「社会と産業を支えるエンジニア」ってどんな仕事?

社会インフラとしての製造業や物流、公共事業をはじめあらゆる場所で使われている「産業用パソコン」とLinuxの関係を紹介します。

最終更新日:2022年07月12日
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ITエンジニアと言うと、まずどんなイメージを抱くでしょうか。多くの人はパソコンのソフトウェアやスマホのアプリ開発、あるいは企業の業務システムの開発・運用、最近ならばショッピングや音楽配信などのクラウドサービスを連想するのではないでしょうか。

しかし実際のIT技術はもっと広く深く、一般の人からは見えないところや、さまざまな産業の基盤となる場所にも活かされています。

今回は、そうした社会インフラをIT技術で支える日立産業制御ソリューションズの皆さんに、「縁の下の力持ち」として活躍するITエンジニアのお仕事について紹介していただきました。


「IT社会を支えるIT」って、どんなもの?

「産業用パソコン」というのを聞いたことがありますか?

今はスマホやタブレットが主流になり、個人でパソコンを持っている人も少なくなりました。しかしさまざまな産業の現場~たとえば工場の生産管理や品質管理、メーカーの製品開発、物流や販売のオペレーションなどでは、現在もパソコンがシステムの操作やモニタリングを行う上で欠かせない機器となっています。

こうした産業のインフラを制御する仕組みはOT(オペレーショナルテクノロジー)と呼ばれ、ITやデジタル技術における重要な応用分野になっています。ここで使われるパソコンは、用途や目的に応じたOS(オペレーティングシステム)やツールが組み込まれ、それぞれの業務専用の端末として仕上げられています。これが「産業用パソコン」です。

いろいろな場所で産業の現場を支える「縁の下の力持ち」

産業用パソコンは、一般の方々の目に触れる機会はなかなかありません。工場や企業の技術系の部署に配置され、専門の技術者が操作するものだからです。ここが世の中の多くの人に知られ、直接利用されるクラウドサービスなどとは大きく異なっている点です。

イメージだけを比較すると、最先端のIT技術が次々登場するクラウドなどに比べて地味な印象があるかもしれません。しかし実はそれらの最先端技術を支えている、もしくはそうした最新のIT機器の生産システムの管理などに使われるのが、産業用パソコンです。まさに最先端のIT社会を支える「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。

社会インフラを支える仕事は責任重大だがやりがいも大きい

私たちの部署は 安定稼働と保守性を高めるRAS機能を標準搭載した信頼性の高い産業用パソコンを開発しています。

産業の現場で使われるパソコンは、「止まったらまずい、止めるわけにいかない」ものばかりです。もし自動車メーカーの製造ラインが動かなくなったら、国内供給はもちろん輸出も止まり、損害は莫大な金額になります。鉄鋼生産のプラントが止まったら、産業全体に与える影響の大きさは、とても予測できません。この分野の開発エンジニアは、そうした社会インフラを扱うだけに責任は重大です。

だからこそやりがいがあるし、私たちの頑張りが社会の経済活動を支えているという、ささやかな自負も持っています。

インフラの現場にLinuxが採用される理由は?

Linuxの人気の理由はOSSならではのさまざまなメリット

産業用PCの世界でも、Linuxは非常に人気の高いOSでありプラットフォームです。最も大きな理由は、やはりOSS(オープンソースソフトウェア)であること。

OSSは特定のベンダーにとらわれず、世界中の技術者が自由に利用し、改善点や新しい機能を開発・共有し合うことで、日々進化を続けているソフトウェアです。 このためWindowsのようなプロプライエタリ(ベンダーが権利を持っている)なOSに比べて開発技術者の自由度が高いという特徴があります。

このため、私たちも色々なアイデアをすぐに検証してみたり、その成果を仲間と共有したりできます。エンジニアにとってやりたいことがすぐに試せるのは、Linuxの大きな魅力の一つです。

学びを支える豊富な技術資料や世界規模のコミュニティ

Linuxはプログラムなどのソースがすべて公開されているため、それらに関する技術資料が非常に豊富なのも特徴です。基本的な知識から最新のトピックスまで、Linuxに関心を持っている人ならば誰でも自由に利用できます。 また技術者のコミュニティも世界中に存在しており、国を越えた仲間との交流や情報交換、技術研鑽が可能です。

自分自身に意欲さえあれば、いくらでも好きなだけ学んで腕を磨ける環境が用意されているのも、OSSであるLinuxならではの特徴だと言えます。

技術者だけでなくユーザー企業からも人気の高いLinux

Linuxは、産業用パソコンのお客様(ユーザー企業)にも非常に人気の高いOSです。というのも、万が一のシステム障害の時にも、Linuxは原因究明が他のOSに比べてしやすいからです。

もちろん予期しないトラブルの可能性は、どのOSも同じです。しかしいざ原因を調べようとすると、Windowsなどはブラックボックスの部分が少なくありません。 Linuxの場合はOSのソースが公開されていて、周辺のドライバなども情報が豊富なので、それらを参考に問題を迅速に特定して対応できます。

早く復旧できるという点から、「止められない」システムを持つお客様からは、Linux採用のご希望も多いのです。

初めてLinuxを学ぶ人が認定を目指す意義とは?

技術者集団の会社として教育や資格教育に大きなリソースを投入

当社は現在約3,500名のうち、約8割がエンジニアという技術者集団です。それだけに技術教育には非常に力を入れており、若手社員を中心に、日立グループの教育制度も活用した育成を進めています。また資格取得という点では、年長者から若手までそれぞれのレベルや業務に応じて教育に多くの予算を割いています。

知識と技術のアップデートを目指してLinuCの認定取得に挑戦

中でも産業用パソコンを担当する私たちの部署では、日常的にLinuxを使う機会が非常に多く、現在改めてLinuxの認定取得にチャレンジする取り組みを進めています。もちろんマネージャー以下ほぼ全員がLinuxの認定は持っているのですが、年齢層が高くみんな10年くらい前に取得したままでした。

しかし最近の技術の進化は非常に速く、もちろんLinuxの世界も例外ではありません。そこで改めて知識と技術のアップデートをしようと、ある中堅のエンジニアがつい先日、LinuC レベル1の認定を取得しました。彼はすでに14年のキャリアがあり、他のLinux資格も過去に取得済みです。しかし今回は認定取得ではなく、新しい知識を得るのがメインの目的とあって、次のLinuC レベル2の認定を目指して積極的に学習を進めています。

仮想化など最新の技術を学ぶにも認定取得はよい再学習の契機

Linuxの認定の中でも、LinuCレベル1からレベル2 201試験(いずれもVersion 10.0)あたりまでの内容は、私たちの業務に照らしてみると仕事がスムーズかつ正確に進むようになる内容だと思っています。その意味で、若手の新入社員で「何から勉強していいかわからない」という人や、これまでWindowsしか経験がなく、新たにLinuxを学ぼうとする人たちにも、LinuCの認定取得を目指すのは基礎を固める上で非常に効果があると考えています。

またLinuC レベル1の認定を取得した中堅エンジニアの彼も、「最近はかなり仮想化が自分たちの仕事でも使われてきていて、自分でも勉強したいと思っていた。その意味でも新たに認定を目指して勉強するのは有意義だと感じた」と語ってくれました。

初心者も中堅もLinuxの認定取得を目指す意義とは?

プロジェクトの現場で起きる多様な課題に応えるスキルを持とう

最後に私たち日立産業制御ソリューションズの産業用パソコン担当チームが目指す、エンジニア像について少しお話ししましょう。

これからエンジニアになろうという若い方には、技術そのものも大切ですが、いわゆる「プロジェクトの進め方」を理解して必要な知識を身につけていただきたいと思います。というのも実際の業務プロジェクトの途中では、色々な課題や懸案事項が出てきます。それを解決するのは私達エンジニアなので、どんな課題にも的確に対応できるスキルを身につけておかなくてはなりません。

そのためにも、メンバーには常に広い業務の知見を持っていて欲しいし、その実力を対外的に証明できるものとして認定の取得をすすめています。

現場で自分にとってのやりがいを探りながら前に進もう

もちろん資格ばかり追いかけていると辛いし、肝心の仕事が楽しくなくなってしまいます。エンジニアとして長く活躍するために、ぜひ仕事の中で「自分のやりがい」を見つけていただきたいと思います。

例えば私たちが若手だった10年以上前は、新しいLinuxのハードウェアを持ってきても、最初は全然動かないということがよくありました。それをあれこれ調べて試しながら、ついに動いた時の達成感が、次の仕事への励みになったのを覚えています。 またお客様に納品した製品に不具合があった時も、手探り状態で調べて最終的に原因をつきとめた時などは、自分がお客様の役に立てたという嬉しさで、「この仕事のやりがいはこれだ」という確信しました。これからエンジニアを目指す皆さんにも、そういう喜びや達成感をひとつずつ積み上げていって欲しいと思います。

インフラとLinuxの専門家としてお客様の信頼に応えていく

産業用パソコンのような社会インフラに関わるIT分野は、確かにマスコミに登場するような華やかなイメージはほとんどありません。その一方で、こうした産業や社会インフラのシステムは、今まで経験のなかった技術者がいきなり扱えるものではありません。その意味で、私たちのように長年Linuxを使ってきたエンジニアだからできるという自信もあります。

またWindowsの技術者は非常に多いのですが、Linuxそれも腕利きの技術者というのはそんなに多くありません。インフラ分野のお客様から色々なご相談をいただけるのも、そうした技量を認めていただけているからだと嬉しく思っています。

今回、この方々にお話を伺いました!

株式会社 日立産業制御ソリューションズ
産業ソリューション事業部 医薬ソリューション本部 医薬ソリューション第三部

GL 主任技師:神田 昌一 さん

技師:宮田 信之 さん

企画員:須永 一弘 さん


コラム

株式会社 日立産業制御ソリューションズ

OT分野の知見と最新のデジタルの融合を目指す産業および社会インフラのエキスパート集団

今回お話を聞かせていただいた日立産業制御ソリューションズは、日立グループの中でも社会インフラやセキュリティ関連の分野を専門とするシステムインテグレーターです。約半世紀にわたって産業分野や社会インフラ分野における、「人や物の動きを制御するシステム」の構築を手がけてきました。

現在はその豊富な実績とノウハウを背景に、フィールドオペレーションの技術と知見(OT:Operational Technology)を多くの企業に提供。さらにOTにAIやIoT、そして5Gなど最新のデジタルテクノロジーを組み合わせることで、顧客企業のDX推進にも積極的に関わっています。

最新のデジタル技術やOTの技術を業務に活かせる、高度な技術を持ったプロフェッショナルを育成するために、さまざまな研修制度や教育環境を整備しているのも、日立産業制御ソリューションズの特徴のひとつです。近年は働き方改革の推進にも力を入れており、各人がのびのびと働ける柔軟な就業環境、その他様々な休暇制度及び福利厚生の充実を図っています。

「当社内だけでなく、日立グループならではの豊富な研修や学習リソース、そして各専門分野に精通したエキスパートがそろっている点も、これから勉強しようと思う人に知っていただきたいアドバンテージです。産業・製造や社会インフラの分野を目指す若手エンジニアには、頑張っただけ成長できる環境があると自負しています。この分野に関心のある方は、ぜひ気軽に話を聞きに来てもらえれば嬉しいですね」(医薬ソリューション第三部 GL主任技師 神田昌一)

日立産業制御ソリューションズに関する詳しい情報はこちらへ!https://www.hitachi-ics.co.jp/

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