LinuCレベル1 102試験の例題と解説

1.09.1システム時刻の管理

LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.09.1 システム時刻の管理」についての例題を解いてみます。今回は時刻の同期状態について確認しておきましょう。

Linucレベル1 102試験 出題範囲


例題

Chronyを使用して時刻同期を実装している場合、時刻の同期状態を確認するコマンドとして正しいものを1つ選択してください。

  1. chronyd sources
  2. cat /etc/chrony.conf
  3. systemctl status chronyd
  4. chronyc sources

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、「4. chronyc sources」です。

Chronyとは、NTPサーバ及びNTPクライアントの実装の1つです。
NTP(Network Time Protocol)とは、ネットワークにアクセスを許可された機器の時刻同期を行うためのプロトコルを指します。
NTPサーバとはインターネット上で現在時刻の情報を配信するサーバで、NTPサーバにNTPクライアントが接続し時間情報を確認して取得することで、サーバやPC内部の時刻を正しい時刻に調整することができるようになります。
この、NTPサーバに時刻を問い合わせたり、NTPクライアントの時刻同期を行っているのがChronyです。

NTPサーバとの同期確認を行うには、chronycコマンドにsourcesサブコマンドを指定します。
以下は、出力結果の例です。

$ chronyc sources
210 Number of sources = 4
MS Name/IP address         Stratum Poll Reach LastRx Last sample
===============================================================================
^- 122.215.240.52                2  10   377   487   -139us[ -139us] +/-   54ms
^* ntp-b2.nict.go.jp             1  10   377   799   -156us[ -251us] +/- 5342us
^- 45.76.211.39                  2  10   377   653   -407us[ -407us] +/-   30ms
^- ec2-54-249-146-184.ap-no>     2  10   373   28m  +2894us[+2812us] +/-   30ms

項目名:
解説

M:
同期先の種類を確認できます。^(ハット)はサーバ、=(イコール)はピア、#(シャープ)はローカルに接続している基準クロックを指します

S:
同期先の状態を確認できます。*(アスタリスク)が現在同期中、+(プラス)が同期候補、-(マイナス)は同期除外、?(ハテナ)は切断されているまたはテストが不合格ということを示しています。x(エックス)は時間が他の同期先と一致しない、~(チルダ)は時間の変動が大きすぎるものを指します。

Name/IP address:
同期先の名前またはIPアドレス、もしくは基準クロックの参照IDが表示されます。

Stratum:
階層数を確認できます。NTPサーバはstratumという階層構造になっており、最上位のサーバは原子時計やGPSから正確な時刻を取得してます。最上位のNTPサーバは「stratum 1」であり、階層を降りるごとにstratumの値が増えていきます。

Poll:
同期先へのポーリング間隔の秒数を確認できます。

Reach:
直近8回の同期が成功したかどうかを8進数で確認できます。

LastRx:
最後に同期した時間を確認できます。

Last sample:
最後に同期した際の時刻がずれていたかを確認できます。

このように、同期状態の確認はSの列で行います。
上記例の場合、*(アスタリスク)がついている「ntp-b2.nict.go.jp」と同期を取っていることが確認できます。

よって、時刻の同期状態を確認するコマンドは、「4. chronyc sources」が正解となります。

選択肢の解説は以下です。

1.chronyd sources
誤りです。
chronydは、時刻同期するためのデーモンです。システムのバックグラウンドで実行されます。
時刻の同期状態を確認することはできません。

2.cat /etc/chrony.conf
誤りです。
「/etc/chrony.conf」は時刻を問い合わせるNTPサーバなどを指定するchronydのデフォルト設定ファイルです。
時刻の同期状態を確認することはできません。

3.systemctl status chronyd
誤りです。
これは、chronydのステータスを確認するコマンドです。
chronydサービスが起動しているかなどを確認することができますが、時刻の同期状態を確認することはできません。

4.chronyc sources
正解です。
chronycコマンドにsourcesサブコマンドを指定することで、chronydがアクセスしているNTPサーバとの時刻同期情報を表示することができます。

システム時刻を適切に維持することは、システム保守を行う上で非常に重要です。
正しく時刻同期を行うことで、システムの時間を正確な状態にしておきましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット OSS研究室 橋本知里

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