1.09.1システム時刻の管理

LinuCレベル１ 102試験の出題範囲から「1.09.1 システム時刻の管理」についての例題を解いてみます。ここでは、tzselectコマンドについて確認しておきましょう。

Linucレベル1 102試験 出題範囲

例題

tzselectコマンドの説明として正しいものを選択してください。

1. 対話形式で指定した地域や国のタイムゾーン名を調べることができる
2. システム全体のタイムゾーンを設定できる
3. システムの時刻を設定することができる
4. ユーザ毎のタイムゾーンを設定できる

※この例題は実際の試験問題とは異なります。

解答と解説

正解は、「1. 対話形式で指定した地域や国のタイムゾーン名を調べることができる」です。

tzselectコマンドは、指定した地域や国のタイムゾーン名と、その設定方法を表示することができるコマンドです。対話形式で、ユーザから地域名や国名などの情報を受け取り、その地点を含んでいるタイムゾーンの名前や時刻、設定方法を標準出力に表示します。ただし、システムのタイムゾーンを設定する機能はありません。

タイムゾーンとは、地域ごとに使用される時刻の標準を示すものです。各タイムゾーンは、世界標準時(以下、UTC)からの時差を基に、標準時間を設定しています。UTCとは、世界的に定められた標準時刻のことを指します。例えば、日本の場合は「Asia/Tokyo」というタイムゾーンに属しています。UTCとは+9時間の時差があります。

tzselectコマンドを実行すると、以下のように表示されます。

$ tzselect
Please identify a location so that time zone rules can be set correctly.
Please select a continent, ocean, "coord", or "TZ".
 1) Africa
 2) Americas
 3) Antarctica
 4) Asia
 5) Atlantic Ocean
 6) Australia
 7) Europe
 8) Indian Ocean
 9) Pacific Ocean
10) coord - I want to use geographical coordinates.
11) TZ - I want to specify the timezone using the Posix TZ format.
#?

初めに、地域名・coord・TZのいずれかを選択します。
coordとTZについては、特殊な検索方法になるため、今回は取り上げません。

4番(Asia)を選択すると、以下のように表示されます。

#? 4 ←入力
Please select a country whose clocks agree with yours.
 1) Afghanistan           27) Laos
 2) Antarctica            28) Lebanon
 3) Armenia               29) Macau
 4) Azerbaijan            30) Malaysia
 5) Bahrain               31) Mongolia
 6) Bangladesh            32) Myanmar (Burma)
 7) Bhutan                33) Nepal
 8) Brunei                34) Oman
 9) Cambodia              35) Pakistan
10) China                 36) Palestine
11) Cyprus                37) Philippines
12) East Timor            38) Qatar
13) Georgia               39) Russia
14) Hong Kong             40) Saudi Arabia
15) India                 41) Singapore
16) Indonesia             42) Sri Lanka
17) Iran                  43) Syria
18) Iraq                  44) Taiwan
19) Israel                45) Tajikistan
20) Japan                 46) Thailand
21) Jordan                47) Turkmenistan
22) Kazakhstan            48) United Arab Emirates
23) Korea (North)         49) Uzbekistan
24) Korea (South)         50) Vietnam
25) Kuwait                51) Yemen
26) Kyrgyzstan
#?

ここでは、国の名前を選択します。
23番(Japan)を選択すると以下のように表示されます。

#? 23 ←入力
The following information has been given:

        Japan

Therefore TZ='Asia/Tokyo' will be used.
Selected time is now:   Wed Oct  9 11:46:42 JST 2024.
Universal Time is now:  Wed Oct  9 02:46:42 UTC 2024.
Is the above information OK?
1) Yes
2) No
#?

TZ=に書かれているものが、選択した地点を含んでいるタイムゾーン名になります。上記の例では、「Asia/Tokyo」です。また、タイムゾーンとUTCの現在時刻がそれぞれ表示されています。

時差を確認して、このタイムゾーンで良いか、Yes/Noで選択します。なお、2番(No)を選択すると、最初の選択肢（地域名・coord・TZ）まで戻ります。

1番(Yes)を選択すると以下のように表示されます。

#? 1 ←入力
You can make this change permanent for yourself by appending the line
        TZ='Asia/Tokyo'; export TZ
to the file '.profile' in your home directory; then log out and log in again.

Here is that TZ value again, this time on standard output so that you
can use the /usr/bin/tzselect command in shell scripts:
Asia/Tokyo

調べたタイムゾーンを、システムに設定する方法が表示されます。なお、この表示内容はディストリビューションによって異なる場合があります。

例題の選択肢について解説します。

１. 対話形式で指定した地域や国のタイムゾーン名を調べることができる
正しい説明です。

２. システム全体のタイムゾーンを設定できる
誤った説明です。
tzselectコマンドには、タイムゾーンを設定する機能はありません。

３. システムの時刻を設定することができる
誤った説明です。
tzselectコマンドには、システムの時刻を設定する機能はありません。

４. ユーザ毎のタイムゾーンを設定できる
誤った説明です。
tzselectコマンドには、タイムゾーンを設定する機能はありません。

tzselectコマンドは、指定した地域や国のタイムゾーン名とその設定方法を調べることができるコマンドです。正しいタイムゾーンを使用できるよう、検索方法を理解しておきましょう。

例題作成者

株式会社デージーネット 経営企画室 宮地 智哉