2023.08.21
LinuC技術者認定試験対策を組み込んだカリキュラムでITエンジニアの卵を育てる
国際電子ビジネス専門学校
教務部 課長
大城 全揮 先生
教務部
大城 政邦 先生
山川 こゆき 先生
情報スペシャリスト科4年
LinuCレベル1認定
國吉 晃人 氏
大城 康平 氏
目次
資格を取得するだけではなく、知識を実践で生かせるように
大城 全揮 先生
本校は専門学校ですので当然ながら資格取得に取り組みますが、資格を取得しただけでは「これができるようになりました!」にはなりません。勉強で知識を身につけることはできても、実際に手を動かすことが欠かせません。例えばプログラムを作る、サーバーを構築するなど、勉強で得た知識をどのようにいかしていくかが大事です。
当校では資格取得を通じて得た知識を実践で生かせるよう、知識と技術を身につけて送り出すことを意識して教育しています。学生はLinuC資格取得を通じてLinuxが操作できるようになり、就職活動時には誰が見てもLinux技術を習得したことを証明できます。なお学生が取得するのはレベル1ですが、カリキュラムを通じてこの先のレベル2や3などの上位資格に挑戦できる下地を作ることができると考えています。
Linuxの試験対策をカリキュラムに組み込み始めたのは2018年度からですが、制度の変更を経て、現在のカリキュラムが確立したのは2021年度からになります。2021年度の合格者は23名、2022年度は34名です。クラスは41名なので82.9%が資格を取得できました。
最初はエラーメッセージに戸惑いながら、将来はインフラエンジニアを目指す
國吉 晃人さん
Linuxの勉強は、まずカリキュラムで参考書を使いながらインストールやコマンド操作を試していきました。普段からパソコンでゲームや検索をしていたので「コンピューターの裏ではこういう感じで処理しているのか」と興味を持ちながら学習していました。
自習用に環境を構築すると、最初はエラーがたくさん出てきて、なぜエラーになるのか分からず大変でした。ネットワークなどの環境設定が不十分だったみたいです。その後でSSHコマンドで遠隔操作やファイル管理を実行すると、同じコマンドでもネットワーク設定やOSのバージョンが異なると挙動が異なったり、エラーが出ることもあり、苦戦しました。
とはいえ、エラーメッセージを検索すると、同じ問題に取り組んだ方々の体験談や解決策に行き着き、エラーを解決できるようになりました。資格取得を通じて学んだことは知識や技術だけではなく、IT技術に必要な論理的な思考力や、問題解決の基礎力が身についたのではないかと思います。例えばコマンドを実行すると、内部的にどのような処理が行われて、どのような機器に影響を与えるのかなども徐々に分かってきました。
就職活動ではLinuC資格を持つことで、Linuxの基礎技術力があると理解してもらえました。IT企業でも一次面接では(人事など)ITに詳しくない人が対応するので、Linux専門用語を使って技術力を証明するのは難しいです。しかしLinuC認定資格があればすぐ理解してもらえます。
就職先は東京のIT企業に決まりました。将来はクラウドインフラエンジニアを目指しています。DockerやKubernetesでコンテナ環境構築や、アマゾンウェブサービス(AWS)と連携するなど技術をさらに磨いていきたいです。セキュリティにも興味あります。LinuCのレベル2や3の取得も目指します。
参考書をしっかり読み返し、実機で手を動かす。試験合格で自信がついた
大城 康平さん
Linuxの勉強をするようになったのは國吉さんと同じく、カリキュラムにあったからというのと、将来進みたいインフラ分野でLinux(OS)が基礎の1つになると知ったことからです。ほかにもネットワークやセキュリティも大事だと聞いています。インフラに興味があるのは自分の性格的に裏方のような、土台を支える役が合うような気がするからです。
勉強方法は、参考書で気になるところにマーカーをつけて、当日自宅で、またはできるだけ早いうちに読み返して、理解できるように務めていました。あと「Ping-t」というサイトをよく見ました。参考になります。もちろん参考書を読むだけではなく、実機で手を動かして覚えられるようにしていました。
試験会場では試験終了と同時に結果が出るのですが、自分の予想より点数が良くてうれしかったです。それに自分よりもLinuxができる(と思っていた)友達も同時に受験していて、その人とほぼ同じ点数だったのでちょっと自信がつきました(笑)。
就職活動ではLinuC取得していることでLinuxの知識があるとすぐに理解してもらえました。勉強方法を聞かれると「まずはCentOSをインストールして……」と学校で学んだことを説明できて、いいアピールになりました。
将来はインフラ分野のエンジニアになりたいです。就職先はIT企業ではないのですが、運輸系の事業会社でインフラやシステムを担当することになりそうです。前から人が行き交う場所が好きで、そういうところで働けたらいいなと考えていました。
今はLinuCのレベル1ですが、卒業するまでにレベル2に挑戦したいです。少しずつ教科書を読んでいます。少しずつですけど。LinuCで学んだことが就職先で生かせるといいなと思います。
授業では学生に気づきを促すように指導、資格取得者100%となるようサポート
大城 政邦 先生(写真左)、山川 こゆき 先生(写真右)
LinuC試験取得のためのカリキュラムは週に4コマが4ヶ月間あり、終了後1ヶ月で受験という流れです。本校ビル内に試験センターがあるので、万が一不合格でも再受験しやすい環境です。
実習のための実機はWindowsパソコンにツールを使用して、CentOSやUbuntuなど数種類のOSをインストールして切り替えられるようにしています。最初の環境構築のハードルが高いものの、使えるようになれば壊れてもいい仮想環境なので「どんどん触りなさい」と伝えています。授業で何かを教えたら「では、試してみよう。テキストと同じ動きになるかな」と実習で確認を繰り返してすようにしています。
コロナ禍はリモートと通学のハイブリッドだった時がありますが、今ではメインは通学です。授業中に学生がエラーで困っていると、教員はできるだけ答えを言わず「どうしてだろうね?」と学生に考えを促すようにしています。ヒントを小出しにしたり、環境やスペルなど、1つひとつ確認しながら、自分で気づかせるようにしています。同じ教室で聞いている学生にとっても学びになりますし、教え合うこともできます。教室では「迷子になったらpwd!」という言葉がよく飛び交います(笑)。
授業では大城政邦先生と山川こゆき先生の2人が入ります。山川先生はCUIでとっつきにくいLinuxに興味をもってもらえるように、わざと大げさなジェスチャーで明るく楽しく「こういう感じ!」とイメージが膨らむように説明します。一方で技術者としての経験があり、専門知識豊富な大城政邦先生が技術詳細を丁寧に解説します。二人でうまくバランスをとり、いろんな生徒をサポートしています。
2022年は資格取得者が82.9%となり、いい結果でしたが、目標は全員100%となるようにこれからもサポートしていきたいと考えています。サポートは学生同士でも見かけます。合格した学生は、これから受験する学生に「これをやっておいたほうがいい」「このサイトが勉強になる」などアドバイスしていたりします。
これからLinuCを受験する方々へのメッセージ
國吉 晃人さん(写真左)
それぞれの機能がどのように繋がるのか、どのような場面で使うのかを想像しながら、実践的に学習してほしいと思います。今はクラウドやセキュリティの勉強をしているところですが、ここにLinuxの知識が役立っています。試験本番では実践的な問題が多いので、Linuxの設定や管理のコマンドを試すことをおすすめします。またPing-t問題集では苦手分野の特定やコマンド入力問題も実装されているので、こちらもおすすめです。
技術は進化し続ける一方、Linuxの基礎は変わらず必要となりますので、Linuxの基礎力があれば新しい技術にも柔軟に学習できると思うので、ぜひ頑張って資格取得を目指してください。
大城 康平さん(写真右)
LinuCレベル1の試験はコマンドの基礎が中心ですが、きちんと対策しないと落ちてしまいます。一緒に勉強していたクラスメイトのなかでも落ちてしまい、何度か挑戦した人を見てきたので「甘く見てしまうと痛い目を見る」と実感しています。しかし、しっかり対策すれば合格できると思います。
なおLinuC試験は「覚えればいい」という感覚ではなく、きちんと理解し、知識を定着させることが大事です。そして実機を使って手を動かすと、より覚えやすいのでおすすめです。頑張ってください。
このインタビューは2023年7月に行いました。
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