Linuxインストールの準備

今回のコラムでは、手元に用意したサーバーにLinuxをインストールする上で知っておいて欲しいことを紹介します。【連載コラム:Linuxを学ぼう(5)】

最終更新日:2023年11月10日

手元に用意したサーバーにLinuxをインストールする上で、事前に知っておいて欲しいことをご紹介します。このコラムでは、サーバーを管理する上で必須の技術「Linux」の学習の仕方を解説していきます。(コラム5回目)


学習環境が用意できたら、Linuxをインストールしてみましょう。

Linuxのインストールは、使用する環境が物理マシンなのか仮想マシンなのかによって異なるなど、いくつかのパターンがあります。今回はその中で特に知っておいて欲しいポイントを解説します。

インストールメディア

Linuxディストリビューションは、何らかの形でインストールメディアを入手する必要があります。

一番分かりやすいのがCD-ROMやDVDなどの物理メディアです。これらのメディアは、物理マシンのCD/DVDドライブに入れて起動させることでインストーラーが動いてインストールが行えるようになります。物理メディアはダウンロードしたISOイメージから自分で作ったり、雑誌の付録などで入手することができます。

まず、この物理メディアによるインストールが基本形だと考えてください。ただ、仮想マシンを使うことが多くなってきたため、物理メディアはあまり使われなくなってきています。

ISOイメージのダウンロード

ISOイメージは、CD-ROMやDVDに書き込まれている情報をそのまま1つのファイルに保存したものです。ISO9660という標準化された規格があるため、これに準拠した形式ということでISOイメージと呼ばれています。

Linuxディストリビューションは、このISOイメージ形式で配布されており、ダウンロードすることができます。ISOイメージを書き込み可能なCD/DVDメディアに書き込めば前述したインストール用の物理メディアを作ることができますし、そのまま仮想マシンのインストール用に使うこともできます。

ISOイメージのミラーサイト

ISOイメージのダウンロードは、各ディストリビューションの公式サイトの他、ミラーサイトと呼ばれるダウンロード用のサイトからもダウンロードできます。

ミラーサイトには、たとえば理化学研究所が運営しているものがあります。

https://ftp.riken.jp/

どのようなミラーサイトがあるかも、各ディストリビューションの公式サイトから確認できるので、探してみてください。

仮想マシンとISOイメージ

仮想マシンの場合、物理メディアからインストールすることもできなくはありませんが、ISOイメージのファイルを直接仮想光学ドライブにマウントしてインストールが行えます。

仮想マシンの設定から、仮想光学ドライブにマウントしたいISOイメージのファイルを指定するだけです。

物理メディアの作成

物理マシンにインストールするためにCD/DVDの物理メディアを作るのであれば、ISOイメージから物理メディアへの書き込みが必要になります。

1つ注意が必要なのは、ISOイメージの「ファイル」を物理メディアに書き込むのではなく、ISOイメージに含まれている「情報」を書き込む必要があります。前者が「ファイル書き込み」に対して、後者を「イメージ書き込み」と呼び、イメージ書き込み専用のツールを使う必要があります。

Windowsの場合

ISOイメージファイルを右クリックし、「ディスク イメージの書き込み」を選択します。「Windowsディスクイメージ書き込みツール」が起動して、物理メディアへの書き込みが行えます。

macOSの場合

「ディスクユーティリティ」を使って、物理メディアへの書き込みが行えます。

Linuxの場合

決定版のツールはありませんが、「Brasero」というツールがよく使われているようです。

USBメモリによるインストール

最近では光学ドライブが付いていない、持っていないということも増えており、そのような場合にはUSBメモリからのインストールも行えます。

ISOイメージから、ブート可能なUSBメモリを作成する必要がありますが、「UNetbootin」というツールがよく使われているようです。

http://unetbootin.github.io/

起動デバイス順に注意

インストールメディアが用意できたら、マシンを起動してインストーラーを実行するのですが、1点注意が必要です。

マシンのBIOSやUEFIの設定で、起動デバイスの順番が設定されています。基本的には光学ドライブやUSBメモリなどのデバイスが優先的に選ばれて、その後はHDD/SSDが選ばれるように設定されていますが、稀に外部デバイスからの起動をさせないように順番が変えられている場合があります。

これまで使っていたマシンを流用して学習環境を作るような場合、うまくインストールメディアから起動できないようなことがあれば、起動デバイスの順番を確認してみてください。

Linuxのインストールメディアにまつわる様々なことを解説してきました。

最近ではクラウド上にインストール済みイメージが用意されていてインストールを行わないケースも増えていますが、学習や検証の観点から、自分で1からインストールするスキルは必要です。様々なディストリビューションをインストールしてみて、慣れるようにしてください。


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

バックナンバー

第20回:Webサーバーを動かす

第19回:Webサーバーをインストールする

第18回:典型的なネットワークトラブルについて理解する

第17回:ネットワークの状態確認を理解する

第16回:アクセス権に関わる様々なことについて理解を深める

第15回:ファイルのアクセス権を理解する

第14回:パッケージをアップデートする dnf編

第13回:PAMを理解する

第12回:グループとは何かを理解する

第11回:sudoコマンドについて理解する

第10回:suコマンドで特権ユーザーになる

第9回:ユーザー権限を理解する

第8回:SSHによるリモートログイン

第7回:Linuxインストール後にやること

第6回:Linuxイストールの実際

第5回:Linuxインストールの準備

第4回:Linux学習のためのネットワーク環境

第3回:学習環境を用意する

第2回:Linuxをどう学ぶのか

第1回:Linuxを学ぼう

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