LinuCレベル2 202試験の例題と解説
2.10.1Postfixの設定と管理
LinuC 202試験の試験範囲から「2.10.1 Postfixの設定と管理」についての例題を解いてみます。
例題
/etc/aliases に以下の設定があり、
linuc_ml: user01, members
members: :include:/etc/postfix/members
test_ml: user02@mylinuc.example
/etc/postfix/members ファイルに以下の設定がされているとします。
user03, user04
また、ローカルシステム(ドメイン名:mylinuc.example)内に、ユーザ user01、user02、user03、user04がすべて存在するとします。
この状況でlinuc_ml@mylinuc.example宛てのメールを受信したときに、最終的にメールが配送されるユーザの組み合わせは以下のうちどれですか?
- user01 と members
- user02
- user03 と user04
- user01 と user03 と user04
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
答えは「4.」です。
/etc/aliases ファイルは、sendmailやpostfixが使用する、ユーザIDの別名を記述します。このファイルで定義された別名に送られてきたメールを、指定の宛先に転送することができます。
aliasesファイルの記述形式は以下の通りです。
<別名>: <転送先1>, [転送先2], [転送先3], ...
この <転送先> に指定できるものについては、以下の種類があります。
- ローカルユーザ名
ローカルシステムに存在するユーザを指定することで、メールがそのユーザに転送されます。 - 別名
aliasesファイル内のほかの行で定義された別名に転送します。 - 電子メールアドレス
電子メールアドレスを指定することで、その電子メールアドレスへとメールが転送されます。 - ファイルの絶対パス
ローカルシステムのファイルを絶対パスで指定することで、そのファイルにメールデータの内容が追記されていきます。 - コマンド
「|」(パイプ)の後に続けてコマンドを指定することで、メールデータをそのコマンドに処理させることができます。 - インクルードファイル
:include:」のあとに絶対パスを指定することで、そのファイルに記述された転送先がインクルードされます。
選択肢を一つずつ見ていきましょう。
1. user01 と members
誤りです。linuc_ml@mylinuc.example宛てに送られたメールは、別名「linuc_ml」の転送先設定に従ってメールを転送します。その結果、ローカルユーザuser01 はメールを受信しますが、membersはほかの行に設定された別名であるため、membersでさらに指定された転送先へメールが配送されます。
2. user02
誤りです。user02にメールが転送されるケースは、設問の設定によれば、test_ml@mylinuc.example宛てにメールを送信した場合です。
3. user03 と user04
誤りです。linuc_ml@mylinuc.example宛てに送られたメールは、別名「linuc_ml」の転送先設定に従い、ローカルユーザuser01 と、/etc/postfix/membersファイルに記述された転送先、すなわち、「user03 と user04」へメールが配送されます。そのため最終的な配送先は、user01 と user03 と user04であるため、選択肢3.は誤りです。
4. user01 と user03 と user04
正解です。選択肢3.の解説で述べた通りです。
/etc/aliases の記述形式について学習し、理解しておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 後藤 慎司