2018.11.12
若手エンジニアは自らのチャンスのために。ベテランはチームのモチベーションアップのために。LinuCを持つべき
株式会社セントメディア
システムインテグレーション事業部 事業部長
藤村 五博(ふじむら いつひろ)さん(写真右)
目次
セントメディアにとって初めてのIT事業への進出
セントメディアのシステムインテグレーション事業部は、インフラ基盤の設計・構築からソフトウェアの開発サービスまでを提供することにプラスして、その発展形として自分たち独自のサービスや事業を創出することを目指して、2014年に新設されました。これまでウィルグループの中核会社として人材ビジネスを手掛けてきたセントメディアにとって、初めてのIT事業への進出でした。
システムインテグレーション事業部は、当初ITインフラ構築の専門部隊として立ち上がった「ネットワークエンジン事業部」が前身です。多くのお客さまから高い評価をいただき、システム開発にも対応して欲しいとのニーズが高まったことから、ご期待に応えるべく2017年4月に開発部門を新設しました。
エンジニアは現在90人。ネットワークやサーバを設計・構築するインフラソリューション部に65人、基幹系システムや情報系システムを開発するシステムソリューション部には25人が所属しており、これまでの当社の主軸であった登録型派遣事業とは異なり、すべてのエンジニアが正社員で構成されています。今後も年間20人以上の計画でエンジニアを増やしていく予定です。
「経験よりもちょっと上の仕事にアサインし続ける」ことがエンジニアをスキルアップさせる
インフラ系のエンジニアは、大きくネットワークとサーバに担当が別れています。ネットワーク担当の仕事のほとんどは、ルータ、スイッチ、ファイアウォール、ロードバランサーなどの設計です。
しかし、全員が最初から設計ができるわけではありません。たとえば監視オペレーターしかやったことがない社員が、ファイアウォールの設計をするとなっても最初は役に立ちません。しかし、それぞれのエンジニアの伸び代を想定した配置と、先輩社員とを組み合わせることによるOJTによって、半年経った頃にはお客さまからも「がんばってるな」といわれるぐらいに経験値が上がります。
私は、今の実力だけでなくひとり一人の伸び代に期待して、つねに「実際の経験よりもちょっと上の仕事にアサインし続ける」ことが、もっともエンジニアをスキルアップさせると考えています。
そして、次に重要なのが先輩や仲間の存在です。出向先で一人だけなら心が折れることも、先輩や仲間が一緒であればアドバイスをもらったり、助けてもらえたりします。先輩はリーダーであるとともにメンターの役割りも担うのです。そのため当社では、出向先にひとりでは出さず、リーダーと若手を組み合わせ、必ず2人以上で出向するようにしています。
この考え方は、理論としてメンバーにも伝え、理解してもらっています。もちろん、個々の成長スピートは異なりますから、ちょっと無理かな感じたときは、少しレベルを下げた案件へと転換します。また、出向期間が長すぎると技術面での偏りが生じますので、長期案件については出向社員をローテーションさせてスキルバランスを保つようにしています。
LinuCレベル2以上が当社のスキル基準
ネットワークやサーバなどインフラ担当のエンジニアにとって、Linuxの知識とスキルは必須です。一部Windowsもありますがレアケースですし、Unixにいたってはゼロです
システム開発においても、やはりLinuxの知識は必要です。メインで使われるのはJavaや.NET等ですが、そもそもアプリが乗るサーバのほとんどがLinuxだからです。
そのため当社では、さまざまな推奨資格の中でもLinuxの技術認定資格「LinuC」の取得に特に注力しています。サーバ系の社員には、採用面接の際にLinuCレベル2までを取得することが当社のスキル基準であることを伝え、推奨しています。
現在、事業部に所属する社員90人のうち44人が、LinuCのレベル1およびレベル2の認定資格を取得。仮想化などさらに難易度が高いレベル3も9人で15認定を取得しています。
新たに入社した社員は、配属前の一ヶ月間、社内での勤務があります。Linux未経験者は、法人向け研修サービスの1ヶ月間の資格取得コースを利用して、この間にLinuCレベル1の101試験の合格(レベル1の認定)を目指します。
Linux経験者でLinuCを取得していない社員に対しては、この一ヶ月の間にすくなくともLinuCレベル1の101試験に合格、余力があれば102試験にも合格をめざすよう指導しています。とくに研修や指導はしませんが、社内ではノウハウもあり、勉強用のテキストや実機、Ping-t WEB問題集のアカウントも用意されていますので、本人のペースやスタイルで試験の準備ができるようになっています。
インフラ系エンジニアならチャンスを逃さないためにもLinuCを持つべき
1年前、当社のインフラ系エンジニアの平均年齢は35.3歳でした。少し高めですね(笑)。しかしこの背景には、5年前のシステムインテグレーション事業部設立当初の事情があります。
当初、事業部は20人のエンジニアを採用してスタートしたのですが、そのとき選考の条件としたのが「経験の豊富さ」でした。これら30代後半から40代のベテランといわれる実力ある人材は、資格があろうとなかろうと、実践を積み上げてきた実力者です。
そして、今月(2018年9月現在)、若手が大勢入社してきたため、平均年齢は30.3歳と大きく下がりました。今後も平均年齢をこのレベルにキープすれば、事業部を構成するエンジニアのほとんどが若手となるはずです。
LinuC(Linux技術者認定資格)を取得することの最大のメリットは、エンジニアが自分のスキルを示せることにあります。とくに経験の浅い若手のエンジニアほど、キャリアアップの機会を得るために資格を持つべきだと私は思っています。未経験の場合、資格の効果はさらに顕著です。実績を示せない場合でもLinuCを取得していれば仕事のチャンスが生まれます。
一方、ベテランエンジニアは別の意味でLinuCを取得しています。たとえば、先月、LinuCレベル3に3人が合格しましたが、彼らはそれぞれのチームのリーダーで、ベテランとしてさまざまな資格をすでに取得し、専門分野も持っています。当然のことながら、彼らは一発で合格したのですが、いまさらあえて資格を取らなくてもいいじゃないかと思える人たちがLinuCを取得するのは、チーム全体をスキルアップさせるためです
リーダーがLinuCを自ら取得し、その背中をメンバーに見せることで、チームの資格取得に対するモチベーションも上がります。そして資格を取得できて当たり前という環境が出来上がれば、置いていかれまいとして切磋琢磨します。
当社のLinuC取得への指導は、顧客にもだいぶ知られるようになってきました。その評価や期待に応えるためにも、今後も平均年齢を若く保つ一方で、資格取得との相乗効果によって、当社のエンジニア全体のスキルを向上させていきたいと考えています。
出向だからこそ、成長する機会を与えることが重要
個々の社員に対しては、自分のキャリアに対して成長意欲がある人、向上心がある人がもっとも嬉しい人材といえますね。一方で事業部の統括責任者として組織全体のレベルを上げていくのは私の仕事です。そのためには、社員ひとり一人に成長する機会を与えなければなりません。それが資格取得の指導であったり、成長に合った仕事のアサインであったりします。こうした組織のレベルアップを、今後も慎重に、かつ大胆に進めていくつもりです。
さらに日常的なモチベーションアップのために、グループ会社の社員との交流の場も積極的に作っています。当社が属するウィルグループは、毎年150人以上が入社してくるため、平均年齢も若く、元気で、活気ある雰囲気にあふれています。サークルは30以上あり、イベントや研修も多く、グループの社員であれば誰でも参加が可能です。当事業部のインフラのメンバーも部長の方針で全員がいずれかのサークルに入っています。出向先の仕事に支障ないようスケジュールを調整しつつ、これらに積極的に参加させることで、日常では経験できない交流やグループに対する帰属意識を保つことができるのです。
LinuxOSの進化とともに更新しつづけるLinuCはインフラ系エンジニアにとってマストな資格
ビッグデータやAIにかかわる技術の需要が急激に増大していますが、だからといってサーバ系エンジニアの重要性が変わるものではありません。環境がクラウドに移行しても、仮想サーバへと仕事のステージが移るだけです。
一方、ネットーワーク系エンジニアについて「自動化」などで需要が減るのではないかという人もいますが、そんなことはありません。むしろ、さらにスピードアップとセキュリティ強化が求められるため、既存のネットワークはどんどん更改されていくはずです。
つねに自らが進化できなければ、IT企業として継続することはできません。
我々が今後やるべきことは、次に求められるであろう新たな技術の習得です。
その意味でLinuCは、LinuxOSの進化とともに更新しつづけるLinux技術者認定資格だといえます。
すくなくとも日本においてLinuCは、他の資格より圧倒的に認知され、SIer業界から高く評価されています。ITエンジニアにとってもLinuCは、自身が成長する機会を得るために有用な資格だといえます。インフラ系、とくにサーバ系の人にとってはマストな資格ではないでしょうか。
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