LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.10.4クラウドセキュリティの基礎
LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.10.4 クラウドセキュリティの基礎」についての例題を解いてみます。ここでは、リージョンについて確認しておきましょう。
例題
クラウドサービスのリージョンに関する説明で間違っているものを選択してください。
- クラウド事業者が管理するデータセンターがある地域のことを「リージョン」という。
- クラウド事業者によっては、一つの国に複数のリージョンを用意している。
- 日本国内で扱うデータに関しては、日本国内のリージョンを選択しなければならない。
- 国内から海外のリージョンを利用することも可能である。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3. 日本国内で扱うデータに関しては、日本国内のリージョンを選択しなければならない。」です。
オンプレミス環境では、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器などのハードウェアを自社のデータセンターに設置し、ハードウェア上で稼働するソフトウェアやデータ、利用者すべてを自社で運用・管理します。
一方クラウド環境では、データセンターやハードウェアはクラウド事業者が管理を行います。この、クラウド事業者が管理するデータセンターがある地域のことを「リージョン」と言います。
データセンターが存在するリージョンが一つしかない場合、リージョンで障害が発生した場合、クラウド事業者が提供するすべてのクラウドサービスが停止してしまいます。
そのため、クラウド事業者は、世界各地にリージョンを用意していたり、一つの国に複数のリージョンを用意しています。
リージョンはそれぞれが地理的に離れていて、完全に独立して管理されています。これにより、あるリージョンで障害が発生した場合でも、他のリージョンへの影響を防げるようになっています。
また、利用者はこの特性を生かし、複数のリージョンをまたいでシステムを構築することで、リージョンで障害が発生した場合でも、影響のない異なるリージョンにシステムを切り替えることができるようになります。
リージョンを選択する際の注意点としては、大きく3つあります。
- リージョンによって安定性が異なる
- リージョンごとに適用される規約や法令が異なることがある
- 利用者とリージョンの物理的距離が遠いと通信のレスポンス時間に影響することがある
リージョンによって稼働率が異なったり、リージョンが設置されている国の法律が適用される場合もあります。また、リージョンとの物理的距離が遠いと、データ遅延が発生する場合もあります。
一方、物理的距離が近すぎる場合、自然災害によるリスクが高まるというデメリットもあります。
利用者は、通信のレスポンスを重視するシステムなのか、高可用性を重視するシステムなのか等、要件明確にしてから、リージョンを選択することが重要です。
それでは選択肢を見ていきます。
1.クラウド事業者が管理するデータセンターがある地域のことを「リージョン」という。
正しい説明です。
2.クラウド事業者によっては、一つの国に複数のリージョンを用意している。
正しい説明です。
3.日本国内で扱うデータに関しては、日本国内のリージョンを選択しなければならない。
間違った説明です。
日本国内で扱うデータであっても、海外のリージョンを利用することは可能です。
ただし、格納されるデータの種類によっては、法令により国外持ち出しが制限されている場合があります。また、リージョンが設置されている国の法律が適用され、国の捜査機関などに機密データが流出する場合もあります。扱うデータによって、適切なリージョンを選択するようにしましょう。
今回は、間違っている説明を答える問題ですので「3.日本国内で扱うデータに関しては、日本国内のリージョンを選択しなければならない。」が正解となります。
4.国内から海外のリージョンを利用することも可能である。
正しい説明です。
利用するクラウド事業者によって、様々なリージョンが用意されています。
クラウド環境を利用する場合は、事前に取り扱うデータや機能要件を明確にし、条件に合ったリージョンを選択するようにしましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本知里