iostatの値の意味

今回は、iostatの値の意味について解説します。【連載コラム:Linuxシステム管理標準教科書を読む(36)】

最終更新日:2025年10月10日

Linuxの基本的なスキルを習得したら、Linuxサーバーをシステムとして長期に運用管理していくためのスキルを身につけるのはいかがでしょうか。このコラムでは、「Linuxシステム管理標準教科書」の全体調整を担当した筆者が改めて大切なポイントを解説していきます。

iostatはより詳細にストレージの入出力状態を把握するためのツールです。vmstatでも読み取ることができますが、ブロック単位のI/Oの値が表示されるため、あまり直感的ではありません。iostatの表示は具体的なため、ストレージ入出力の状態をより正確に把握できます。


iostatの出力

iostatの出力は以下の通りです。

rrqm/s 1秒間デバイスへマージされた読み込みリクエスト数
wrqm/s 1秒間デバイスへマージされた書き込みリクエスト数
r/s 1秒間の読み込みリクエスト数
w/s 1秒間の書き込みリクエスト数
rsec/s 1秒間の読み込みセクタ数
wsec/s 1秒間の書き込みセクタ数
rkB/s 1秒間の読み込みキロバイト(KB)数
wkB/s 1秒間の読み込みキロバイト(KB)数
avgrq-sz デバイスへのIOリクエストの平均サイズ
avgqu-sz デバイスへのIOリクエストのキューの平均サイズ
await デバイスへのIOリクエストの平均待ち時間
svctm デバイスへのIOリクエストの平均処理時間
%util デバイスへのIOリクエスト期間CPUの使用率

リクエスト、セクタ、容量

iostatの表示には、リクエスト、セクタ、容量といった異なる単位があります。

リクエストは、プロセスからの入出力リクエスト1つ1つを数えます。リクエストによる入出力の容量は1バイトかもしれませんし、1Mバイトかもしれませんが、どちらも1リクエストです。セクタはディスクの物理的なデータ格納領域の単位です。古いものは512バイトが1セクタでしたが、ディスクの大容量化に伴って4096バイトが1セクタになりました。

リクエストと容量は関係があるので、より正確な傾向を確認するのであればそれぞれの数値はもちろん「容量÷リクエスト」でリクエストあたりの容量を算出し、傾向を把握する必要があるでしょう。avgrq-szでも表示されているので、参考にしてください。

入出力キュー

ストレージ入出力は即座に反応するというわけではなく、順番待ちをして1つずつ実行していくことになります。これを実現するのが入出力キューです。キューが長く、かつ1リクエストあたりの入出力データ量が大きいと、キューで待っているリクエストはなかなか処理されません。買い物のレジ待ちを想像すると良いでしょう。awaitやsvctmは、これらのキューに関する統計的な情報を表示して状況の把握の助けをしてくれます。

ストレージ入出力は最終的にプロセス処理の性能に

vmstatの説明でも触れましたが、ストレージ入出力が多いと最終的にはプロセス実行の性能に影響します。多くのプロセスが何らかの形でストレージ入出力を伴うからです。性能劣化の原因がストレージの場合、より高速なストレージを使うようにするか、ストレージ入出力が多くならないように処理を変更するなどの対処が必要になります。

あくまでストレージ入出力の把握は補完的な位置付けなので、topコマンドやvmstatコマンドの出力とセットで考えるようにしてください。


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

<Linuxシステム管理標準教科書とは>

Linuxシステム管理標準教科書」(システム管理教科書)は2015年4月にリリースされた標準教科書シリーズの1冊です。Linuxシステムの運用管理という観点で書かれており、システム管理者という業務において知っておかなければならない基本的なトピックが解説されています。「Linux標準教科書」「Linuxサーバー構築標準教科書」でコマンド操作やサーバー構築の基本を学んだら、このシステム管理教科書を読んで、単にLinuxを使うのではなく、システムとして長期的に管理運用していくためのスキルを身につけてください。

バックナンバー

第35回:vmstatの出力の意味
第34回:topコマンドの使い方
第33回:/etc/shadowでのパスワードのハッシュ化
第32回:EPELを使う
第31回:インストールISOイメージをリポジトリにする方法

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