LinuCレベル2 201試験の例題と解説
2.04.4リソース使用状況の把握
今回は、LinuC 201試験の試験範囲から「2.04.4 リソース使用状況の把握」についての例題を解いてみます。
例題
sarコマンドを使うことで得られる情報として正しいものを2つ答えてください。
- sar -q を実行することで、CPUのロードアベレージの推移を確認できる。
- sar -W を実行することで、メモリの使用率の推移を確認できる。
- sar -u を実行することで、CPUの使用率やI/O待ち率の推移を確認できる。
- sar -r を実行することで、スワップイン/スワップアウトのページ数の推移を確認できる。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
答えは1 と 3 です。
それぞれの選択肢を見ていきましょう。
1. sar -q を実行することで、CPUのロードアベレージの推移を確認できる。
正しいです。
以下は、sar -q を実行すると表示される項目の説明です。
- runq-sz 実行キューの長さ(実行待ちプロセス数)
- plist-sz タスクリストのタスク数
- ldavg-1 過去1分間のシステムのロードアベレージ
- ldavg-5 過去5分間のシステムのロードアベレージ
- ldavg-15 過去15分間のシステムのロードアベレージ
- blocked I/O待ちのためブロックされているタスクの数
なお、ロードアベレージは実行可能・実行中または割り込み不可の状態のタスクの平均の数です。
2. sar -W を実行することで、メモリの使用率の推移を確認できる。
間違いです。sar -W で確認できるのは、スワップイン/スワップアウトのページ数の推移です。
メモリの使用率や推移を確認するには、「sar -r」コマンドを実行します。
以下は、sar -r を実行すると表示される項目の説明です。
- kbmemfree 物理メモリの空き容量(キロバイト)
- kbmemused 使用中の物理メモリ(キロバイト)
- %memused 物理メモリ使用率
- kbbuffers カーネル内のバッファとして使用される物理メモリ(キロバイト)
- kbcached カーネル内でキャッシュ用メモリとして使用されている物理メモリ(キロバイト)
- kbcommit 現在のワークロードに必要なメモリ(キロバイト)
- %commit 現在のワークロードに必要なメモリの割合(RAM +スワップ)
- kbactive 最近使用され、通常は必要でない限り再利用されないメモリ(キロバイト)
- kbinact 最近使用されておらず、他の目的のために再利用可能なメモリ(キロバイト)
- kbdirty ディスクに書き戻されるのを待っているメモリー(キロバイト)
3. sar -u を実行することで、CPUの使用率やI/O待ち率の推移を確認できる。
正しいです。
以下は、sar -u を実行すると表示される項目の説明です。
- %user ユーザーレベル(アプリケーション)で実行中に発生したCPU使用率の割合
- %nice 優先度の高いユーザーレベルで実行中に発生したCPU使用率の割合
- %system システム・レベル(カーネル)で実行中に発生したCPU使用率の割合
- %iowait システムがディスクI/O要求を処理している間に、1つ以上のCPUがアイドル状態だった時間の割合
- %steal ハイパーバイザーが別の仮想プロセッサーを処理している間に、仮想CPUまたはCPUが不本意に待機するのに費やした時間の割合
- %idle CPUまたはCPUがアイドル状態で、システムに未処理のディスクI/O要求がなかった時間の割合
4. sar -r を実行することで、スワップイン/スワップアウトのサイズの推移を確認できる。
間違いです。sar -r で確認できるのは、メモリの使用率の推移です。
スワップイン/スワップアウトのサイズの推移を確認するには、「sar -W」コマンドを実行します。
以下は、sar -W を実行すると表示される項目の説明です。
- pswpin/s 1秒間にスワップインしているページ数
- pswpout/s 1秒間にスワップアウトしているページ数
sar コマンドのオプションと出力内容の意味を把握しておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 後藤慎司