LinuCレベル3 300試験の例題と解説
390.3OpenLDAPサーバのパフォーマンスチューニング
LinuCレベル3 300試験の出題範囲から「390.3 OpenLDAPサーバのパフォーマンスチューニング」についての例題を解いてみます。今回は、OpenLDAPのチューニングについて取り上げます。チューニングの方法について理解しましょう。
例題
OpenLDAPサーバを構築する際、検索速度の向上を行いたい。
チューニングの方法として誤っているものを選択してください。
- データベースにmdbを利用する。
- LDAP v2に対応する。
- インデックスを作成する。
- キャッシュサイズを調整する。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は「2. LDAP v2に対応する。」です。
OpenLDAPはディレクトリサービスを提供するオープンソースソフトウェアです。様々なサービスのユーザ認証やネットワーク機器の管理に利用されています。
デフォルトの設定でも利用することはできますが、チューニングを行うことで、検索速度の向上やサーバのメモリの改善が期待できます。
本項では3つの方法を紹介します。
mdbの利用
OpenLDAPでは3種類のデータベースを利用することができます。
1. bdb(Berkeley DataBase)
OpenLDAP初期に利用されているデータベースです。
現在での利用は非推奨です。データ登録の速度は遅いかわりに検索速度は速いです。
2. hdb(Hierarchical DataBase)
bdb改良版のデータベースです。
階層型になったことにより、データ登録速度が向上しています。
3. mdb(Memory-Mapped Database)
hdb登場後に後に採用されたデータベースです。
データ登録、検索速度ともに向上しています。
インデックスの作成
OpenLDAPのデータはツリー構造となっています。構造の数が多くなったり、階層が深くなると検索速度に影響します。特定の値で検索することがわかっている場合、必要な情報だけをまとめたインデックスを作成することで、狭い範囲で検索ができ、検索速度が向上します。
キャッシュサイズの調整
キャッシュサイズを増やすことでデータベースへのアクセス頻度が下がり、検索速度が向上します。データ数が多いほど効果はありますが、その分メモリを使用するためサーバ全体のリソースを見て調整が必要です。
例題の各選択肢について解説をします。
1.データベースにmdbを利用する。
不正解です。
データベースをmdbをすることで検索速度は向上します。注意点として既存でhdbを利用しており、mdbに変更する場合は、データをmdbに移行する必要があります。
2.LDAP v2に対応する。
正解です。
LDAP v(バージョン)2に対応しても検索速度の向上はありません。現在のOpenLDAPは標準でv3です。v3ではv2と比べてセキュリティ機能が盛り込まれています。
3.インデックスを作成する。
不正解です。
インデックスを作成することで検索速度は向上します。
4.キャッシュサイズを調整する。
不正解です。
キャッシュサイズの調整で検索速度は向上します。
OpenLDAPのチューニングを理解し、適切な方法を選択できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 加藤 大嗣