インフラエンジニアとは?|実は最先端のエンジニア

インフラエンジニアは、今の暮らしに必須であるITインフラを構築し整備し保守を行うという、まさに情報化社会の縁の下の力持ち的なエンジニアです。

最終更新日:2023年10月26日

インフラエンジニアって聞くとどのような仕事や役割をイメージしますか?「インフラ」なので地味な印象を与えがちですが、実は最先端の技術に触れるチャンスも多くますます求められる仕事なのです。そのインフラエンジニアに少しでも興味のある皆さんに、その魅力とどう勉強していくのがいいのかについて、ご紹介します。


インフラエンジニアとは?

そもそもインフラって何?

I Tの世界でいう「インフラ」って何だと思いますか?
実社会におけるインフラといえば道路や水道、空港など公共的・公益的な構造物を指すことが多いと思いますが、ITの世界では多くのサービスがインターネットを使って提供されていることもあって、そのサービスを構築する上で必要となる機能(サーバー、ネットワーク、など)のことを一般的にインフラと呼びます。

いなければ何も始まらない "縁の下の力持ち" 的エンジニア

インターネット経由で提供されるサービスには、規模の大小はあってもインフラは必要です。そのインフラがしっかりと機能しなければ、提供するサービスをユーザーが“快適に”利用し続けるのは難しくなります。

つまり、インフラを設計・構築し維持管理するインフラエンジニアがいなければ、快適なインターネットサービス提供は難しい、ということになります。

実は最先端の技術にも触れられる仕事

縁の下・・・というと地味なように聞こえますが、実は「仮想化/クラウド領域」という今一番技術的に進化が早く、大手IT企業を含むさまざまな企業が注目する領域に携われるのがインフラエンジニアでもあります。

日々進化するインフラの世界に身を置くことで最先端のテクノロジーを身につけられることも魅力の一つと言えるのではないでしょうか。

インフラエンジニアの仕事内容

インフラエンジニアの仕事は、大きくは「設計」「構築」「運用・管理」に分けられます。

設計

設計とは、開発するサービスに求められる機能や性能を実現するため必要となるシステム上のスペックや、サーバーをどこに置くか(自社施設内か外部か)というような環境を決めることを言います。例えば、アクセス頻度が高いサービスなのか、それとも大容量データを扱うサービスなのかで、それを支える仕組みは違ってくるので、開発したいサービスにあった仕組みを考えなければなりません。

バックアップをどうするか、セキュリティをどう守るか、個人情報を扱う場合はどうするか、などについても決めなければならないので、多くの知識や経験が必要な業務と言えます。

その他、設計で決めた性能が開発したシステムでしっかり実現されているかどうかを確認するための試験項目などを決めたりもします。

構築

設計を踏まえて具体的にサービスが動くためのシステム基盤を作り上げていくのが構築の仕事です。ハードウェアの手配が必要であれば手配し設置して接続してということから行い、ネットワーク経由で自社外のサーバー上で構築するならその環境を用意するところから行います。

それらの環境に必要なソフトウェアの導入と設定を行い、設計通りに動作するようにするところまでを行います。

運用・管理

立ち上げたサービスを日々利用者に使ってもらえるよう維持管理をしていくのが運用・管理の仕事です。代表的なところでいうと、トラブルが発生したときに原因究明と顧客対応を社内の関係部署と行なっていく障害対応や、アクセスが増えてきた時のキャパシティ管理や負荷分散などが挙げられます。そしてそれらは24時間体制で対応していく場合が多いです。社内外を含むさまざまな関係者と連携して、いかに正しく効率的に業務を進めるか日々行なっていきます。

インフラエンジニアを目指すなら知っておきたいキーワード

インフラエンジニアに求められる技術は広い範囲になりますが、その中からいくつか重要なキーワードについて解説します。

サーバー

サーバーとはインフラを構築する上で要となるコンピュータのことで、それぞれがシステムの中で役割を持って稼働しています。提供したいと考えるサービスの規模によっても稼働するサーバーの数は上下し、小さなものであれば1台から、大きな規模になると数千台〜数万台規模のサーバーを用意して、そのサービスをお客様に提供しています。

サーバーの代表的な役割でいうと、

  • ホームページのコンテンツを配信するWEBサーバー
  • アプリケーションを動作させるアプリケーションサーバー
  • データベースを動作させるデータベースサーバー
  • メールのやりとりを支えるメールサーバー
  • ホームページへのアクセスには必須のDNSサーバー

などさまざまなものがあります。
提供したいサービスを構築するにはどのような役割のサーバーが必要で、想定した通りの動作させるような設定ができる技術や知識が必要となります。

ネットワーク

サーバーが1台でできることは限られており、変動する負荷への対応や故障への備えなどシステムとして安定して稼働させるのにネットワークはとても重要な技術です。サーバー同士を連携させるにはどう繋いだら良いか、インターネットに接続させるにはどうしたらいいか、セキュリティを高めたネット接続にはどうしたら良いかなど、インフラを構築する上で求められることはたくさんあります。

仮想化技術

仮想化技術というのは、物理的なコンピューター(CPUやハードディスクなど)をソフトウェアにより仮想的な環境として再現する技術です。
物理的である、という制限がなくなるので、CPUのパワーやハードディスクの容量を効率的に配分するといったことや、サーバー自体をタイムリーに増設をしたりするといったことが、新たな物理的な機器を購入することなくできるようになります。

便利である反面、仮想化技術によって動作する環境は高い負荷の上に成り立っているので、サーバー単体で見た時よりも性能が落ちてしまう、というデメリットもあります。

またその仮想化技術には、「仮想マシン」や「コンテナ」などいくつかの方式があり、使う目的に応じて使い分けられています。現在のクラウドサービスを実現する上では欠かせない技術です。

仮想マシン(VM)

仮想マシンとは、仮想化技術を使ってコンピュータを動作させることです。仮想マシンの技術を使えば、1つの物理サーバーの上に複数の仮想サーバーを構築することもできるようになります。仮想サーバーごとに違うOSを利用することができるなど制限が少ないことも特徴ですが、その分コンピュータのリソースを多く消費するため動作が遅くなってしまう、という特徴もあります。

コンテナ

コンテナも仮想化技術の一つですが、コンテナはアプリケーションの動作環境を仮想的に構築する技術の一つで、OSの仮想化を含まないため少ないコンピュータリソースで動作し、非常に軽量で高速に動作するのが特徴です。

このため、「急激なアクセス増加にも対応できる」などといったシステム的な柔軟性が持てるようになる特徴があるので、例えば繁忙期と閑散期のサービス利用量の変化が大きいようなときに適しています。

オープンソースソフトウェア(OSS)について

I Tインフラは、オープンソースソフトウェア(以降OSS)によって支えられている、と言っても過言ではありません。ソースコード(人間が解釈できるプログラミング言語で書かれたプログラム)が公開され、一定の条件のもとに誰もが利用、複製、改変、再配布可能なソフトウェアです。

インターネット上から多くの情報を入手したり、開発コミュニティの技術者にアクセスすることも可能ですが、使うために守らなければならないライセンスもあります。ライセンスは公開されているOSSごとに異なっているので内容をよく理解して使う必要があります。どんなOSSでも積極的に活用できるよう、OSSについてのしっかりとした知識を身につけましょう。

ITインフラを支えるLinux

LinuxはOSのひとつ

LinuxはWindowsOS やMacOS、iOSなどと同じOS(オペレーティングシステム)の1つです。

その昔、LinuxはUnixと呼ばれたOSのクローンとして開発され、高い柔軟性と拡張性を備えたOSでした。開発初期段階からOSSとして開発・公開されたLinuxは多くの開発者からの機能提案を寛容かつ柔軟に取り入れていたこともありOSとしての機能強化が急速に進み、そのLinuxを支える開発者コミュニティもとても大きなものに成長していきました。

Linuxの「シンプルな機能を組み合わせて大きな機能を実現させる」という特徴のもと、多くの開発者が関わったLinuxはサーバーとして使うために必要な機能を追加しやすかったこともあり、現在のITインフラを支えるサーバーの多くにLinuxが利用されていて、仮想化技術を支える基盤としてもLinuxが動いています。

話は少し脱線しますが、Linuxはスマホやデジカメ、家電などから、工場や自動車、超高速な性能を持つスーパーコンピュータなど、さまざまなところで使われているOSでもあります。これはシンプルな機能を組み合わせて柔軟でカスタマイズがしやすい、というLinuxのOSとしての特徴を紹介する典型的な例と言えます。

Linuxは2021年で誕生から30年となります。
現在でも世界中から1300社以上、約13500人の開発者がLinuxカーネル(Linuxの中心部分)の開発に参加しており、社会を支えるITインフラの重要な技術として開発が進められています。Linuxカーネルのソースコードも最初に公開された時は1万行程度でしたが現在は2500万行を超えています。

現在のインターネットを中心としたITシステムのインフラはLinuxだけで動いている訳ではなく、さまざまな技術と組み合わさりながら動いています。つまり、インフラを支える技術を身につける上では、Linuxについて理解をしておくと、そののち、様々な場面でとても役に立つということができるでしょう。

インフラエンジニアになるための学習の仕方

では、活躍できるインフラエンジニアとして必要となる技術や知識はどのようなものでしょうか。

コンピュータの仕組みについて理解していることは当然となりますが、実際の現場ではコンピュータを複数台つないで管理したり自動化をすることが当たり前になっていて、そのコンピュータも物理的な環境上だったり仮想環境上だったりと、さまざまな環境で動いています。

そのためインフラエンジニアとして活躍するためには、Linuxをベースとしたコンピュータの仕組みを理解し、コンピュータシステムを支える技術、物理・仮想を問わないサーバー環境の技術など多くの技術領域について身につける必要があります。

そこで、それらの技術を網羅的にカバーした学習方法として紹介したいのが、Linux技術者認定「LinuC(リナック)」の認定取得に向けた学習です。

LinuCは2020年4月に出題範囲が改定されたのですが、その改定はITの現場で活躍する多くのトップエンジニアの方々の活発な議論を通して行われました。そのため、本当に現場で求められる技術力を、レベル1/レベル2の二つのレベルの認定取得に向けた学習を通してステップを踏んで網羅的に身につけることができます。

LinuCレベル1の代表的な学習内容

Linuxのインストール、仮想マシン・コンテナの利用(基礎)、ファイル・ディレクトリ操作、Linuxコマンド、ハードウエア、ネットワークの基礎、セキュリティの基礎、オープンソースの文化

LinuCレベル2の代表的な学習内容

Linuxカーネル、ファイルシステム、ネットワーク構成、仮想化サーバー・コンテナ、各種サーバーの設定と管理、セキュリティ(高度)、システムアーキテクチャ

LinuCの認定取得に向けた学習を通じて必要な技術や知識を学び、それらがしっかりと身についていることの証明としてLinuCの認定を取得することを考えてみてはいかがでしょうか。

LinuCの認定取得に向けた充実の学習支援

IT技術の学習の基本は、
・自分のレベルにあった学習方法・教材の利用
・実機を使った学習と問題演習による知識の定着
の2つがポイントです。

LPI-Japanでは好みのスタイルで学習を進められるよう、信頼できる教育コースを持つ教育機関を認定・紹介をしたり、出題範囲をしっかり網羅した学習教材(読本、問題集、動画教材)の認定とその紹介をしています。

その他にもLinuCの出題範囲の主要テーマ毎に講師が解説するWebセミナーを実施しており、ライブで参加すれば質問をすることも可能です。Webセミナーは録画されオンデマンドでいつでも見れるようになっていますので、学びたいテーマをいつでも好きな時間に動画で学ぶ事が出来ます。また、動画には学習環境構築をテーマにしたものや、具体的に実機を触りながら学ぶハンズオンなども開催しています。

さまざまなスタイルでの学習をしっかり定着させるために必要となる実機による学習環境の構築についても、「いらないPCを使う」「外付けディスクを使う」「VirtualBoxを使う」「WSL2を使う」の4つの方法をまとめたドキュメントを提供しています。

その他、Linuxの初学者向けの基礎教材「Linux標準教科書」や受験時の参考になる「サンプル問題・例題解説」など、さまざまなコンテンツを提供しています。

ITインフラに携わるエンジニアの将来性とキャリアパス

今、Society 5.0 時代と言われ、GIGAスクール構想により学校では児童生徒全員に1人1台の情報端末が行き渡ろうとしています。もちろん学校に限らず様々な業種でIT化が進行し、新たなITサービスが増加する中インターネット上を流れる情報量が爆発的に増加しています。

この爆発的に増加する情報量を支えるにはインフラの強化は不可欠であり、クラウドなど様々な技術革新が急速に起こっていますが、その変化するインフラ技術を使いこなしサービスの価値を高めていけるインフラエンジニアの重要性が増しています。

また一方で、ITサービスはIT系事業者のみのものではありません。今後はあらゆる産業・業種でITが活用され新しいサービスが生まれてくることでしょう。そのサービスの運営管理は外部事業者に丸投げするのではなく、ITの専門家の力を借りながらもクラウドなどの環境で自分たちでしっかり運営していくことが求められます。

このようなことから、ITインフラを支えるインフラエンジニアの活躍の機会は一層拡大していくと思いますが、その時は仮想化/クラウド技術を扱えることが必須となるでしょう。

つまりインフラエンジニアは常に新しい技術学習が求められますが、最先端の技術に触れられ、エンジニアとして楽しくやりがいのある職種である、と言うことができると思います。
インフラエンジニアへの道は簡単ではありませんが、しっかりとITの仕組みを基礎からステップを踏んで学習していけば必ず到達できます。しっかり身に付いた技術力は新たに登場してくる技術にも対応していける力となり、ITの専門家として輝き続けるエンジニアとなれるでしょう。

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