LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.10.2ホストのセキュリティ設定
LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.10.2 ホストのセキュリティ設定」についての例題を解いてみます。ここでは、/etc/shadowファイルついて確認しておきましょう。
例題
以下の中から、/etc/shadowファイルの説明として正しいものを1つ選択してください。
- ユーザのIDやホームディレクトリなどの情報が平文で記載されている。
- ユーザのIDやホームディレクトリなどの情報が暗号化されて記載されている。
- ユーザのパスワードが平文で記載されている。
- ユーザのパスワードが暗号化されて記載されている。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「4. ユーザのパスワードの情報が暗号化されて記載されている。」です。
「/etc/shadow」ファイルは、ユーザのパスワードが暗号化されて記載されているファイルです。
以下は一例ですが、パスワード以外の情報も記載されています。
bin:*:19034:0:99999:7:::
(省略)
test1:$6$qOEG13dr57oQD5Ca$gXRqtweRxqB4o4YtZN/94/VtYaIghcJ7hRNZXnxCJxA.lYAoKRLbILeGEtMpOPG/rLgTEdhXNJIHjl8NfCVp0/:19884:0:99999:7:::
test2::19884:0:99999:7:::
test3:!!$6$pJ7tuRTkSWKkdhy5$snGZRMJJqxGZ1tyoiaYpT2sBFA.D4YiLFA.7enLmpKPaTUib5vN/e0m5flrAQJBJEs/eyLgzK1jq4O7f9j3Cl1:19884:0:99999:7:::
情報は「:(コロン)」で区切られています。各フィールドに記載されている内容は以下になります。
第1フィールド | : | ユーザ名 |
第2フィールド | : | 暗号化されたパスワード |
第3フィールド | : | パスワードの変更日 |
第4フィールド | : | パスワードが変更可能になるまでの期間 |
第5フィールド | : | パスワードを変更しなくても問題ない期間 |
第6フィールド | : | パスワードが変更されていない場合に、何日前から警告を出すか |
第7フィールド | : | ログインがない場合に、アカウントが無効になるまでの期間 |
第8フィールド | : | アカウントが失効するまでの期間 |
第9フィールド | : | フラグ |
第2フィールドに、パスワードが暗号化されて記載されています。パスワードが存在しない場合は、空白になっています。
パスワードがロックされている場合、test3ユーザのようにパスワードの先頭に「!」がついています。「*」や「!」などの記号が記載されているユーザは、パスワードを使用してログインすることができません。
システムで利用しているユーザなどを、パスワードを使用してログインできないようにしておくために指定することがあります。なお、Linuxディストリビューションによって、使用する記号は異なります。
元々アカウント情報は、「/etc/passwd」ファイルに記載されていました。しかし、「/etc/passwd」ファイルは誰でも閲覧することができるため、「/etc/shadow」ファイルにパスワードを暗号化して記載し、「/etc/passwd」ファイルにはパスワードを記載しないようになりました。
「/etc/shadow」ファイルは、基本的にrootユーザしか閲覧することができません。
「/etc/passwd」ファイルには、以下のような内容が記載されています。
bin:x:1:1:bin:/bin:/sbin/nologin
(省略)
test1:x:1403:1403::/home/test1:/bin/bash
test2:x:1404:1404::/home/test2:/sbin/nologin
test3:x:1405:1405::/home/test3:/bin/bash
情報は「:(コロン)」で区切られています。各フィールドに記載されている内容は以下になります。
第1フィールド | : | ユーザ名 |
第2フィールド | : | パスワード |
第3フィールド | : | ユーザID |
第4フィールド | : | グループID |
第5フィールド | : | コメント |
第6フィールド | : | ホームディレクトリ |
第7フィールド | : | ログインシェル |
「/etc/passwd」ファイルの内容は、すべて平文で記載されています。
「/etc/shadow」ファイルを使用しているシステムでは、パスワードは「/etc/shadow」ファイルに記載されているため、第2フィールドは「x」になっています。
「/etc/shadow」ファイル、「/etc/passwd」ファイルの内容は、usermodコマンドやpasswdコマンドなどで変更を行います。
これらのコマンドについても併せて確認しておきましょう。
例題の選択肢について解説します。
1.ユーザのIDやホームディレクトリなどの情報が平文で記載されている。
「/etc/passwd」ファイルの説明のため、不正解です。
2.ユーザのIDやホームディレクトリなどの情報が暗号化されて記載されている。
誤った選択肢のため、不正解です。
3.ユーザのパスワードが平文で記載されている。
パスワードは暗号化されて記載されるため、不正解です。
4.ユーザのパスワードが暗号化されて記載されている。
正しい選択肢です。
ユーザのアカウント情報は、「/etc/passwd」ファイルと、「/etc/shadow」ファイルによって管理されています。
機能の違いを理解して、適切な設定を行えるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 宮地智哉