LinuCレベル1 101試験の例題と解説

1.05.1ハードウェアの基礎知識と設定

LinuC 101試験の出題範囲から「1.05.1 ハードウェアの基礎知識と設定」についての例題を解いてみます。
ここでは、lsusbコマンドについて確認しておきましょう。

Linucレベル1 101試験 出題範囲


例題

lsusbコマンドについて、正しい説明を選択してください。

  1. USBデバイスの情報を表示するコマンド
  2. USBデバイスを認識させるためのコマンド
  3. USBデバイスに関連するカーネルモジュールを確認するコマンド
  4. システムのUSBデバイスの起動ログを表示するコマンド

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、「1.USBデバイスの情報を表示するコマンド」です。

lsusbは、システムに接続されているUSBデバイスをリスト表示するためのコマンドです。USBバス(USBデバイスがホストコンピュータに接続するために使用される通信経路)、デバイスID、デバイスのメーカー名などの情報を確認することができます。

lsusbコマンドを使用すると、システムに接続されているUSBデバイスの情報を簡単に確認できます。また、lsusbコマンドは、USBデバイスのトラブル解決にも役立ちます。例えば、USBデバイスが正しく動作しない場合や認識されない場合、lsusbコマンドを使って、その機器がリストに表示されるかどうかを確認できます。これにより、問題が機器自体にあるのか等、原因の特定を行うことができます。

lsusbコマンドの書式は以下の通りです。

lsusb [ オプション ]

<出力例>

# lsusb
Bus 001 Device 002: ID 0627:0001 Adomax Technology Co., Ltd QEMU USB Tablet
Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0001 Linux Foundation 1.1 root hub

この出力の書式は次のようになっています。

USBバス番号 USBデバイスの番号 ベンダーID:製品ID デバイスのメーカー,製品名

出力例の1行目は、USBバス番号が"001"、USBのデバイス番号が"002"、ベンダーIDが"0627"、製品IDが"0001"、デバイスのメーカーと製品が"Adomax Technology Co., Ltd QEMU USB Tablet"という情報を表しています。

また、USBデバイスは、/dev/bus/usb/ディレクトリ配下で管理されています。このディレクトリ構造は、USBデバイスが物理的に接続されているバスおよびデバイスの番号を基にしています。例えば、あるUSBデバイスのUSBバス番号が001でUSBデバイスの番号が002ならば、/dev/bus/usb/001/002に格納されています。

さらに、オプションを使用して、特定の情報だけを出力したり、より詳しい情報を表示したりすることができます。

・-v, --verbose
詳細な情報を表示します。
通常の出力では、USBデバイスの基本的な情報が表示されますが、このオプションを使うと、より技術的で詳しい情報が追加されます。デバイスがどのくらいの電力を消費しているか等を確認することができます。

<出力例>

# lsusb -v

Bus 001 Device 002: ID 0627:0001 Adomax Technology Co., Ltd QEMU USB Tablet
Device Descriptor:
	:
	:
  Configuration Descriptor:
    bLength                 9
    bDescriptorType         2
    wTotalLength       0x0022
    bNumInterfaces          1
    bConfigurationValue     1
    iConfiguration          7 HID Tablet
    bmAttributes         0xa0
      (Bus Powered)
      Remote Wakeup
    MaxPower              100mA
    Interface Descriptor:
      bLength                 9
      bDescriptorType         4
      bInterfaceNumber        0
      bAlternateSetting       0
      bNumEndpoints           1
      bInterfaceClass         3 Human Interface Device
      bInterfaceSubClass      0
      bInterfaceProtocol      0
      iInterface              0
	:
	:
Device Qualifier (for other device speed):
  bLength                10
  bDescriptorType         6
  bcdUSB               2.00
  bDeviceClass            0
  bDeviceSubClass         0
  bDeviceProtocol         0
  bMaxPacketSize0        64
  bNumConfigurations      1
Device Status:     0x0000
  (Bus Powered)
	:

例えば出力例の"MaxPower"から、このデバイスが消費する最大電力は100mAであるということを確認できます。

・-s [USBバス番号:][USBデバイスの番号]
指定されたUSBバス、USBデバイスの番号のデバイスのみを表示します。

・-d [ベンダーID]:[製品ID]
指定されたベンダーIDおよび製品IDを持つデバイスのみを表示します。

選択肢の解説は以下です。

1.USBデバイスの情報を表示するコマンド
正解です。

2.USBデバイスを認識させるためのコマンド
不正解です。
lsusbは、USBデバイスの情報を表示するコマンドで、デバイスを認識させるためのコマンドではありません。

3.USBデバイスに関連するカーネルモジュールを確認するコマンド
不正解です。
lsusbは、カーネルモジュールを確認するためのコマンドではありません。

4.システムのUSBデバイスの起動ログを表示するコマンド
不正解です。
lsusbでは、USBデバイスの起動ログやUSBの動作履歴を表示することはできません。

今回は、lsusbコマンドについて確認しました。
lsusbコマンドを使用してUSBデバイスについて正しく情報を取得できるようにしましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット 経営企画室 宮本 郁実

ページトップへ