LinuCレベル1 102試験の例題と解説

1.11.1オープンソースの概念とライセンス

LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.11.1 オープンソースの概念とライセンス」についての例題を解いてみます。

Linucレベル1 102試験 出題範囲


例題

オープンソースソフトウェア(OSS)の説明として正しいものをすべて選びなさい。

  1. ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・改変をすることができる。
  2. 誰でも自由に利用することができるが、再配布は禁止されている。
  3. OSSにはライセンスが存在し、利用する上での制約が定められている。
  4. 誰でも自由に利用することができるが、軍事目的での使用は禁止されている。

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、

1. ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・改変をすることができる。

3. OSSにはライセンスが存在し、利用する上での制約が定められている。

です。

オープンソースソフトウェア(OSS)とは、プログラムのソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に利用できるソフトウェアのことを指します。

OSSには、次のような特徴があります。

(1) ソースコードが公開されている
OSSでは、プログラムの設計図であるソースコードが公開されており、誰でも閲覧・取得可能です。OSSライセンスの範囲内で、ユーザはソフトウェアを自由に利用・改変・再配布できます。企業や個人がOSSを活用し、独自の機能を追加したり、バグを修正したりすることが可能です。

(2)無保証
OSSは基本的に「無保証(No Warranty)」で提供されます。つまり、OSSを利用して何か問題が発生しても、開発者や提供者は責任を負わないというのが一般的です。商用ソフトウェアのようにサポートを受けられるとは限らないため、企業で利用する場合は、自己責任で管理する必要があります。

(3)コミュニティ主導の開発
OSSは多くの場合、世界中の開発者が参加するコミュニティによって開発・改善が続けられています。開発が継続されるOSSは、機能追加やバグ修正が迅速に行われています。

(4)多様なライセンス
OSSにはさまざまなライセンスが存在し、それぞれ異なるルールを持っています。OSSを利用する際は、ライセンスの種類と条件を理解することが重要です。主に以下のようなものが存在します。

GPL

  • 誰でも自由に入手・使用・改変・再頒布することを認めている
  • バージョン・派生系で細かく定義が異なる(GPL/GPLv2/GPLv3/LGPL/AGPL)
  • GPLのソフトウェアをカスタマイズしたり、内部に組み込むソフトウェアを頒布する場合、派生物にあたるソフトウェアもGPLを継承しなければならない(コピーレフト)

MIT

  • 誰でも自由に入手・使用・改変・再頒布することを認めている
  • カスタマイズしたものの再頒布・商用利用が可能(カスタマイズしたものの再頒布・商用利用が可能)
  • ライセンスは伝搬しない(新たに開発した部分について、独自のライセンスを新たに設定可能)

Apache License Version 2

  • MITライセンスとほぼ同様に利用可能

次に、例題の各選択肢を見ていきましょう。

1. ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・改変をすることができる。
正しいです。
OSSは、プログラムのソースコードが一般に公開されており、ライセンスで定められた範囲内で自由に利用・改変をすることができます。

2. 誰でも自由に利用することができるが、再配布は禁止されている。
誤りです。
OSSは、利用・改変・再配布が認められています。しかし、ソフトウェアごとにライセンスが定められているため、特に改変や再配布を行う際はライセンスに従う必要があります。

3. OSSにはライセンスが存在し、利用する上での制約が定められている。
正しいです。
先述の通りです。

4. 誰でも自由に利用することができるが、軍事目的での使用は禁止されている。
誤りです。
特定の用途を制限することは認められていません。OSSの要件について厳密な定義はありませんが、一般的には、米国のOpen Source Initiative(OSI)という組織が掲げたOpen Source Definition(OSD)が、オープンソースの定義として使われています。Open Source Definition(OSD)は、Open Source Initiative(OSI)が提唱したオープンソースソフトウェア(OSS)と認められるための基準の要件のことで、以下の10項目が定められています。

  • 再配布の自由
  • ソースコードの配布
  • 派生ソフトウェアの配布の許可
  • 作者コードの完全性
  • 個人やグループに対する差別の禁止
  • 使用分野に対する差別の禁止
  • ライセンスの配布
  • 製品を特定したライセンスの禁止
  • 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
  • ライセンスの技術的な中立

OSSは誰でも無料で品質の高い機能が利用できるため、とても便利です。しかし、OSSにもライセンスによる制約があり、利用時に注意が必要なポイントがいくつかあります。便利なOSSを適切に有効活用できるよう、特徴についてしっかりと理解しておきましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット 経営企画室 今村凌太

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