学習環境を用意する

【連載コラム:Linuxを学ぼう(3)】
サーバーを扱う上で必須と言える技術が「Linux」。今回のコラムでは手を動かしながらLinuxを学習するための環境づくりについて紹介します。

最終更新日:2023年09月15日

サーバーを管理する上で必須の技術「Linux」の学習の仕方を解説するこのコラムの3回目は、Linux学習をするための環境「学習環境」を準備の方法を解説します。


前回はLinuxを学ぶための流れを解説しました。

Linuxを学ぶには実際に手を動かしてやってみるということが重要になります。以前に比べて、仮想マシンやクラウドなどLinuxを動かす環境が多様化して選択しやすくなっているので、学習を進める際の障害は少なくなっているといえるでしょう。

今回は具体的に学習を進めるための環境作りで留意するべき点について解説します。

学習用マシンの準備

Linuxをどのような環境で動かすかに関わりなく、最低でも1台は作業用のマシンが必要になります。

もし仮想マシンを使うのであれば、この作業用マシンのCPUやメモリ、ストレージなどのリソースがある程度潤沢である必要も出てきます。

それぞれのリソースについての留意点は以下の通りです。

CPU

最近のCPUはマルチコア化し、クロック数も十分なものが多いので、よっぽどのことがなければ問題にはなりません。

ただし、少しずつですがインテルアーキテクチャではなく、ARMアーキテクチャのCPUを搭載したマシンが増えています。その場合、異なるアーキテクチャ用のLinuxを仮想マシンで動かすことができないので注意が必要です。

メモリ

仮想マシンまで動作させようとすると、仮想マシンに割り当てるメモリも余計に必要となります。

現状ではメモリ8GBのマシンも多いですが、できれば16GB、もし実務的にスマートフォンのアプリケーション開発等まで行うのであれば32GBは必要になります。ノートパソコンの場合、後からメモリ容量を変更できない場合もあるので、慎重に選ぶ必要があります。

ストレージ

単なる学習用にLinuxディストリビューションをインストールするだけであれば、使える容量が10GBから20GBほどあれば問題ないでしょう。性能が必要となるので、ハードディスクではなくSSDを使用しましょう。

学習用マシンのOS選び

学習用マシンのOSですが、一番使い慣れているものでよいでしょう。ノートパソコンであれば、Windows、あるいはmacOSということになると思います。

もし、古いパソコンを流用したり、パソコンを自作したりするような場合でOSが無い場合には、Linuxディストリビューションをデスクトップ用途でインストールするのも一つの手ではないでしょうか。仮想マシンはLinux上でも動作するので、「Linux on Linux」で学習環境を構築することもできます。あれこれ設定を行うので、パソコンにインストールしたLinux自体はあまり弄らないようにした方が賢明です。

周辺機器もきちんと揃えたい

Linuxを動作させることと直接関係ありませんが、周辺機器もきちんと揃えていくことも少し考えてみてください。

キーボード

Linuxをコマンドラインで操作する場合、一番使うのはキーボードです。入力しやすいキーボードを使うことで、作業効率も変わってきます。良いキーボードはあまり安くはありませんが、日常的に使うものですし、長く使えるので、できればしっかりと自分の好みにあったキーボードを選びたいものです。

ノートパソコンの場合でも、キーボードは外付けのものを使っている人も多いので、設置の仕方も含めて工夫するとよいでしょう。

マウス

キーボードに比べるとマウスはそこまで使うものでもありませんが、やはり使い勝手が重要になるので、使いやすいものを選びましょう。

モニター

たとえばWebブラウザなどで何かを調べながら仮想マシンを操作する、ということを行う場合、それなりの解像度のモニターが必要となります。最近では4K解像度のものも安くなってきているので、積極的に選びたいものです。

USBカメラやオーディオI/Fなど

ネットワークやサーバー構築には直接関係ありませんが、Linuxの学習も楽しくやりたいものですね。そういう意味では、USBカメラを接続してオンライン会議ツールを動かしてみたり、ミュージックプレイヤーで音楽を再生してみるのも学習の寄り道として楽しいのではないでしょうか。

WindowsやmacOSで使用できるものがそのままLinuxでも使えるので、是非準備して試してみてください。

まとめ

今回は学習用ハードウェア選びについて解説しました。

仮想マシンを気軽に使えるようになったため、ハードウェア選びはかなり楽になりました。最も重要になるのがメモリ容量なので、まずは自分が使えるマシンのメモリ容量の確認。そして増設可能かどうかをチェックしてみるとよいのではないでしょうか。

次回は学習のためのネットワーク環境について解説します。


筆者紹介
宮原 徹 氏

宮原 徹 氏

株式会社びぎねっと

Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書などの監修者。LinuCレベル1/レベル2 Version10.0の改訂作業にも協力。また、幅広いOSSに関する情報提供の場として「オープンソースカンファレンス(OSC)」の企画運営も。

バックナンバー

第20回:Webサーバーを動かす

第19回:Webサーバーをインストールする

第18回:典型的なネットワークトラブルについて理解する

第17回:ネットワークの状態確認を理解する

第16回:アクセス権に関わる様々なことについて理解を深める

第15回:ファイルのアクセス権を理解する

第14回:パッケージをアップデートする dnf編

第13回:PAMを理解する

第12回:グループとは何かを理解する

第11回:sudoコマンドについて理解する

第10回:suコマンドで特権ユーザーになる

第9回:ユーザー権限を理解する

第8回:SSHによるリモートログイン

第7回:Linuxインストール後にやること

第6回:Linuxイストールの実際

第5回:Linuxインストールの準備

第4回:Linux学習のためのネットワーク環境

第3回:学習環境を用意する

第2回:Linuxをどう学ぶのか

第1回:Linuxを学ぼう

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