各種ネットワーク設定ファイルについて(前編)

今回は、各種ネットワーク設定ファイルについて解説します。【連載コラム:Linuxシステム管理標準教科書を読む(11)】

最終更新日:2024年09月06日

Linuxの基本的なスキルを習得したら、Linuxサーバーをシステムとして長期に運用管理していくためのスキルを身につけるのはいかがでしょうか。このコラムでは、「Linuxシステム管理標準教科書」の全体調整を担当した筆者が改めて大切なポイントを解説していきます。

新しいLinuxディストリビューションでは、ネットワーク管理がNetworkManagerを使うように変わったことで、これまでのネットワーク設定ファイルを直接編集するスタイルから管理ツールで設定を変更するように変わりましたが、現在の設定を確認したり、一時的に設定を変更するため手早くエディタで編集する場合もあります。教科書で解説されている各種ファイルについて確認してみましょう。

確認にはAlmaLinux 9.4を使用していますので、他のディストリビューションでは異なる場合があります。また、基本的な設定のみしているため、設定によって状況が異なる場合があります。


/etc/sysconfig/networkは使われなくなっている

もともと基本的なネットワーク設定について記述する設定ファイルでした。現在でも残っていますが、中身は空っぽです。

$ cat /etc/sysconfig/network
# Created by anaconda
$

ホスト名の設定を確認する

教科書では、/etc/sysconfig/networkはホスト名の設定を変更するために参照されていますが、ホスト名は現在では/etc/hostnameファイルに記述するようになっています。

ホスト名の確認には、hostnameコマンドを実行します。

$ hostname
localhost.localdomain

/etc/hostnameも確認してみます。

$ cat /etc/hostname
※何も設定されていない
$

中身は空っぽです。

ホスト名の設定はGUIやTUIでも行えますが、hostnamectlというコマンドもあるので、こちらを実行してみます。

$ hostnamectl
   Static hostname: (unset)
Transient hostname: localhost
(略)

静的に設定するホスト名は設定されておらず、一時的なホスト名(Transient hostname)は自動的にlocalhostに指定されていることがわかります。

ホスト名を一時的に設定する

ホスト名を一時的に設定するには、hostnameコマンドの引数としてホスト名を指定します。設定にはroot権限が必要になるので、sudoコマンドを使います。

$ sudo hostname linuc.example.com
$ hostname
linuc.example.com
$ hostnamectl
   Static hostname: (unset)
Transient hostname: linuc.example.com
(略)
$ cat /etc/hostname
※何も設定されていない
$

ホスト名は設定されましたが、「Transient hostname」、つまり一時的で再起動すると消えてしまう状態です。

恒久的なホスト名を設定する

恒久的なホスト名を設定するには、hostnamectl set-hostnameコマンドを実行します。設定にはroot権限が必要になるので、sudoコマンドを使います。

$ sudo hostnamectl set-hostname linuc.example.com
$ hostnamectl
 Static hostname: linuc.example.com
(略)
$ cat /etc/hostname
linuc.example.com

Static hostnameが設定され、Transient hostnameは表示されなくなりました。/etc/hostnameにも設定値が書き込まれています。ファイルに設定があるので、再起動してもこの設定が読み込まれてホスト名が設定されます。

再起動し、再度ログインしてみると、コマンドプロンプトのホスト表記も変わっているのがわかります。

[linuc@linuc ~]$ cat /etc/hostname
linuc.example.com

ホスト名が動作に大きく影響することはあまりありませんが、よく使うLinux環境についてはきちんとホスト名を設定しておくことで現在作業しているマシンがどれか判別もつきます。設定方法はきちんと確認しておきましょう。


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

<Linuxシステム管理標準教科書とは>

Linuxシステム管理標準教科書」(システム管理教科書)は2015年4月にリリースされた標準教科書シリーズの1冊です。Linuxシステムの運用管理という観点で書かれており、システム管理者という業務において知っておかなければならない基本的なトピックが解説されています。「Linux標準教科書」「Linuxサーバー構築標準教科書」でコマンド操作やサーバー構築の基本を学んだら、このシステム管理教科書を読んで、単にLinuxを使うのではなく、システムとして長期的に管理運用していくためのスキルを身につけてください。

バックナンバー

第10回:NetworkManagerの利用
第9回:ネットワークの管理の変化
第8回:SSHサーバーの設定
第7回:SSHによるリモートログイン
第6回:ファイルシステムの管理
第5回:サービスの管理

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