LinuCレベル3 3SS試験の例題と解説
主題3SS.04セキュアプロトコルによる各種機能の実装
3SS.04.5メールセキュリティ
LinuCレベル3 SS試験の出題範囲から「4.5_メールセキュリティ」についての例題を解いてみます。
LinuCレベル3 セキュリティスペシャリスト 3SS試験 出題範囲
例題
メールセキュリティ担当者が、 SPF 、 DKIM 、 DMARC の導入を検討している。以下のシナリオで、各技術が具体的にどのような問題を解決するかについて、最も適切な対応関係はどれか。
シナリオ:
- A. 外部の攻撃者が、自社ドメインを詐称してメールを送信している
 - B. 正規のメールが送信途中で内容を改ざんされる可能性がある
 - C. なりすましメールに対する対策方針と被害状況を把握したい
 
- A → DKIM、B → SPF、C → DMARC
 - A → DMARC、B → SPF、C → DKIM
 - A → SPF、B → DKIM、C → DMARC
 - A → SPF、B → DMARC、C → DKIM
 - A → DKIM、B → DMARC、C → SPF
 
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3.A → SPF、B → DKIM、C → DMARC」です。
本問題は、メールセキュリティにおける三大技術(SPF、DKIM、DMARC)の役割と、それぞれが解決する課題を正確に理解しているかを問うものです。これらの技術は独立して機能しながらも相互に補完し合い、多層的なメールセキュリティを実現します。
- SPF の役割: SPFは、RFC 7208で標準化されたメール認証技術で、送信元IPアドレスの正当性を検証します。
 - DKIM の役割: DKIMは、RFC 6376で標準化された電子署名技術で、メールの完全性と送信元の真正性を保証します。
 - DMARC の役割: DMARCは、RFC 7489で標準化された認証ポリシー・レポート技術で、SPFとDKIMの認証結果を統合管理します。
 
各シナリオに対して、最も適切な技術とその機能を以下に示します。
- シナリオAとSPFの対応: 外部攻撃者による自社ドメイン詐称に対して、SPFはDNSで許可されたIPアドレス範囲を定義し、それ以外からの送信を検出・拒否します。RFC 7208の仕様に基づき、
MAIL FROMドメインのSPFレコードを照会することで、IPレベルでのなりすまし防止を実現します。 - シナリオBとDKIMの対応: メール送信途中での内容改ざんに対して、DKIMは送信時に秘密鍵で電子署名を付与し、受信時に公開鍵で検証します。RFC 6376で規定されたrsa-sha256アルゴリズムにより、メールヘッダーと本文の完全性を暗号学的に保証します。
 - シナリオCとDMARCの対応: なりすまし対策の方針策定と被害状況把握に対して、DMARCはSPFとDKIMの認証結果を統合評価し、RFC 7489に基づいてポリシー(none/quarantine/reject)を設定します。RUAレポート(集計データ)とRUFレポート(個別事例)により、認証失敗の傾向分析と対策の効果測定が可能になります。
 
例題作成者
LinuC 試験開発コミュニティ