LinuCレベル2 201試験の例題と解説

2.06.1コンテナの仕組み

LinuCレベル2 201試験の出題範囲から「2.06.1 コンテナの仕組み」についての例題を解いてみます。このテーマは【重要度2】です。物理マシン、仮想マシン、コンテナの違いを把握しましょう。

Linucレベル2 201試験 出題範囲


例題

以下のうち、「コンテナ」について説明しているものを選択してください。

  1. 物理的なハードウェアで動作するオペレーティングシステムでアプリケーションを実行します。
  2. ハイパーバイザーと呼ばれるソフトウェアを使用して、仮想的な空間でオペレーティングシステムを実行します。
  3. オペレーティングシステムレベルでアプリケーションを分離して実行します。
  4. 仮想的なデスクトップ環境を提供し、リモートデスクトップクライアントから接続します。

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、「3. オペレーティングシステムレベルでアプリケーションを分離して実行します。」です。

コンテナとは、仮想的な隔離されたユーザ空間を作成し、その中でアプリケーションを実行するための技術です。カーネル空間はオペレーティングシステムと共有しますが、アプリケーションが実行される空間はコンテナ毎に作成されます。

このため、コンテナで動作するアプリケーションを、分離された個別の環境で実行させることができます。

コンテナにはアプリケーションと必要なライブラリだけが含まれており、オペレーティングシステムが含まれていません。オペレーティングシステムを含んでいる仮想マシンと比較すると、イメージファイルのサイズが小さくなります。

また、コンテナ実行時には、ホストOSとカーネル空間を共有しますので、実行サイズが小さくなります。イメージサイズ、実行サイズともに、少ないリソースで動作することができますので、仮想マシンより多くのコンテナを実行することができます。

また、ソフトウェアのインストールや設定が完了している環境をコンテナイメージとして提供することができます。このため、システム構築の工程を短縮して、素早くアプリケーションを起動することができます。

この特徴を活かして、開発環境、テスト環境の構築やアプリケーションのリリース等にコンテナを利用することができます。

例題の選択肢を確認してみましょう。

1.物理的なハードウェアで動作するオペレーティングシステムでアプリケーションを実行します。
誤った選択肢です。

これは、物理マシンの説明です。
サーバやワークステーションのハードウェアに、オペレーティングシステムを直接インストールして利用する方法です。物理マシンは、オペレーティングシステムやアプリケーションを直接実行しますので、高速に処理を行えるという特徴があります。

2.ハイパーバイザーと呼ばれるソフトウェアを使用して、仮想的な空間でオペレーティングシステムを実行します。
誤った選択肢です。

これは、仮想マシンの説明です。
ハイパーバイザーと呼ばれるソフトウェアをインストールし、その上で仮想マシンを起動します。Linuxでは、KVMやXen等がハイパーバイザー型の仮想化技術です。ハードウェア、オペレーティングシステム、アプリケーション等の完全な仮想環境を提供することができます。

このため、ホストOSとは異なるオペレーティングシステムを実行することもできます。仮想マシンには、オペレーティングシステム、アプリケーション、ライブラリ等を含む必要があり、コンテナと比較すると、サイズは大きくなります。

3.オペレーティングシステムレベルでアプリケーションを分離して実行します。
正しい選択肢です。

4.仮想的なデスクトップ環境を提供し、リモートデスクトップクライアントから接続します。
誤った選択肢です。

これは、VDI(仮想デスクトップ環境)の説明です。
VDIは、デスクトップ環境をクライアントに提供するための技術です。クライアントコンピュータは、ネットワークを通して、仮想的なデスクトップ環境に接続します。VDIは、セキュリティ強化やクライアントの一元管理等のために利用します。

物理マシン、仮想マシン、コンテナの特徴を知り、それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット OSS研究室 大野 公善

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