンドを打ってみたり、簡単なサービスの構築を経験させています。それ以外にも、自分のPCにOracle VM VirtualBoxを入れてLinuxを動かしてみたり、中には個人でAWSを契約して自分の学習環境で使っている人もいます。人によっていろいろですが、ぜひ自分で体験して、肌感覚で理解する体験を大事にして欲しいと思います。

----資格を取ろうと考える際には、その技術の将来性も大事な判断材料です。ラクスパートナーズのビジネス戦略からみても、Linuxという技術は、この先も重要なプラットフォームの一つと位置付けられていくのでしょうか。

そもそもLinuxは現在いたるところに使われ、本当になくてはならない技術です。もっとも現在の仮想化とかコンテナ化とか、またパブリッククラウドの浸透でPaaSなどのサービスのOS 部分がマネージドなものになると、OSの部分がブラックボックス化してしまい、その結果Linuxを知らない人でもアプリケーション開発が可能になるケースも出てきています。

しかし一方ではマイクロサービス化が進んでいくと、システムがどんどん複雑化していきます。そこで、いざトラブルや性能問題が発生した時に、Linuxの知識があるかないかで問題解決のスキルに大きな差が出てくると私は考えています。だからこそ当社では、プロフェッショナルとしてLinuxを学ぶ重要性を認め、研修の中で真っ先に採り上げるのです。

Linuxの基礎知識を学んでエンジニアの「筋力」を鍛える

----これから資格を取って、より条件の良い就職・転職を目指すとか、収入を挙げたいと考える方々に、Linuxの技術や資格がなぜアドバンテージになるのかを、企業の技術マネジメントの立場からお聞かせください。

さまざまなオープンソースのソリューションがありますが、これらのベースはほとんど Linux で開発されています。当然これらを使いこなす上で、Linuxを扱う技術は重要になってきます。Linux というのはエンジニアにとって本当の意味で基礎となるもので、若手にはよく『大工さんならカナヅチの使い方を学ぶくらい大事なこと』であり、最初にしっかり学習しておくべきだとアドバイスしています。

また現在、さまざまなITの技術情報がWeb上に公開されていて、新しい技術を学ぶ場合の学習コストも、昔に比べるとかなり抑えられています。とはいえ、これらの膨大な情報を効果的かつ効率的に理解し吸収するには、しっかりした基礎力が身についていないとなかなか深いところまで理解できません。自分の学習の「筋力」を鍛えるためにも、Linux の基礎的な知識はつけておくべきだと思います。

----私たちLPI-Japanとしても、Linux を学ぶ皆さんの体力強化に大いに LinuCを活用していただきたいと願っています。本日はどうもありがとうございました。


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