LinuCレベル2 201試験の例題と解説
2.04.5死活監視、リソース監視、運用監視ツール
LinuCレベル2 201試験の出題範囲から「2.04.5 死活監視、リソース監視、運用監視ツール」についての例題を解いてみます。監視ツールについて学んでいきましょう。
例題
監視ツールとその説明について間違っているものを一つ選択してください。
- Nagiosは、Icinga2から派生して開発された監視ツールである
- Cactiは、SNMPを使用しサーバやネットワーク機器を可視化できるツールである
- MRTGはネットワークデバイスが送受信したデータトラフィック量を可視化できるツールである
- ZabbixはSMTPやHTTPなどによるサービス稼働の監視ができるツールである
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「1. Nagiosは、Icinga2から派生して開発された監視ツールである」です。
システムを停止させることなく、稼働させ続けるには、システムやサーバーを的確に監視してサービスが停⽌しないよう、障害をできるだけ早期に検知して対応する必要があります。システムやサーバーの監視には、目的に合わせた監視ツールや可視化ツールを選択することが重要です。
オープンソースの監視ツールや可視化ツールには以下のようなものがあります。
- Nagios
Nagiosは、オープンソースの統合監視ソフトウェアの中でも歴史のある監視ツールです。
基本機能は、ネットワークサービスの監視、リソース監視、アラート機能など標準的な機能のみですが、プラグインを利用することで機能を増やすことができます。プラグインは、ユーザーが自分で開発し追加することが可能なため、独自のサービス監視にも対応することができます。 - Icinga2
Icinga2は、システムやリソースの監視、通知といった標準的な監視機能に加え、監視情報のグラフ化や分散構成にも対応しているオープンソースの監視ツールです。
Nagiosという監視ツールから派生して開発されました。Nagios同様に、プラグインを作成することでIcinga2に独自の監視を実装することも可能です。また、Icinga2は、WEBインターフェースだけでなく、コマンドラインインターフェースから監視設定を⾏うことができます。そのため、多数監視を行いたい場合にも適した監視ツールです。 - MRTG
MRTG は、「Multi Router Traffic Grapher」の略で、ルータなどネットワークデバイスが送受信したデータトラフィック量を可視化するためのツールです。
SNMPに対応しているため、ネットワークトラフィックだけでなく、サーバーのリソース状況(CPU、メモリ、ディスクなどの使⽤率)なども可視化することが可能です。MRTGはPerl⾔語で書かれており、取得した情報をHTML形式で出⼒することが可能で、WEBサーバーと連携して結果を表⽰させることができます。 - Cacti
Cactiは、SNMPを使用し、サーバやネットワーク機器のネットワークトラフィック、CPU使用率、空きメモリ量、ディスク使用率などを取得し、グラフ化することのできるオープンソースの可視化ツールです。プラグインを利用することで、監視ツールとして利用することもできます。
WEBインタフェースから設定することができ、利用の難易度が低いのも特徴の一つです。
Cactiは、MRTGが採用しているRRD形式のデータを扱うことができます。さらに、MRTGに比べて軽量で、より多くのネットワーク機器を管理することができます。 - Zabbix
Zabbixはサーバやネットワーク、アプリケーションに至るまで、統合的にシステムを監視することのできるオープンソースの監視ツールです。
ネットワーク機器などがサポートするSNMPを使った監視や、ICMP(ping)やHTTPなどによるサービスの稼働状況の確認、独自のZabbixエージェントを利用した監視など複数の監視⽅法に対応しています。
Zabbixには、WEBの管理画面が付属しており、Zabbixの設定変更を視覚的に行うことが可能です。
例題の選択肢について解説します。
1.Nagiosは、Icinga2から派生して開発された監視ツールである
間違った説明です。
正しくは、「Icinga2はNagiosから派生して開発された監視ツール」です。
今回は、間違っているものを選択する問題のため、「1」が正解となります。
2.Cactiは、SNMPを使用しサーバやネットワーク機器を可視化できるツールである
正しい説明です。
3.MRTGはネットワークデバイスが送受信したデータトラフィック量を可視化できるツールである
正しい説明です。
4.ZabbixはSMTPやHTTPなどによるサービス稼働の監視ができるツールである
正しい説明です。
オープンソースの監視/可視化ツールだけでも様々な種類があります。
監視したいシステムやサーバにに合わせたツールを選択できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本 知里