オンプレミスのクラウド環境

【連載コラム:仮想化技術をしっかり解説します(9)】
オンプレミスとは自前のリソースを利用する形態のこと。オンプレミスのクラウド環境とは一体どういうものなのでしょうか?

最終更新日:2022年08月05日
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前回は、クラウドとは何かについて解説しました。今回は、オンプレミスのクラウド環境について紹介します。


オンプレミスのクラウド環境

外部のクラウドサービスを使うのに対して、自前のリソースを利用する形態を「オンプレミス」(on-premise)と呼びます。「敷地内」というような意味の言葉になります。元々、自前でサーバーなどのリソースを用意する不便さを解消するためにクラウドサービスを利用する形態が進みましたが、逆にクラウド上のリソースが増えすぎたため、様々な理由でオンプレミスに回帰する場合があります。また、両者を併用する「ハイブリッド」な構成も当たり前になりつつあります。

オンプレミスなクラウド環境を用意する方法はいろいろとありますが、ここでは特によく使われているオープンソースのソリューションであるOpenStackを紹介します。

OpenStackによるクラウド環境

OpenStackは、2010年から開発が進められている、オンプレミスにクラウド環境を構築するためのソリューションです。様々な機能を持つソフトウェア群で構成されていますが、ここでは基本的な機能を紹介します。

Nova(コンピュート)

最も基本である仮想マシンのインスタンスを実行する機能です。ユーザーの指示にしたがって、仮想マシンのインスタンスを起動したり、停止したりするのが主な役目です。

Neutron(ネットワーク)

Novaで起動したインスタンスへの接続を担うネットワークを管理します。L2やL3のネットワークの他、外部のロードバランサーなどの機能を呼び出すことも行います。ちなみに、ロードバランサーは「Octavia」というサービスが用意されています。

Cinder(ブロックストレージ)

インスタンスが使用するストレージ領域として、ブロックデバイスを提供します。ストレージはたとえばiSCSI接続のものなどが利用されます。

Glance(イメージサービス)

インスタンスの素になるファイルシステムのイメージを管理します。管理者などが作り込みをしたイメージを登録しておくことで、素早く必要な構成のインスタンスを起動できるようになります。

Swift(オブジェクトストレージ)

Cinderと異なり、こちらはインスタンスとは独立したオブジェクトストレージを提供します。類似するサービスとしてAmazon S3が挙げられます。オブジェクトストレージはHTTPSでアクセスすると格納されているファイルが返される、RESTful APIのサービスです。Webコンテンツの格納や、各種データのバックアップ等に利用されます。

Keystone(アイデンティティサービス)

OpenStackを構成する各コンポーネントに対する認証などを提供するサービスです。

Horizon(Webダッシュボード)

OpenStackの各種操作をWeb画面から行えるようにするサービスです。

以上、主なサービスを紹介しましたが、さらに多くのサービスが提供されていますので、一度公式サイトをチェックしてみてください。

https://www.openstack.org/software/project-navigator/openstack-components#openstack-services

OpenStackの活用方法

OpenStackは上記の通り、様々なコンポーネントが連動して動作する仕組みのため、あまり小規模なシステムでは管理コストの方が大きくなってしまいます。そのため、自身がサービス企業としてクラウドサービスを提供しているような会社や、マシンを何十台、何百台と動かすことが当たり前になっているような企業ユーザーが主な活用場所になります。

ただし、外部のクラウドサービスと同等の環境をオープンソースで構築できることから、どのような仕組みになっているのかを体験として学ぶのにも適した教材であるといえます。是非一度、OpenStackのインストールに挑戦してみてください。公式サイトにも、様々なOpenStackのデプロイメントツールが紹介されています。

https://www.openstack.org/software/project-navigator/deployment-tools


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

バックナンバー

第10回:クラウド利用の留意点

第9回:オンプレミスのクラウド環境

第8回:たくさんあるぞ!クラウドサービス

第7回:クラウド〜仮想化技術の活用系〜

第6回:コンテナ実行の代表格「Docker」とは

第5回:仮想化を実現するソフトウェア|KVM

第4回:仮想化を実現するソフトウェア|VirtualBox

第3回:第3のサーバー環境「コンテナ」

第2回:仮想化の種類と特徴

第1回:仮想化技術ってなんだろう?なぜ必要なの??

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