LinuCレベル2 Version 4.5 202試験の例題と解説
207.2 DNSゾーンの作成と保守
■トピックの概要
このトピックの内容は以下の通りです。
<207.2 DNSゾーンの作成と保守>
重要度 3
<説明>
正引きおよび逆引きのゾーンファイルまたはルートレベルサーバのゾーンファイルを作成する。これには、レコードに適切な値を設定すること、ホストをゾーンに追加すること、ゾーンをDNSに追加することも含まれる。また、他のDNSサーバにゾーンの委任を行うことも含まれる。
<主要な知識範囲>
・BIND 9の設定ファイル、用語、ユーティリティ
・DNSサーバに情報を要求するためのユーティリティ
・BINDゾーンファイルのレイアウト、内容、ファイル配置
・逆引きゾーンを含む、ゾーンファイルに新しいホストを追加するさまざまな方法
<重要なファイル、用語、ユーティリティ>
・/var/named/*
・ゾーンファイルの書式
・リソースレコードの書式
・named-checkzone
・named-compilezone
・masterfile-format
・dig
・nslookup
・host
■例題
DNSレコードの説明として適切なものを選択してください。
1. Aレコードには、ドメインと紐づくIPv4/IPv6アドレスを設定する
2. MXレコードに、優先度は設定できない
3. CNAMEレコードには、ドメインと紐づくIPアドレスを設定する
4. PTRレコードには、IPv4/IPv6アドレスと紐づくドメインを設定する
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
答えは「4. PTRレコードには、IPv4/IPv6アドレスと紐づくドメインを設定する」です。
1. Aレコードには、ドメインと紐づくIPv4/IPv6アドレスを設定する
Aレコードには、ドメインと紐づくIPv4アドレスを設定できます。
IPv6アドレスは設定できません。IPv6アドレスの場合は、AAAA(クアッドA)レコードに登録を行ないます。
2. MXレコードには、優先度は設定できない
MXレコードは、メールサーバのドメインを設定するレコードです。
以下のように複数のレコードに優先度を付けて設定します。
example.com. IN MX 10 mail1.example.com.
example.com. IN MX 20 mail2.example.com.
一般的なメールサーバは、メール配送の際に、このMXレコードを解決して、配送先のメールサーバを決定します。
この時、メールサーバはMXレコードの優先度の値が低いものから順にメールを配送する動きをします。
3. CNAMEレコードには、ドメインと紐づくIPアドレスを設定する
CNAMEレコードは、Aレコードで登録したドメインの別名を登録するレコードです。
以下のように設定ができます。
www.example.com. IN A 192.168.0.10
service1.example.com. IN CNAME www.example.com.
service2.example.com. IN CNAME www.example.com.
上記の例の場合、www.example.comのAレコードを設定し、「service1.example.com」と「service2.example.com」の
2つのドメインを、www.example.comのCNAMEレコードとして設定しています。
「service1.example.com」と「service2.example.com」を名前解決すると、www.example.comを取得できます。
利用場面としては、例えばひとつのサーバ上で、複数のWEBサービスを行っている場合などです。
サービス毎に、ドメインは異なりますが、実際のIPアドレスは同じという時にCNAMEレコードを利用します。
CNAMEを利用することで、IPアドレスが変更になった場合に、Aレコードを変更するだけで、CNAMEとして登録されているドメインの情報も自動的に変更することができます。
4. PTRレコードには、IPv4/IPv6アドレスと紐づくドメインを設定する
PTRレコードは、IPアドレスからドメイン名を逆引きするための情報を設定するレコードです。
「192.168.0.10」の場合、並びを逆にした「10.0.168.192」の後ろに「.in-addr.arpa.」を
指定して設定します。
10.0.168.192.in-addr.arpa. IN PTR example.com.
IPv6の場合「.in-addr.arpa.」の部分は、「.ip6.arpa.」となります。
ただしIPv6の逆引きでは、16進数1桁(4bit)単位でドット(.)で区切ってレコードを作成する必要があります。またIPv6の省略表記を使うこともできません。具体的には以下のようになります。
[IPv6アドレスが2606:2800:220:1:248:1893:25c8:1946の場合]
6.4.9.1.8.c.5.2.3.9.8.1.8.4.2.0.1.0.0.0.0.2.2.0.0.0.8.2.6.0.6.2.ip6.arpa. IN PTR
上記で紹介した以外にも、DNSのレコードは無数に存在します。
どんなレコードが存在し、どのように使うのかを調べておきましょう。
■例題作成者 株式会社デージーネット ソリューション開発部 森 彰吾 氏