LinuCレベル2 201試験の例題と解説
主題2.04システムの保守と運用管理
2.04.2バックアップとリストア
LinuCレベル2 201試験の出題範囲から「2.04.2 バックアップとリストア」についての例題を解いてみます。
例題
rsync を利用して、前回バックアップから更新されたファイルのみコピーしたいです。どのオプションを利用すればよいでしょうか?
- --ignore-existing
- --update
- --inplace
- --verbose
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. --update」です。
rsyncはファイルやディレクトリを効率的にコピー・同期するためのコマンドです。Linux系サーバのデータをバックアップする際によく使われています。通常のcpやscpと違う大きな特徴は、差分コピーができることです。すでにコピー済みのファイルはスキップし、変更された部分だけを転送するため、効率よくバックアップやミラーリングを行うことが可能です。
例題の各選択肢の詳細について解説をします。
1. --ignore-existing
不正解です。
--ignore-existingは、受信側(コピー先)に存在するファイルについては更新をスキップするオプションです。利用シーンとしては、最初のバックアップ後に、新規に追加されたファイルだけを同期したい場合に有効です。今回は、前回バックアップから更新されたファイルを更新したいため、選択肢としては誤りとなります。
2. --update
正解です。
--updateは、受信側(コピー先)のファイルが 送信元(コピー元)より新しい場合は上書きしないオプションです。短縮系である-uを指定しても同じ挙動となります。結果として、送信元で更新されたファイルだけをコピーする挙動になるため、正解となります。
3. --inplace
不正解です。
--inplaceは、ファイルを上書きするオプションです。rsyncは、ファイルを同期先に一時ファイルとしてコピーし、コピー完了後に置き換える動作をします。--inplace オプションを付けると、同期先ファイルに直接上書きコピーするため、大きなサイズのファイルを同期するとき等には高速化されます。
今回の例題でやりたいことと用途が異なるため、選択肢としては誤りとなります。
4. --verbose
不正解です。
--verboseは、rsyncの実行時に処理内容を詳細に表示するオプションです。バックアップや同期処理を「何がコピーされたか」確認したいときに有効です。短縮系は-vとなり、複数回指定(-vv や -vvv)することで表示の詳細度が上がります。
今回の例題でやりたいことと用途が異なるため、選択肢としては誤りとなります。
重要なデータを扱うようなシステムでは、バックアップが必要不可欠です。rsyncの正しい使い方を学ぶことで、効率的にバックアップを取得できるようにしましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット 経営企画室 今村 凌太