Linux豆知識 012
なぜセキュリティがインターネットで問題なのか?
公開日:2010年01月25日
もちろん「悪用する人がいるからセキュリティに注意しなければならない」のですが、一方で「インターネット自体がセキュリティに配慮した作りになっていれば、ユーザがセキュリティの心配をしなくても良い」と考えることもできます。よく、「リモートホストと通信するときに、通信を暗号化しないtelnetを利用するのは避けましょう、通信を暗号化するSSHを使いましょう」と言われますが、そもそも通信を容易に盗み見できてしまう仕組みそのものに問題がある、という言い方もできます。
これは、インターネットの生い立ちに秘密があります。インターネットの前身は、「ARPANET」と呼ばれる、アメリカ国防総省が中心となって研究を行っていた軍事用通信ネットワークでした。このネットワークは、研究目的のため使う人はごく限られた人だけでしたから、そもそも「クラッカー」などの存在がありようもなかったのです。また、インターネットが発達しつつあった1980年台でも、ユーザは技術者や研究者しかいなかったため、やはりユーザに「悪い人」がいなかったのです(もちろん例外もあるでしょうが)。
インターネットが一般に広まってきたのは、実はせいぜいここ十数年。一般に開放されるにつれ、さまざまな人が入ってくるようになってきたため、悪用する人が出てきたのです。ARPANETの開発は1969年と30年近く前で、今のように、誰でも使えるネットワークに進化するなど、まったく想定されていなかったのです。つまり、生い立ちそのものが、「悪用されようがない環境の下で開発された」のです。
それにしても、便利になればなるほど悪用者も増えるというのは、因果なものですね。