LinuCレベル3 300試験の例題と解説
391.2アクティブディレクトリおよびKerberosとLDAPの統合
LinuCレベル3 300試験の出題範囲から「391.2 アクティブディレクトリおよびKerberosとLDAPの統合」についての例題を解いてみます。
シングルサインオンについて取り上げています。
例題
シングルサインオンに関する説明について、誤っているものを選択してください。
- シングルサインオンは、1度の認証で様々なシステムの認証を行うことができる
- シングルサインオンを実現する仕組みの一つがKerberos認証である
- シングルサインオンは、WindowsログオンとLinuxへのログインを統合するなど、OSを超えた認証はできない
- Kerberos認証を使ったシングルサインオンはLinux系のディストリビューションでも利用できる
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3. シングルサインオンは、WindowsログオンとLinuxへのログインを統合するなど、OSを超えた認証はできない」です。
シングルサインオン(Single Sign On)は、ユーザIDとパスワードを一度認証することで、様々なシステムの認証を行えるようにする技術です。
シングルサインオンを利用することで、アプリケーションごとにユーザ名とパスワードを入力する作業の手間が軽減されるだけでなく、複数のパスワードを覚えることが不要になり、パスワード管理の負担を減らすことができます。
シングルサインオンを実現する仕組みには、以下のようなものがあります。
Kerberos認証
クライアントのID、タイムスタンプ、有効期限が記された「チケット」を用いて認証を行います。
SAML認証
SAMLプロトコルによる認証情報の受け渡しにより認証を行います。
リバースプロキシ認証
全ての認証を、リバースプロキシと呼ばれる中継サーバを経由させて認証を行います。
代理認証
クライアントPCにインストールしたエージェントに保持させたIDやパスワードを使って認証を行います。
この中でも、Kerberos認証はWindowsのActiveDirectoryに採用されている認証方式で、Linux系のディストリビューションでも利用することができます。
これにより、Kerberos認証を利用すると、WindowsログオンやLinuxへのログインと組み合わせたシングルサインオンを実現できます。つまり、Windowsにログオンすれば、他のサービスにパスワードなしでログインできるシングルサインオンを実現することができます。
例題の選択肢を確認してみましょう。
1.シングルサインオンは、1度の認証で様々なシステムの認証を行うことができる
正しい解説です。
前述の通りシングルサインオンは、1度のユーザIDとパスワードの認証により、様々なシステムの認証を行えるようにする技術です。
一般的に、アプリケーションやクラウドサービスは、個別の方法で認証を行っています。そのため、ユーザは利用するアプリケーションやサービスごとにIDとパスワードを管理する必要があります。
しかし、シングルサインオンを導入すれば、ユーザ名とパスワードの入力はシングルサインオンのシステムに一回入力するだけで、連携する他のアプリケーションやシステムへの認証を行うことができます。
2.シングルサインオンを実現する仕組みの一つがKerberos認証である
正しい解説です。
解説でも紹介した通り、シングルサインオンを実現するための仕組みには様々な種類があります。その仕組みの一つがKerberos認証です。
3.シングルサインオンは、WindowsログオンとLinuxへのログインを統合するなど、OSを超えた認証はできない
間違った解説です。
シングルサインオンを実現する仕組みによっては、Windowsだけでなく、Linux系のディストリビューションにも対応しているものがあります。
例えば、Kerberos認証を使ったシングルサインオンであれば、Linux系のディストリビューションにも対応できるため、WindowsログオンとLinuxへのログインを統合することが可能です。
今回は誤っているものを選択する問題ですので、[3]が正解となります。
4.Kerberos認証を使ったシングルサインオンはLinux系のディストリビューションでも利用できる
正しい解説です。
選択肢3でも解説した取り、Kerberos認証はLinux系のディストリビューションに対応しています。
シングルサインオンは、サービスやツールが増加した昨今において、業務効率の向上にも役立つ技術です。
一括りにシングルサインオンといっても、実現するための仕組み(認証方法)によって、できることとできないことが変わってきます。用途に応じて選択できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本 知里