LinuCレベル1 101試験の例題と解説
1.04.1apt コマンドによるパッケージ管理
LinuCレベル1 101試験の出題範囲から「1.04.1 apt コマンドによるパッケージ管理」についての例題を解いてみます。ここでは、apt-cacheコマンドについて確認しておきましょう。
例題
apt-cacheコマンドを使用して、「postfix」パッケージが依存しているパッケージを確認することができるコマンドを選択してください(2つ)。
- apt-cache depends postfix
- apt-cache showpkg postfix
- apt-cache rdepends postfix
- apt-cache policy postfix
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「1. apt-cache depends postfix、2. apt-cache showpkg postfix」です。
apt-cacheは、APTのパッケージキャッシュに対して、さまざまな操作を行うコマンドです。
APTのパッケージキャッシュは、DebianベースのLinuxシステムで使用されるパッケージ管理システムの一部です。このパッケージキャッシュは、システム上で利用可能なパッケージの情報を格納し、高速で効率的なパッケージの検索、インストール、アップグレード、削除などの操作を可能にします。
APTコマンドは、このキャッシュを利用してパッケージの検索や操作を行います。
apt-cacheは、パッケージのメタデータを検索したり、指定したパッケージの依存関係の一覧を表示したりすることができます。
apt-cacheコマンドの書式は以下の通りです。
apt-cache [サブコマンド] [オプション] [パッケージ]
主なサブコマンドは以下の通りです。
stats | : | 指定したパッケージの統計情報を表示します。 |
search | : | パッケージを検索します。指定したキーワードに一致するパッケージを表示します。 |
show | : | 指定したパッケージの詳細情報の情報を表示します。指定したパッケージのパッケージレコードの表示をします。 |
showpkg | : | 有効なバージョンと被依存関係を列挙し、さらに各バージョンについて依存関係を表示します。 |
depends | : | パッケージが持っている依存関係と、その依存関係を満たす他のパッケージの一覧を表示します。 |
rdepends | : | パッケージが持つ被依存関係を一覧表示します。 |
policy | : | 特定のパッケージに関連するインストール済みおよび利用可能なバージョンの情報、パッケージソースの優先度や、それぞれのパッケージの優先度を表示します。 |
選択肢の解説は以下です。
1.apt-cache depends postfix
正解です。
パッケージが持っている依存関係の一覧を表示することができます。
実行すると以下のように表示されます。
# apt-cache depends postfix
postfix
先行依存: init-system-helpers
依存: libc6
依存: libdb5.3
依存: libicu70
依存: libnsl2
依存: libsasl2-2
依存: libssl3
|依存: debconf
依存: <debconf-2.0>
cdebconf
debconf
依存: netbase
依存: adduser
依存: dpkg
依存: lsb-base
:
:
sendmail-bin
ssmtp
dma
exim4-daemon-heavy
postfix
2.apt-cache showpkg postfix
正解です。
依存関係を表示することができます。有効なバージョン、被依存関係等の情報も表示されます。
実行すると以下のように表示されます。
# apt-cache showpkg postfix
Package: postfix
Versions:
3.6.4-1ubuntu1.1 (/var/lib/apt/lists/jp.archive.ubuntu.com_ubuntu_dists_jammy-updates_main_binary-amd64_Packages)
Description Language:
File: /var/lib/apt/lists/jp.archive.ubuntu.com_ubuntu_dists_jammy_main_binary-amd64_Packages
MD5: 98656fbf1bb45b53edd367037a2e5a90
:
:
3.6.4-1ubuntu1 (/var/lib/apt/lists/jp.archive.ubuntu.com_ubuntu_dists_jammy_main_binary-amd64_Packages) (/var/lib/dpkg/status)
Description Language:
File: /var/lib/apt/lists/jp.archive.ubuntu.com_ubuntu_dists_jammy_main_binary-amd64_Packages
:
:
Reverse Depends:
postfix-cdb,postfix 3.6.4-1ubuntu1.1
resource-agents-dg,postfix
resource-agents-dg,postfix
postfix-sqlite,postfix 3.1.3-7~
:
:
Dependencies:
3.6.4-1ubuntu1.1 - init-system-helpers (2 1.54~) libc6 (2 2.34) libdb5.3 (0 (null)) libicu70 (2 70.1-1~) libnsl2 (2 1.0) libsasl2-2 (2 2.1.27+dfsg2) libssl3 (2 3.0.0~~alpha1) debconf (18 0.5) debconf-2.0 (0 (null)) netbase (0 (null)) adduser (2 3.48) dpkg (2 1.8.3) lsb-base (2 3.0-6) ssl-cert (0 (null)) cpio (0 (null)) e2fsprogs (0 (null)) mail-transport-agent (0 (null)) smail (0 (null)) python3 (0 (null)) ca-certificates (0 (null)) procmail (0 (null)) postfix-mysql (0 (null)) postfix-pgsql (0 (null)) postfix-ldap (0 (null)) postfix-pcre (0 (null)) postfix-lmdb (0 (null)) postfix-sqlite (0 (null)) sasl2-bin (16 (null)) dovecot-common (0 (null)) libsasl2-modules (16 (null)) dovecot-common (0 (null)) resolvconf (0 (null)) postfix-cdb (0 (null)) mail-reader (0 (null)) postfix-mta-sts-resolver (0 (null)) ufw (0 (null))
:
:
各項目の意味は以下の通りです。
Versions | : | 有効なバージョン |
Reverse Depends | : | 被依存関係 |
Dependencies | : | 依存関係 |
3.apt-cache rdepends postfix
不正解です。
「postfix」パッケージに依存しているパッケージ(被依存関係)を一覧表示します。
実行すると以下のように表示されます。
# apt-cache rdepends postfix
postfix
Reverse Depends:
postfix-cdb
resource-agents-dg
resource-agents-dg
postfix-sqlite
postfix-sqlite
postfix-lmdb
postfix-lmdb
postfix-lmdb
:
:
postfix-doc
postfix-cdb
libsasl2-2
exim4-config
4.apt-cache policy postfix
不正解です。
特定のパッケージに関連するインストール済みおよび利用可能なバージョンの情報、パッケージソースの優先度や、それぞれのパッケージの優先度を表示します。
実行すると以下のように表示されます。
# apt-cache policy postfix
postfix:
インストールされているバージョン: 3.6.4-1ubuntu1
候補: 3.6.4-1ubuntu1.1
バージョンテーブル:
3.6.4-1ubuntu1.1 500
500 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy-updates/main amd64 Packages
*** 3.6.4-1ubuntu1 500
500 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy/main amd64 Packages
100 /var/lib/dpkg/status
各項目の意味は以下の通りです。
インストールされているバージョン:
→インストールされているパッケージ
候補:
→利用可能なバージョン
バージョンテーブル:
→パッケージに関連する情報、"3.6.4-1ubuntu1.1 500"や"3.6.4-1ubuntu1 500"の数字"500"が優先度を表しています。この数字が高いほど、APTパッケージ管理システムはそのパッケージを優先的に選択します。
今回は代表的なサブコマンドを紹介しましたが、apt-cacheには、このほかにも多くのサブコマンドがあります。apt-cacheコマンドの内容を正しく理解して、パッケージの情報を素早く確認できるようにしましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 宮本 郁実