LinuCレベル3 304試験の例題と解説
335.1DRBD / cLVM
LinuCレベル3 304試験の出題範囲から「335.1 DRBD / cLVM」についての例題を解いてみます。
今回は、DRBDについて取り上げます。レプリケーションモードの違いについて理解しましょう。
例題
DRBDのレプリケーションモードであるプロトコルCの特徴として正しい説明を選択してください。
- 稼働系のサーバーに書き込まれたデータを待機系に送信した時点で書き込み完了とする。
- 稼働系のサーバーへの書き込みが完了すると、即座に待機系のサーバーへの書き込みが始まるが、待機系のサーバー応答を待たずに次の書き込みを開始する。
- 稼働系のサーバーと待機系のサーバーの両方に書き込みが完了するまで、稼働系のサーバーは次の書き込みを開始しない。
- 稼働系のサーバーに書き込まれたデータが定期的にバッチ処理で待機系のサーバーに送信される。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3. 稼働系のサーバーと待機系のサーバーの両方に書き込みが完了するまで、稼働系のサーバーは次の書き込みを開始しない。」です。
DRBDはLinuxシステムで使われるデータのミラーリングソフトウェアです。あるサーバーでのデータ変更を別のサーバーにリアルタイムで複製することができます。
これにより1台のサーバーが故障しても別のサーバーが代わりに動作し、データの可用性を高めます。
DRBDでのデータ複製方法は稼働系と待機系に分かれて行われます。
稼働系 | : | データーの読み書きが行われるメインのサーバーです。 |
待機系 | : | 稼働系のサーバーのデータをミラーリングするためのサーバーです。 |
稼働系でデータが書き込まれるとそのデータはネットワークを介して待機系に送られ、同じデータが書き込まれます。これにより、どちらか一方のサーバーに障害が発生しても、もう一方のサーバーでデータを利用できます。
DRBDにはデータ複製のタイミングや方法を定義する3つのプロトコルがあります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
プロトコルA
稼働系から待機系へデータを送信した時点で書き込み完了とします。データの整合性よりも書き込み速度を優先とする設定です。待機系のデータを確認しないため、稼働系でデータの破損が発生した場合、正しく復旧できない可能性があります。
プロトコルB
データは稼働系に書き込まれるとすぐに待機系に送信されますが、待機系へデータが届いた時点で書き込み完了とします。
プロトコルAより耐障害性は高いですが、こちらも待機系のデータ確認までは行いません。
プロトコルC
稼働系と待機系の両方にデータが書き込まれるまで、次の書き込み操作を開始しません。データ整合性を最優先しますが、書き込み速度は最も遅くなります。
例題の各選択肢について解説をします。
1.稼働系のサーバに書き込まれたデータを待機系に送信した時点で書き込み完了とする。
不正解です。
プロトコルAの説明です。
稼働系に書き込まれたデータがすぐに待機系に送信されますが、待機系の応答に関係なく書き込み完了とします。
2.稼働系のサーバへの書き込みが完了すると、即座に待機系のサーバへの書き込みが始まるが、待機系のサーバ応答を待たずに次の書き込みを開始する。
不正解です。
プロトコルBの説明です。
稼働系への書き込みが完了すると、即座に待機系への書き込みが始まりますが、待機系の応答を待たずに次の書き込みを開始します。
3.稼働系のサーバと待機系のサーバの両方に書き込みが完了するまで、稼働系のサーバは次の書き込みを開始しない。
正解です。
プロトコルCの説明です。
4.稼働系のサーバに書き込まれたデータが定期的にバッチ処理で待機系のサーバに送信される。
不正解です。
定期的にバッチ処理でデータを送信するプロトコルはありません。
DRBDのレプリケーションの違いを理解し、適切な設定を選択できるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 加藤大嗣