LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.07.2基本的なネットワーク構成
LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.07.2 基本的なネットワーク構成」についての例題を解いてみます。
ここでは、pingコマンドについて確認しておきましょう。
例題
pingコマンドを使用して行えることとして正しいものを1つ選択してください。
- ネットワーク上の別のホストとの通信状態を確認する
- ネットワーク上の別のホストまでの通信経路を一覧表示する
- ネットワーク上の別のホストに対して、指定したTCP/UDPポートの接続性を確認する
- ネットワーク上の複数ホストの応答時間を一覧表示する
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「1. ネットワーク上の別のホストとの通信状態を確認する」です。
pingコマンドは、ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコー要求を送信し、それに対するエコー応答を確認することで、ネットワーク上のホストとの通信状態を確認することができるコマンドです。ICMPとは、ネットワーク間の通信状態の確認をするために使われるプロトコルです。
pingコマンドの書式は以下の通りです。
ping [option] {destination}
destinationは通信状態を確認したいホストを指定します。ホスト名またはIPアドレスで指定します。
pingコマンドの主なオプションは以下の通りです。
-4 | : | IPv4アドレスのみを使用して通信を行います |
-6 | : | IPv6アドレスのみを使用して通信を行います |
-c | : | パケットの送信回数を指定します |
-i | : | パケットの送信間隔の秒数を指定します |
-s | : | 送信するパケットのバイト数を指定します |
-w | : | pingコマンドを実行する秒数を指定します |
-W | : | 1パケット毎に、応答を待機するミリ秒を指定します |
上記以外にもオプションはありますので、併せて確認しておきましょう。
pingコマンドを実行すると、以下のように表示されます。
解説を行うために、一部行末に番号を振っています。
$ ping -c 3 10.1.3.44
PING 10.1.3.44 (10.1.3.44) 56(84) bytes of data. --- ①
64 バイト応答 送信元 10.1.3.44: icmp_seq=1 ttl=64 時間=0.419ミリ秒 --- ②
64 バイト応答 送信元 10.1.3.44: icmp_seq=2 ttl=64 時間=0.372ミリ秒
64 バイト応答 送信元 10.1.3.44: icmp_seq=3 ttl=64 時間=0.517ミリ秒
--- 10.1.3.44 ping 統計 ---
送信パケット数 3, 受信パケット数 3, 0% packet loss, time 2066ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.372/0.436/0.517/0.060 ms --- ③
実行結果について簡単に解説します。
①はエコー要求に関する情報を示しています
・「10.1.3.44」が宛先ホストのIPアドレスです
②はエコー応答に関する情報を示しています
・「64 バイト応答」は宛先ホストから応答があったことが表示されています
・「送信元 10.1.3.44」は応答を送信したホストのIPアドレスが表示されています
③はICMP通信の統計情報を示しています
・パケットの送受信や、通信時間に関する情報が表示されています
上記から、10.1.3.44へはICMP通信が可能であるということがわかります。
以下は、ICMP通信ができない場合の実行例になります。
※ネットワークの構成によっては、通信を中継している機器が返したエラーメッセージが表示される場合があります。
$ ping -c 3 1.2.3.4
PING 1.2.3.4 (1.2.3.4) 56(84) bytes of data.
--- 1.2.3.4 ping 統計 ---
送信パケット数 3, 受信パケット数 0, 100% packet loss, time 2076ms
例題の選択肢について解説します。
1. ネットワーク上の別のホストとの通信状態を確認する
正しい選択肢です。
2. ネットワーク上の別のホストまでの通信経路を一覧表示する
誤った選択肢です。pingコマンドではできません。
3. ネットワーク上の別のホストに対して、指定したTCP/UDPポートの接続性を確認する
誤った選択肢です。pingコマンドではできません。
4. ネットワーク上の複数ホストの応答時間を一覧表示する
誤った選択肢です。pingコマンドではできません。
pingコマンドを使用することでホスト間の通信状況を確認することができます。
正しく扱えるように、使用方法を理解しておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 宮地智哉