LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.10.1セキュリティ管理業務の実施
LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.10.1 セキュリティ管理業務の実施」についての例題を解いてみます。
ここでは、システムで稼働しているサービスやポートの確認方法について解説します。
例題
自身または外部のマシンのセキュリティ診断のため、稼働しているサービスやポートを確認する場合に使うコマンドとして、正しいものを1~4のうち1つだけ選択してください。
- netstat
- nmap
- ss
- lsof
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. nmap」です。
サーバプロセスを起動すると、そのプロセスは特定のポートを開いて、通信の接続要求を受け入れる状態になります。攻撃者は、開いているポートが分かれば、外部からそのポートに接続して情報収集や攻撃をすることが可能になります。そのため、開いているポートは最小限にとどめておく必要があり、不要なポートが開いている(不要なサービスが稼働している)と攻撃されるリスクが高まることになります。どのポートが開いているのかは、次のコマンドで確認できます。
- netstat コマンド
ローカルマシンの接続状況を確認することができます。稼働しているサービスやポートを確認する際の使用例は次の通りです。
# netstat -atu
Active Internet connections (servers and established)
Proto Recv-Q Send-Q Local Address Foreign Address State
tcp 0 0 0.0.0.0:ssh 0.0.0.0:* LISTEN
tcp 0 0 0.0.0.0:http 0.0.0.0:* LISTEN
※netstatは一部のシステムで非推奨となっており、代わりにssコマンドが使われることがあります。
- ss コマンド
ローカルマシンのソケット状態(接続/リッスン)を確認することができます。稼働しているサービスやポートを確認する際の使用例は次の通りです。
# ss -atu
Netid State Recv-Q Send-Q Local Address:Port Peer Address:Port
tcp LISTEN 0 128 0.0.0.0:ssh 0.0.0.0:*
tcp LISTEN 0 511 0.0.0.0:http 0.0.0.0:*
- lsof コマンド
ローカルマシンで開いているファイルとソケットを表示することができます。稼働しているサービスやポートを確認する際の使用例は次の通りです。
# lsof -i
COMMAND PID USER FD TYPE DEVICE SIZE/OFF NODE NAME
nginx 286921 nginx 6u IPv4 387533 0t0 TCP *:http (LISTEN)
nginx 286921 nginx 7u IPv6 387534 0t0 TCP *:http (LISTEN)
nginx 286922 nginx 6u IPv4 387533 0t0 TCP *:http (LISTEN)
nginx 286922 nginx 7u IPv6 387534 0t0 TCP *:http (LISTEN)
sshd 327034 root 3u IPv4 1263211 0t0 TCP *:ssh (LISTEN)
sshd 327034 root 4u IPv6 1263213 0t0 TCP *:ssh (LISTEN)
- nmap コマンド
ポートスキャン(ネットワーク経由で開いているポートを確認する行為)をすることができるコマンドで、主にセキュリティ診断目的で使います。稼働しているサービスやポートを確認する際の使用例は次の通りです。(ホスト名またはIPアドレスを指定します)
# nmap 192.168.100.1
Starting Nmap 7.92 ( https://nmap.org ) at 2025-06-09 10:51 JST
Nmap scan report for 192.168.100.1
Host is up (0.00067s latency).
Not shown: 986 filtered tcp ports (no-response), 10 filtered tcp ports (admin-prohibited)
PORT STATE SERVICE
22/tcp open ssh
80/tcp closed http
443/tcp closed https
例題の選択肢について解説します。
1. netstat
誤った選択肢です。
このコマンドは、ローカルマシンの接続状況やポートの確認をするためのものです。
2. nmap
正しい選択肢です。
ネットワーク経由で、指定したホストのポートやサービスを確認できるため、セキュリティ診断目的で使います。
3. ss
誤った選択肢です。
netstatと同様に、ローカルマシンの接続状況やポートの確認をするためのものです。
4. lsof
誤った選択肢です。
ポートを使っているプロセスを確認できますが、対象はローカルマシンです。
今回は、システムで稼働しているサービスやポートの確認方法について解説しました。不要なサービスが稼働している(不要なポートが開いている)と攻撃を受けるリスクが高まるので、今回紹介したコマンドを活用して、システムの状況を一度見直してみましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 小倉 崇志