LinuCレベル3 304試験の例題と解説

330.5Libvirt および関連ツール

LinuCレベル3 304試験の出題範囲から「330.5 Libvirt および関連ツール」についての例題を解いてみます。
今回は、virsh コマンドについて取り上げます。virsh コマンドのサブコマンドについて理解しましょう。

Linucレベル3 304試験 出題範囲


例題

稼働中の仮想マシン test1 を停止するためのコマンドとして正しいものを選択してください。

  1. virsh stop test1
  2. virsh quit test1
  3. virsh shutdown test1
  4. virsh undefine test1

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、「3. virsh shutdown test1」です。

KVM は Linux 上で仮想マシン環境を稼働させる実装の一つです。CPU の VT-x 機能や AMD-V 機能を使用して完全仮想化による仮想マシン環境を提供します。仮想マシンを管理するためのデーモンとして libvirtd が使用されます。

KVM の仮想マシン環境をコマンドラインで管理するために virsh コマンドが用いられます。virsh コマンドでは仮想マシンの作成、起動、停止、削除のほか、ネットワーク設定やストレージなどの管理を行うこともできます。

virsh を利用するほか、Virt Manager や Cockpit を用いて GUI 上で仮想マシン環境の管理を行うことも可能です。

virsh コマンドの実行は下記のような書式で行います。

virsh [<オプション>] <サブコマンド> [<引数>]

仮想マシンの操作を行う場合、引数には仮想マシン名を指定する場合が多いです。

主なサブコマンドには下記のようなものがあります。

list仮想マシンの一覧を表示する
define仮想マシンを作成する
undefine仮想マシンを削除する
start仮想マシンを起動する
shutdown仮想マシンを停止する
destroy仮想マシンを強制停止する
suspend仮想マシンを一時停止する
resume一時停止した仮想マシンを再開する
save仮想マシンを停止し、状態をファイルに保存する
restore保存したファイルから仮想マシンを復元する
dumpxml仮想マシンの設定を XML ファイルにダンプする
createXML ファイルから仮想マシンを作成する
console仮想マシンのコンソールに接続する
autostart仮想マシンの自動起動設定を編集する
edit仮想マシンの設定を編集する

また、下記のように virsh コマンドを単体で実行すると対話モードとなります。

virsh

このモードでは上記サブコマンドを実行して対話的に操作を行うことができます。
quit サブコマンドで対話モードを終了できます。

例題の各選択肢について解説をします。

1. virsh stop test1
不正解です。
virsh には stop というサブコマンドはありません。「virsh stop test1」のように実行しても何も起きません。

2. virsh quit test1
不正解です。
quit は virsh コマンドを対話的に実行した際にそれを終了するために使われます。「virsh quit test1」のように実行しても何も起きません。

3. virsh shutdown test1
正解です。
通常の手続きを踏んで仮想マシンを停止します。shutdown サブコマンドでうまく停止できない場合などには、「virsh destroy test1」コマンドで強制停止ができます。

4. virsh undefine test1
不正解です。
undefine は仮想マシン関連のファイルをすべて削除するサブコマンドですが、稼働中の仮想マシンは停止されず稼働し続けます。undefine 実行後に仮想マシンが停止すると、仮想マシンは二度と起動できない状態となります。

virsh コマンドのサブコマンドについて理解し、仮想マシン環境の管理の準備をしておきましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット 経営企画室 加茂 智之

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