2020.08.28

LinuCは技術者のLinux知識の向上と体系的なスキルアップを「持続」させる

株式会社日立ソリューションズ東日本

企業・合格者の声

#合格者インタビュー

株式会社日立ソリューションズ東日本
公共ソリューション本部 公共ソリューション第四部 技師
岩松 宏武(いわまつ ひろむ)さん

多岐にわたる業務の中でLinuxを触らない日はない

株式会社日立ソリューションズ東日本は、1984年日立製作所の直轄関連会社「日立東北ソフトウェア株式会社」として設立しました。以降、2012年に日立ソリューションズグループに編入し、2013年に現在の「株式会社日立ソリューションズ東日本」に商号を変更しました。日立グループの一翼として、東北および北海道地区の製造・流通・金融・公共分野のSE業務と営業業務を担っております。

その中で私が所属する公共ソリューション本部は、北海道・東北地区の自治体・公共関連分野のSI事業、計算科学分野(スパコン、クラウド)・文教分野のSI事業、京浜地区の自治体・官公庁分野の業務開発・インフラ構築事業を展開しています。私自身はこれまで、創薬分野でのソフトウェア開発や検証データの研究支援、通信分野の転送ライブラリの開発、鉄道分野のミドルウェアの設計・構築、電力分野のシステムの運用設計、交通分野のシステム構築、医療・保険分野のシステム構築・運用など、多岐に渡る分野でシステムの開発・構築・運用業務にあたってきました。

私がLinux技術者認定の取得に至ったそもそものきっかけは、2009年の入社当初、日立グループ研修でバウチャー(受験)チケット付きのLinux資格対策講座を受講したことでした。その背景には、私にとってLinux(Unix)が、情報システムを専攻していた学生の頃から慣れ親しんでいたOSであったことに加えて、実業務で触れることが多い、必須OSであることが挙げられます。

当時のLinux技術者認定には「LPIC」があり、この対策講座を受講して2010年に取得したLPICレベル1が初めてのLinux技術者認定となりました。その後数年間は、担当業務に直結する日立系の資格や情報処理技術者試験に集中しましたが、2018年に新たなLinux技術者認定としてLinuCの試験が開始されてからは、認定取得に向けて取り組みを再開し、現在までにLinuCレベル1LinuCレベル2、およびLinuCレベル3を取得しました。

運用を想定した試験問題が多く、実務や経験値が大きく反映されるLinuC

私が初めてLinuCを取得したのは2019年の6月でした。5月から勉強を始め、LinuCレベル1の101と102をそれぞれ2週間ほど勉強して、約1ヶ月でLinuCレベル1を取得することができました。

その後、情報処理技術者試験の資格取得を目指して一時中断したのですが、それが落ち着いた2019年の11月からLinuCレベル2の201と202を取得すべく勉強を再開しました。2020年1月に取得したレベル2の201では、カーネル部分での実機経験が足りなくて全体を理解するのに苦労しました。しかしながら、入社後約10年間の実業務で携わった内容が試験範囲に多く含まれていたため、実務経験がかなり役立ったと感じています。

とはいってもレベル2の難易度がかなり高いのは事実です。特にミドルウェアが数多く試験範囲に含まれているレベル2の202は、私にとっては難関でした。試験範囲に含まれるミドルウェアはそれぞれのパラメタが似ているだけでなく、実際の運用を想定した、詳細な設定値まで試験範囲に含まれていたからです。ミドルウェアの設計・構築の経験はあるものの、細かく一つ一つのパラメタ設定を理解していなかったため大変苦労しました。実際、3月下旬から勉強を始めて取得したのが5月下旬と、取得までに約2ヶ月かかりました。

むしろ苦労することなく取得できたのはレベル3の300です。自分の得意分野であるSambaが主な試験範囲なので、2週間ほどの勉強で6月中旬に合格することができました。しかしながら、Samba3系の経験がなく、NTドメインのイメージが湧きづらかったことは否めません。300の試験範囲にはOpenLDAP、PAM、NSSも含まれているため、各技術を統合してLinuxとWindowsが混在する大規模なシステムを設計・構築するスキルの習得に繋がったと考えています。

これらの体験から、LinuCの試験には全体として実際の運用を想定した試験問題が多いため、コマンド丸暗記では通用せず、技術の本質を理解することを問われる認定試験だと感じました。特にLinuCレベル2以降の難易度は、座学による知識以外にも個人の実務や経験値が大きく影響するのが特徴だと思います。

試験勉強のプロセスそのものが自分をスキルアップしてくれる

実務や経験値が大きく影響する一方で、経験だけでは知識やスキルに“ムラ”が生じることもあります。Linuxのコマンド等は実機を操作すれば覚えられますが、さらにこれを業務で活かすためにはLinux全般の知識向上と体系的なスキルアップが必要です。その点、現場経験とLinuCの取得を合わせることで、現場に即応できる高度なスキルだけでなく、広く体系的な知識を身につけることができます。

座学面で私がとった勉強法は、個人PCでCentOS7系のサーバを構築し、実機を交えて習得する方法でした。参考書としては、「小豆本」、「黒本」、「スピードマスター」を使用し、さらに知識の底上げを図るために認定試験の学習サイト「ping-t」も併用しました。ping-tは実運用を想定した問題が含まれているため、試験勉強の総仕上げに向いています。また、参考書は1日30ページ読み、ping-tは1日50問正解することをノルマにし、必ずクリアして日々のモチベーションを保つようにしていました。

試験に合格して認定を取得することが大前提ですが、実はこれらの試験勉強のプロセスそのものが、かなり自分をスキルアップしてくれます。私自身、勉強した分だけ自身の知識として定着するのが実感できましたし、それが好循環となってモチベーション高く、認定取得への取り組みを進めることができました。

今後の資格取得目標は、2020年度内にLinuCレベル3の304(仮想化、クラスタ)、2021年度内には303(セキュリティ)を取得したいと考えています。私が習得したい技術は304の内容と多く重なっていますし、セキュリティを考慮した高度な設計ができるようになりたいため、ぜひとも目標を達成したいですね。

業務においては、昨年度「技師」に昇格しました。「技師」は主任クラスであり、現場のリーダーというポジションになります。これは日立グループ独特の呼称ですが、新たなブロジェクトへの参画とともに「技師」に昇格したことで、自分の中でもかなり意識が変わったと感じています。今後の業務目標は、インフラ全般の技術を習得・向上させて、将来的には大規模インフラ構築案件を推進し、事業貢献できるITスペシャリストを目指したいと考えています。

Linuxの最新情報を取得しつつ技術のスキルを向上させる上でお勧めしたい認定

当社では、取り扱う事業範囲が広いため、SEにとって普遍的な情報処理技術者試験の資格取得の取り組みがあり、部署単位でも多数の取り組みがなされています。LinuCに関しては、昨年度まで全社単位での取り込みがなかったのですが、Linux知識の習得、スキル向上、および社員のモチベーション向上に貢献する認定資格として私が推薦しました。それが実って2020年4月から「認定取得者表彰」という形で会社が一時金を支給し、LinuCの認定取得を奨励・後押しする制度の対象になりました。私自身も現場で一緒に業務をしているメンバに対して勉強会を開き、日常的にスキルアップを図るべくLinuxの技術指導を行っており、今後、社内でLinuC の取得を推進するつもりです。結果として、全社単位でのLinux技術者のスキルアップに繋げたいと考えています。

LinuCの取得は、Linux全般の知識が向上するとともに、対外的にスキルをアピールできる点が大きなメリットです。実際、私が入社して以来、担当業務を振り返ってみても、低コスト・汎用性の高いOSSを採用する案件が増えており、それとともにLinux環境でのインフラ構築案件もますます増加し、日々、新たな技術も更新されています。これまでLinuCの取得を通して学んだことは、全て私の仕事で役立っています。また、知らない製品を担当する際もベースとなるLinuxの知識と技術が向上したおかげで幅広く対応できるようになりました。

そうした観点からもLinuCは、Linuxを扱う方、これから初めてLinuxを担当する方全てに対して、Linuxの最新情報を取得しつつ実践的なスキルを向上させる上でお勧めしたい認定試験です。Linux未経験の方にはまずレベル1に挑戦していただきたいですし、Linuxの経験がある方は、レベル1はマストとしてレベル2とレベル3を取得して欲しいと思っています。

また、LinuCは全国一斉試験と違い、コンピュータベーストテスト(CBT)であり、自分のスケジュールで受験日時を決め、それに向けて自身のペースで勉強を進めることができます。試験終了とともに合否判定結果が出るため、試験サイクルにスピード感があります。そのため、業務が忙しい方にとってもモチベーションを保ちつつ、受験できる認定資格です。日本で開発・管理されている試験ですので、試験問題の意図が伝わりやすく、ストレスなく受験ができます。今年4月にLinuC Version10.0がリリースされましたが、試験範囲が従来のバージョンに比べて大きく改善されています。これからの技術者にはクラウド時代の即戦力であることを証明できるLinuCをお勧めします。


関連記事

ページトップへ