LinuCレベル2 202試験の例題と解説
2.07.2PAM認証
LinuCレベル2 202試験の出題範囲から「2.07.2 PAM認証」についての例題を解いてみます。
例題
PAMの設定ファイル内のモジュール管理グループ、「account」の説明として適切なものを選んでください。
- 通常はパスワードにより、ユーザ認証を行う
- パスワード設定と確認に使用される
- ユーザ-パスワードの期限切れやサービス利用権限の有無を確認する
- ユーザ認証の前後に実行すべき処理を指定する
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3.ユーザ-パスワードの期限切れやサービス利用権限の有無を確認する」です。
PAM (Pluggable Authentication Module) は、Linuxシステムで認証を管理するための仕組みです。PAMは、さまざまな認証方法をサポートするためにモジュールベースで構成されています。
PAMの設定は、/etc/pam.d/ディレクトリに保存されています。このディレクトリ内のファイルは、システムのさまざまなサービス(login、sshd、sudoなど)ごとに設定されます。
設定は、以下の書式で行います。
<モジュール管理グループ> <コントロールフラグ> <モジュール名> [引数...]
以下は設定例です。
auth required pam_unix.so
内容について詳しく見ていきます。
モジュール管理グループ「auth」 | ユーザ認証を実施する |
コントロールフラグ 「required」 | 認証を続行するには、このモジュール結果が成功する必要があり、認証に失敗した場合は他のモジュールをすべて実行した後に認証を拒否する |
モジュール名 「pam_unix.so」 | UNIXの従来のパスワードシステムを使用し、/etc/passwd や /etc/shadow ファイルに保存されたユーザーのパスワード情報を使って認証を行うモジュールを利用する |
つまり上記は、ユーザーがシステムにログインするときに、pam_unix.so モジュールが呼び出され、ユーザー名とパスワードのペアがチェックされるような設定が行われています。
各項目で定義できる設定は主に以下のようなものがあります。
・モジュール管理グループ
その行がどの認証プロセスに対応するかを定義します。システムの認証プロセスにおいて、4つのモジュール管理グループに分類されます。
account | アカウントの有効期限などアクセス許可を確認 |
auth | ユーザ認証を実施 |
password | ユーザパスワードの変更に使用 |
session | ユーザ認証前後に実行する処理を指定 |
・コントロールフラグ
モジュールの成功・失敗が認証プロセス全体にどう影響するかを定義します。主なフラグは以下の通りです。
required | 認証に失敗した場合、他のモジュールをすべて実行した後に認証を拒否 |
requisite | 認証に失敗した場合、即座に認証を拒否 |
sufficient | この認証が成功、かつ以前に処理されたrequiredが失敗していない場合、認証を許可 |
optional | 結果が無視される項目ただし、該当のモジュール管理グループの他のモジュールが、このモジュールの結果を参照している場合には、認証成功にならない |
include | <モジュール名>で指定したモジュールと対応した設定ファイルを読み込み処理を追加する |
・モジュール名
認証処理を行うモジュール名を指定します。
次に、例題の各選択肢について解説をします。
1.通常はパスワードにより、ユーザー認証を行う
これは、「auth」の説明です。
「auth」はユーザーの認証を担当します。ユーザーがシステムにアクセスするための資格情報を検証し、確認が行われます。通常は、ユーザー名とパスワードの組み合わせを確認するために使用されます。
2.パスワード設定と確認に使用される
これは、「password」の説明です。
「password」はユーザーのパスワードを管理します。新しいパスワードの設定やパスワードの変更が行われる際に使用されます。また、パスワードの複雑さをチェックしたり、有効期限を設定することもできます。
3.ユーザ-パスワードの期限切れやサービス利用権限の有無を確認する
こちらが正解です。「account」の説明です。
「account」は、ユーザーのアカウントの状態や権限を確認します。例えば、アカウントが期限切れでないか、システムへのアクセスが許可されているか、アクセスに時間等の制限がないかなどをチェックします。
4.ユーザ認証の前後に実行すべき処理を指定する
これは、「session」の説明です。
「session」はユーザーのセッションの開始と終了時に実行される処理を管理します。ユーザーのホームディレクトリをマウントしたり、ユーザーのメールボックスを利用可能にするなど、アクセスを許可するために必要な追加のタスクも実行できます。
認証の設定はセキュリティ対策の基本であり、特に不特定のユーザが利用するようなシステムでは、ユーザ毎の認証設定は必須です。PAMの設定方法を把握し、Linuxシステムを適切に運用できるようにしましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 今村 凌太