LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.09.1システム時刻の管理
今回は、LinuC 102試験の試験範囲から「1.09.1 システム時刻の管理」についての例題を解いてみます。
例題
システムクロックの時刻をハードウェアクロックの時刻に設定するコマンドは次のうちのどれですか?
- hwclock --systohc
- hwclock -r
- hwclock --hctosys
- hwclock --adjust
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
答えは「1.」です。
Linuxシステムには、システムクロックとハードウェアクロックという2つの主要な時計があります。
ハードウェアクロックは、システムのすべてのコントロールプログラムから独立している時計です。コンピュータにハードウェアとして内蔵されており、システムの電源がOFFの状態でも動作します。
システムクロックは、システムのすべての基準となる時計です。この時計はLinux カーネルの内部に存在している時計で、Linuxシステムが起動している間だけ動作します。システムクロックの時刻には、Linuxシステムが起動するときにハードウェアクロックの時刻が参照されて設定されます。
システムクロックは、NTPクライアントによって定期的に正確な時刻を同期することができますが、ハードウェアクロックは、システムクロックとは別の独立した時計であるため、システムが起動してからの時間が経過するにつれて、ハードウェアクロックの時刻が正確な時刻からずれていきます。
ハードウェアクロックの時刻がずれた状態でシステムを再起動すると、システムクロックも正確な時刻からずれた状態で設定されてしまいます。そのため、システムの時計を正確な時刻に保つためには、システムの時計をNTPクライアントを用いて時刻同期するだけでなく、ハードウェアクロックの時計も定期的に修正し、システムクロックの時刻に同期させることが必要です。
ハードウェアクロックは、hwclockコマンドで表示、および時刻設定ができます。hwclockコマンドの主なオプションは以下の通りです。
-r (--show)
ハードウェアクロックを表示する
-w (--systohc)
システムクロックの時刻をハードウェアクロックに設定する
-s (--hctosys)
ハードウェアクロックの時刻をシステムクロックに設定する
-a (--adjust)
/etc/adjtimeファイルの設定をもとに、ハードウェアクロックの時刻を調節する
選択肢を一つ一つ解説します。
1. hwclock --systohc
正解です。このコマンドを実行すると、システムクロックの時刻がハードウェアクロックの時刻として設定されます。
2. hwclock -r
誤りです。このコマンドを実行すると、現在のハードウェアクロックの時刻を表示します。
3. hwclock --hctosys
誤りです。このコマンドを実行すると、ハードウェアクロックの時刻がシステムクロックの時刻として設定されます。
4. hwclock --adjust
誤りです。このコマンドを実行すると、/etc/adjtimeファイルの設定をもとに、ハードウェアクロックの時刻のずれが調節されます。
Linuxシステムの2つの時計(システムクロック、ハードウェアクロック)についてと、ハードウェアクロックの表示、設定を行うコマンドについて学習しておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 後藤 慎司