LinuCレベル2 202試験の例題と解説
2.13.4典型的なシステムアーキテクチャ
LinuCレベル2202試験の出題範囲から「2.13.4 典型的なシステムアーキテクチャ」についての例題を解いてみます。
ここでは、システムのスケーラビリティについて取り上げています。
例題
スケーラビリティを確保したシステムを構築する説明として、適切なものを選択してください。
- アクティブ/スタンバイのHA構成でシステムを構築する。
- ロードバランサーを使用して、複数のウェブサーバに負荷を分散する構成とする。
- HTML5を使用したウェブサイトを作成する。
- 定期的にシステムバックアップを取得するようにして、障害発生時に備える。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. ロードバランサーを使用して、複数のウェブサーバに負荷を分散する構成とする。」です。
「スケーラビリティ」とは、システムの利用者数や利用頻度によりシステムを拡張できる度合いのことを言います。
スケーラビリティを確保するための構成としては、下記のような構成が考えられます。
ロードバランサーを使用する構成
同じ機能を提供するサーバを複数準備しておき、ロードバランサー等で負荷を分散する構成です。システム拡張が必要になった場合、同じ機能を提供するサーバを追加することができます。
一般的なロードバランサーは、サーバの死活監視を行うことができますので、障害が発生したサーバを切り離すことも可能です。障害に強いシステムを構築することができます。
DNSラウンドロビンを使用する構成
DNSラウンドロビンとは、ひとつのドメイン名をDNS参照したとき、異なる複数のIPアドレスを交互に返す仕組みです。
この仕組みを利用して、複数台のサーバに負荷を分散させることができます。通常のDNSラウンドロビンでは、サーバの死活監視を行いませんので、障害が発生したサーバを切り離すことはできません。
データベースのレプリケーション構成
複数のデータベースを準備し、すべてのデータベースでデータを複製する構成です。すべてのデータベースでデータが同期されますので、データベースアクセスの負荷分散が可能となります。
レプリケーション対象サーバを追加することでシステム拡張を行うことができます。
例題について解説します。
1.アクティブ/スタンバイのHA構成でシステムを構築する。
誤った説明です。
アクティブ/スタンバイのHA構成は、通常の応対ではアクティブ系サーバでサービスを提供しています。アクティブ系サーバに障害が発生した場合、スタンバイ系サーバがサービス提供を開始します。
HA構成は、システム拡張できる構成ではありません。
2.ロードバランサーを使用して、複数のウェブサーバに負荷を分散する構成とする。
正しい説明です。
上記で説明したように、ロードバランサーを使用すればスケーラビリティを確保したシステムを構築することができます。
3.HTML5を使用したウェブサイトを作成する。
誤った説明です。
HTML5は、システム拡張を行う技術ではありません。
4.定期的にシステムバックアップを取得するようにして、障害発生時に備える。
誤った説明です。
システムバックアップは、ハードウェア障害等に備えるためには有効な手段ですが、スケーラビリティの確保を行うものではありません。
スケーラビリティを確保するための構成について把握し、システムに合わせた最適な構成を組めるようになりましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 大野 公善