LinuCレベル2 202試験の例題と解説

2.07.1DHCPサーバーの設定と管理

LinuCレベル2 202試験の出題範囲から「2.07.1 DHCPサーバーの設定と管理」についての例題を解いてみます。

Linucレベル2 202試験 出題範囲


例題

DHCPサーバがクライアントに対して配布することのできない情報をすべて選んでください。

  1. DNSサーバアドレス
  2. MACアドレス
  3. 静的ルーティング
  4. NTPサーバアドレス
  5. ホスト名

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

正解は、「2. MACアドレス」です。

DHCPサーバは、ネットワーク上のクライアント機器(PCやスマートフォン、プリンターなど)に対して、自動的にIPアドレスやネットワーク設定情報を割り当てる仕組みを提供するサーバです。
IPアドレス以外にも例えば、以下の情報を配布することができます。

  • サブネットマスク
  • デフォルトゲートウェイ
  • DNSサーバアドレス
  • ホスト名
  • NTPサーバ

DHCPの基本的な通信の流れは以下のようになっています。
※IPv4アドレスを払い出す、DHCPv4の通信の例です。

Discover : クライアントがネットワークに対してブロードキャストでDHCP探索を行う
Offer : DHCPサーバが候補のIPアドレスなどをDHCP提案をする
Request : クライアントが提案を受けたIPの払い出しをしてもらうよう、DHCP要求をする
Ack : DHCPサーバが、要求に対しIP払い出しのDHCP承認をする

Linuxでよく使われるDHCPサーバソフトウェアは以下のようなものがあります。

  • ISC-DHCP

ISC(Internet Systems Consortium)によって開発されたソフトウェア。ISC DHCPは、ケーブルテレビ、プロバイダ、企業、大学などの大規模なネットワークを持つ組織で多く利用されている。2022年に開発元によるISC DHCPのメンテナンスは終了しているが、Linuxディストリビューションによるサポートは現在も継続されている。

  • Kea DHCP

ISC-DHCPの後継にあたるDHCPサーバとしてISCよりリリースされたソフトウェア。RHEL10では、ISC-DHCPに代わりディストリビューションのサポート対象ソフトとなっている。

次に、例題の各選択肢の詳細について解説をします。

1. DNSサーバアドレス
DHCPサーバにて配布することが可能です。
クライアントが名前解決をする際に使うDNSサーバを指定することができます。

2. MACアドレス
DHCPサーバにて配布することができません。よって、選択肢としては正解です。
MACアドレスはネットワークに接続する機器に割り当てられた固有の識別番号のことです。12桁の16進数で表され、世界で一つだけの番号です。ネットワーク上で機器を区別するために使用されます。MACアドレスはハードウェア側が持つ情報となり、NICに対して固定で割り当てられています。DHCPサーバから割り当てられるような情報ではありません。

3. 静的ルーティング
DHCPサーバにて配布することが可能です。
通信を行う際のネットワークの経路情報を設定することができます。

4. NTPサーバアドレス
DHCPサーバにて配布することが可能です。
クライアントが時刻同期を行う際に問い合わせるサーバを指定することができます。

5. ホスト名
DHCPサーバにて配布することが可能です。
クライアントのホスト名を指定することができます。しかし、クライアントのOSによっては無視されることもありますので注意が必要です。

DHCPでは、クライアントに対して様々なオプション情報を提供することができます。適切な情報をクライアントに提供できるよう理解しておきましょう。


例題作成者

株式会社デージーネット 経営企画室 今村 凌太

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