EPELを使う
今回は、EPELの使い方について解説します。【連載コラム:Linuxシステム管理標準教科書を読む(32)】
Linuxの基本的なスキルを習得したら、Linuxサーバーをシステムとして長期に運用管理していくためのスキルを身につけるのはいかがでしょうか。このコラムでは、「Linuxシステム管理標準教科書」の全体調整を担当した筆者が改めて大切なポイントを解説していきます。
EPEL(Extra Packages for Enterprise Linux)は、Fedora Projectで開発されている拡張パッケージです。ディストリビューション本体に含まれていないものをインストールする際に利用します。
EPELのリポジトリを参照できるようにする
まず、EPELのリポジトリを参照できるようにしましょう。dnfコマンドでEPELのリポジトリ用のパッケージをインストールできます。
[linuc@localhost ~]$ sudo dnf install epel-release
メタデータの期限切れの最終確認: 0:00:24 前の 2025年06月24日 11時33分15秒 に実施しました。
依存関係が解決しました。
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パッケージ Arch バージョン リポジトリー サイズ
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インストール:
epel-release noarch 9-9.el9 extras 18 k
トランザクションの概要
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インストール 1 パッケージ
ダウンロードサイズの合計: 18 k
インストール後のサイズ: 26 k
これでよろしいですか? [y/N]: y
(略)
リポジトリファイルの確認
インストールされたEPELのリポジトリファイルを確認してみましょう。
[linuc@localhost ~]$ ls /etc/yum.repos.d/epel*
/etc/yum.repos.d/epel-cisco-openh264.repo /etc/yum.repos.d/epel.repo
/etc/yum.repos.d/epel-testing.repo
本体となるのは/etc/yum.repos.d/epel.repoです。内容を確認してみます。
[linuc@localhost ~]$ cat /etc/yum.repos.d/epel.repo
[epel]
name=Extra Packages for Enterprise Linux 9 - $basearch
# It is much more secure to use the metalink, but if you wish to use a local mirror
# place its address here.
#baseurl=https://download.example/pub/epel/9/Everything/$basearch/
metalink=https://mirrors.fedoraproject.org/metalink?repo=epel-9&arch=$basearch&infra=$infra&content=$contentdir
enabled=1
gpgcheck=1
countme=1
gpgkey=file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-EPEL-9
countmeとは?
設定ファイルの中にcountmeという設定があります。これはDNFの機能で、リポジトリ側に参照しているシステムがいくつあるのかカウントするのを許可する設定です。プライバシーに配慮した実装になっている、とされていますが、そのあたりを気にするようであれば値を0にしておくとよいでしょう。
EPELでインストールしてみる
実際にEPELを使ってインストールしてみましょう。教科書の5.2.1 stress コマンドのインストールはEPELが使えるとdnfコマンドで簡単にインストールできるようになります。
[linuc@localhost ~]$ sudo dnf install stress
メタデータの期限切れの最終確認: 0:31:26 前の 2025年06月24日 11時33分59秒 に実施しました。
依存関係が解決しました。
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パッケージ アーキテクチャー バージョン リポジトリー サイズ
================================================================================
インストール:
stress aarch64 1.0.4-29.el9 epel 36 k
トランザクションの概要
================================================================================
インストール 1 パッケージ
ダウンロードサイズの合計: 36 k
インストール後のサイズ: 118 k
これでよろしいですか? [y/N]: y
(略)
無事、インストールが行えました。
システム構築ではEPELを使うように指示されているものも多いので覚えておきましょう。
- 筆者紹介
宮原 徹 氏
Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。
<Linuxシステム管理標準教科書とは>
「Linuxシステム管理標準教科書」(システム管理教科書)は2015年4月にリリースされた標準教科書シリーズの1冊です。Linuxシステムの運用管理という観点で書かれており、システム管理者という業務において知っておかなければならない基本的なトピックが解説されています。「Linux標準教科書」「Linuxサーバー構築標準教科書」でコマンド操作やサーバー構築の基本を学んだら、このシステム管理教科書を読んで、単にLinuxを使うのではなく、システムとして長期的に管理運用していくためのスキルを身につけてください。
バックナンバー
第31回:インストールISOイメージをリポジトリにする方法
第30回:dnfコマンドのモジュールを使ってみる
第29回:DNFを使ってみる
第28回:DNFについて
第27回:パッケージ管理について