LinuCシステムアーキテクト SA01試験の例題と解説
SA.02.3ストレージとアクセスプロトコル
LinuC システムアーキテクト SA01試験の出題範囲から「SA.02.3 ストレージとアクセスプロトコル」についての例題を解いてみます。
例題
SMB、NFS、および WebDAV についての説明で正しいものは次のうちどれか。
- データの送受信時にデータを暗号化できるのは、SMB バージョン2.0以降、NFS v4 である。
- WebDAV はプロトコルとしては暗号化機能を持っていないが、通信時に HTTPS を使うことで暗号化が可能である。
- SMB の全てのバージョンと WebDAV は両方とも排他制御をサポートしているが、NFS の全てのバージョンは排他制御をサポートしていない。
- Linux では SMB、NFS で各サーバーにアクセスする機能がカーネルに含まれており、Windows では、SMB、NFS および WebDAV クライアントが OS に標準で含まれている。
- SMB では利用者を識別する ID としてユーザー名を使用するが、NFS では uid を使用する。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. WebDAV はプロトコルとしては暗号化機能を持っていないが、通信時に HTTPS を使うことで暗号化が可能である。」です。
SMB、NFS、WebDAV はいずれもネットワークファイルシステムを提供するプロトコルです。排他制御、暗号化といった要件の有無に応じてどのプロトコルを選択するのが最適かを判断できることが期待されます。正しく説明をしている選択肢は 2 です。WebDAV は HTTP にファイル操作のための COPY、MOVE などのメソッドを追加する形で拡張したプロトコルであり、HTTPS と組み合わせることで暗号化通信が可能です。
残りの選択肢はいずれも説明に誤りを含んでいます。1 について、暗号化通信ができるのは SMB バージョン 3.0 からです。3 について、NFS v4 からプロトコル本体に排他制御機能が入っています。また、NFS v3 でも NFS サービスとは別のデーモンを使うことで排他制御が可能です。4 について、Linux ではそれぞれのプロトコルでサーバーにアクセスするには cifs-utils や nfs-utils などのパッケージのインストールが必要です。5 については NFS に関する記載が不適切です。NFS v3 ではクライアントから渡される uid/gid をアクセス制御に使用するため、クライアントとサーバーで同じ uid/gid を用いたり、種々のマッピングを行う方法をとっていました。NFS v4 では uid/gid を直接使う代わりに Kerberos で認証する機能が含まれており、uid/gid ではなくユーザー名でアクセス制御ができます。
例題作成者
LinuC システムアーキテクト 試験開発コミュニティ