LinuCレベル3 304試験の例題と解説
330.1仮想化の概念と理論
LinuCレベル3 304試験の出題範囲から「330.1 仮想化の概念と理論」についての例題を解いてみます。
今回は、仮想化の一つである、クラウドサービスの用語について確認していきましょう。
例題
クラウドサービスの種類についての説明で正しいものをすべて選択してください。
- IaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで提供する形態である。
- PaaSは、アプリケーション開発に必要なコンテナ・ミドルウェア、ランタイムまでを提供する形態である。
- SaaSは、CPUやメモリ、OSまでを提供するサービス形態である。
- SaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで提供する形態である。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. PaaSは、アプリケーション開発に必要なコンテナ・ミドルウェア、ランタイムまでを提供する形態である。」と「4. SaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで提供する形態である。」です。
クラウドサービスには様々な提供形態があります。
基本的な分類としては、以下の3つがあります。
- SaaS(Software as a Service)
- PaaS(Platform as a Service)
- IaaS(Infrastructure as a Service)
SaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで、クラウドサービスで提供する形態です。
クラウドサービスを契約するだけで、チャットシステムや、勤怠管理システムなど、提供されているサービスをインターネット経由で利用することができます。
SaaSには、以下のようなメリットがあります。
- 利用したい機能をすぐに利用できる
- インターネット経由で利用できるため、特定の端末に依存せず利用できる
- サーバ管理からソフトウェアのアップデートまで任せることができる
一方、デメリットには以下のようなものがあります。
- 提供されている機能しか利用できない - カスタマイズできない
- 利用人数や容量に応じてランニングコストが増える
- クラウド提供側のシステム障害やネットワークに障害が生じた場合に利用ができなくなる
PaaSは、アプリケーション開発に必要なコンテナ・ミドルウェア、ランタイムまでを提供する形態です。
「Platform as a Service」という名の通り、開発環境のためのプラットフォームを提供します。バックエンドで動作するデータベースや、オブジェクトストレージなどは、クラウドサービスの提供側が用意します。
PaaSには、以下のようなメリットがあります。
- プラットフォームがあることで開発工数を削減できる
- 障害対応やメンテナンスなどの運用コストを削減できる
一方、デメリットには以下のようなものがあります。
- 利用するアプリケーションの管理は自社で実施する必要がある
- 希望のサーバ仕様の再現ができない場合がある
IaaSは、物理的なサーバから仮想化環境、OSまでを提供する形態です。
システムのインフラ部分、すなわちコンピューターリソースの基本であるCPUやメモリ、OSあたりまでを提供します。CPUやメモリなどの容量は必要に応じて変えることができたり、OSはLinuxやWindowsなど、いくつかの種類やバージョンから選ぶことができます。
そのため、希望に沿った開発環境を一から構築することができます。
IaaSには、以下のようなメリットがあります。
- ハードウェア管理の必要がない
- ハードウェアの保管場所などのランニングコストを削減できる
- 自由に環境を構築することができる
一方、デメリットには以下のようなものがあります。
- OSのリソースからソフトウェアのアップデートまで自社で管理する必要がある
- 専門知識が必要になる
それでは選択肢を見ていきます。
1.IaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで提供する形態である。
不正解です。
これはSaaSの説明です。
2.PaaSは、アプリケーション開発に必要なコンテナ・ミドルウェア、ランタイムまでを提供する形態である。
正解です。
3.SaaSは、CPUやメモリ、OSまでを提供するサービス形態である。
不正解です。
これはIaaSの説明です。
4.SaaSは、最終的に利用するアプリケーションまで提供する形態である。
正解です。
クラウドを利用する際には、自社で実現したいことに対し、どの形態が最も適しているか判断する必要があります。
クラウドサービスの分類を理解し、適したサービスを選択できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本 知里