NetworkManagerの利用

今回は、Linuxの各種ネットワーク設定を統合的に管理する「NetworkManager」について解説します。【連載コラム:Linuxシステム管理標準教科書を読む(10)】

最終更新日:2024年08月16日

Linuxの基本的なスキルを習得したら、Linuxサーバーをシステムとして長期に運用管理していくためのスキルを身につけるのはいかがでしょうか。このコラムでは、「Linuxシステム管理標準教科書」の全体調整を担当した筆者が改めて大切なポイントを解説していきます。

NetworkManagerは、Linuxの各種ネットワークの設定を統合的に管理するフロントエンドツールとして機能します。新しいバージョンのディストリビューションでは、従来のnetworkサービスを置き換える形で利用されるようになっています。


NetworkManagerのフロントエンドツール

NetworkManagerのフロントエンドツールは、以下の3種類があります。使用する状況に合わせて使い分ける必要があります。

  • GUIツール
    X Window Systemなどの上で動作するGUIツールです。Windowsのような感じで扱えるので馴染みやすいですが、リモートからの利用にはあまり向いていません。
  • TUIツール
    テキストベースのツールです。SSHでリモートログインなどをしている状態で、GUIツールと同様に対話式で設定が行えます。ただしマウスが使えず、カーソルキーなどを使って操作するので、若干の慣れが必要です。
  • コマンドラインツール
    コマンドラインで操作するツールです。対話形式での操作が不要なので、コピー&ペーストで実行したり、スクリプト内で実行するのに適しています。

GUIツールの実行例

LinuxにGUIログインできるのであれば、GUIツールでネットワークの設定が行えます。ただし、利用しているディストリビューションやデスクトップ環境によって、ツールが異なる場合もあります。

以下の例はAlmaLinuxでGUIツールを実行した画面です。IPアドレスなど基本的なネットワークの設定以外にも設定できる項目があるので、一通り確認しておくとよいでしょう。

TUIツールの実行例

テキストベースの設定ツールは、SSHによるリモートログインや、GUIログインできないローカルコンソールで利用できるので、何かと便利なツールといえます。

以下の例はSSHでリモートログインしたAlmaLinuxでTUIツール「nmtui」を実行した様子です。GUIツールと異なる選択肢の構成や操作なので、若干慣れが必要です。

カーソルキーやエンターキーだけでなく、選択項目を移動させるためにTABキーも使うので、まずはIPアドレスの変更などを行ってみてください。

コマンドラインツールの実行例

コマンドラインツールはオプションや引数などでネットワークを設定できます。以下の例では、nmcliコマンドでネットワークインターフェースを確認し、インターフェースens160のIPアドレスを設定しています。

$ nmcli con show
NAME    UUID                                  TYPE      DEVICE
ens160  4e713a7a-1075-36ca-b5ac-8d92e4aed627  ethernet  ens160
lo      721fcad8-ab13-49ec-847d-8070f39bb5aa  loopback  lo
$ sudo nmcli con mod ens160 ipv4.address "192.168.156.200/24"
[sudo] admin のパスワード: ※自分自身のパスワードを入力
$ sudo nmcli con up ens160
$ nmcli -f ipv4.addresses con show ens160
ipv4.addresses:                         192.168.156.200/24

リモート接続時のIPアドレス変更は注意

SSHでリモート接続しているLinuxのIPアドレスを変更する際には注意が必要です。IPアドレスを変更すると、即時有効になり、接続が切断されてしまうからです。正しくIPアドレスが変更されていれば新しいIPアドレスに繋ぎ直すだけで済みますが、もしIPアドレスが間違えていたりすると再接続が行えず、直すこともできません。リモートコンソールなど、別のルートでログインし、修正できる経路を確保した上でIPアドレスの変更を行うようにしてください。


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

<Linuxシステム管理標準教科書とは>

Linuxシステム管理標準教科書」(システム管理教科書)は2015年4月にリリースされた標準教科書シリーズの1冊です。Linuxシステムの運用管理という観点で書かれており、システム管理者という業務において知っておかなければならない基本的なトピックが解説されています。「Linux標準教科書」「Linuxサーバー構築標準教科書」でコマンド操作やサーバー構築の基本を学んだら、このシステム管理教科書を読んで、単にLinuxを使うのではなく、システムとして長期的に管理運用していくためのスキルを身につけてください。

バックナンバー

第9回:ネットワークの管理の変化
第8回:SSHサーバーの設定
第7回:SSHによるリモートログイン
第6回:ファイルシステムの管理
第5回:サービスの管理
第4回:ネットワークの管理

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