LinuCレベル1 101試験の例題と解説
1.05.2ハードディスクのレイアウトとパーティション
LinuCレベル1 101試験の出題範囲から、「1.05.2 ハードディスクのレイアウトとパーティション」についての例題を解いてみます。
パーティションの意義について学んでおきましょう。
例題
パーティションを分割する理由として、適切でないものを選択してください。
- 障害が発生した際、被害範囲を限定しデータの安全性を高めるため
- データ修復の時間を短縮するため
- 特定用途のデータが増えた場合に、システム全体への影響を防ぐため
- Linuxシステムはパーティションを2つ以上分割しないと動かないため
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「4. Linuxシステムはパーティションを2つ以上分割しないと動かないため」です。
Linuxでは、ハードディスクをいくつかの領域に分割して利用します。
この分割された領域を「パーティション」と呼びます。
Linuxのファイルシステムでは、一般的に/(ルート)ディレクトリの下に多数のディレクトリがあります。それらをまとめて、一つの/(ルート)パーティションとして構成することもできますが、用途によってパーティションを分割することも可能です。
よく利用されるパーティションには以下のようなものがあります。
/(ルート) | : | ファイルシステム階層の第一階層(必須パーティション) |
/boot | : | システムの起動で最初に読み込まれる、カーネルなどのデータが含まれる領域 |
/home | : | ユーザーのデータを格納する領域 |
/var | : | ログや動的に変更されるデータを格納する領域 |
/usr | : | システムの起動には必要ないが、システムが機能を果たすのに必要なプログラムやデータなどを格納する領域 |
swap | : | 物理メモリが不足した場合でも処理を継続させるために、一時的にデータを待避する領域 |
このように、用途に合わせてパーティションを分割しておくことで、以下のようなメリットがあります。
・障害が発生した際、被害範囲を限定し、データの安全性を高めることができる
Linuxでは、障害などでデータが正常に書き込めなかった場合でも、できるだけデータを修復する「ファイルシステムチェック」という機能があります。
しかし、頻繁にデータを書き込む領域は修復できない可能性が高くなります。一方、データをほとんど変更しない領域は修復の必要がありません。このため、用途によってパーティションを分割しておくことにより、領域ごとのデータの安全性を高めることができます。
また、パーティションを分割しておくことで、必要な領域だけを修復できるため、データ修復の時間を短縮することにもつながります。
・特定用途のデータが増えた場合でも、システム全体への影響を防ぐことができる
例えば、ログ用の領域をパーティションとして確保しておくことで、ログが増加した場合でも、その影響を当該パーティション内に限定することができます。これにより、他のプログラムが利用する領域など、システム全体への影響を防ぐことができます。
それでは、例題の選択肢について解説します。
1.障害が発生した際、被害範囲を限定しデータの安全性を高めるため
適切な理由です。
データの書き込みの有無によって、データが修復できる可能性が変わってきます。
そのため、頻繁にデータを書き込む領域と、そうでない領域をパーティションで分けておくことで、データの安全性を高めることができます。
2.データ修復の時間を短縮するため
適切な理由です。
パーティションを分割しておくことで、書き込みの発生していた領域など、必要な領域だけを修復することができます。
3.特定用途のデータが増えた場合に、システム全体への影響を防ぐため
正しい説明です。
動的に変動するデータなどが肥大化した場合に、パーティションを分割していないと、最悪の場合システムが停止してしまう可能性があります。
パーティションを分割しておくことで、該当するパーティションがいっぱいになった場合でも、他のパーティションへの影響を防ぐことができます。
4.Linuxシステムはパーティションを2つ以上分割しないと動かないため
間違った理由です。
パーティションを分割せず、1つの/(ルート)パーティションとして構成することも可能です。
今回は、適切でないものを回答させるため、「4」が正解となります。
用途に応じたパーティションの分割は、システムを安全に運用していくために必要な作業です。どのパーティションにどのくらい必要か見積もり、分割できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本知里