LinuCレベル2 Version 4.5 201試験の例題と解説

200.1 リソースの使用率の測定とトラブルシューティング

今回は、LinuC 201試験の試験範囲から「200.1 リソースの使用率の測定とトラブルシューティング」についての例題を解いてみます。

■トピックの概要
このトピックの内容は以下の通りです。

<200.1 リソースの使用率の測定とトラブルシューティング>
重要度 6

<説明>
ハードウェアリソースとネットワーク帯域幅の使用率を測定でき、リソースの問題を解決できること。

<主要な知識範囲>
* CPU使用率を測定する
* メモリ使用量を測定する
* ディスクI/Oを測定する
* ネットワークI/Oを測定する
* ファイアウォール機能とルーティングスループットを測定する
* クライアントの帯域幅使用率をマップする
* システムトラブルの徴候と発生しそうな問題の突き合わせ / 関連付けを行う
* ネットワーキングを含むシステムにおいてスループットを推定し、ボトルネックを見つけ出す

<重要なファイル、用語、ユーティリティ>
* iostat
* iotop
* vmstat
* netstat
* ss
* iptraf
* pstree, ps
* w
* lsof
* top
* htop
* uptime
* sar
* swap
* processes blocked on I/O
* blocks in
* blocks out

■例題
sarコマンドを使うことで得られる情報として正しいものを2つ答えてください。

1. sar -q を実行することで、CPUのロードアベレージの推移を確認できる。
2. sar -W を実行することで、メモリの使用率の推移を確認できる。
3. sar -u を実行することで、CPUの使用率やI/O待ち率の推移を確認できる。
4. sar -r を実行することで、スワップイン/スワップアウトのページ数の推移を確認できる。

※この例題は実際の試験問題とは異なります。


解答と解説

答えは1 と 3 です。

それぞれの選択肢を見ていきましょう。

1. sar -q を実行することで、CPUのロードアベレージの推移を確認できる。
正しいです。
以下は、sar -q を実行すると表示される項目の説明です。

 runq-sz  実行キューの長さ(実行待ちプロセス数)
 plist-sz  タスクリストのタスク数
 ldavg-1  過去1分間のシステムのロードアベレージ
 ldavg-5  過去5分間のシステムのロードアベレージ
 ldavg-15  過去15分間のシステムのロードアベレージ
 blocked  I/O待ちのためブロックされているタスクの数

なお、ロードアベレージは実行可能・実行中または割り込み不可の状態のタスクの平均の数です。

2. sar -W を実行することで、メモリの使用率の推移を確認できる。
間違いです。sar -W で確認できるのは、スワップイン/スワップアウトのページ数の推移です。
メモリの使用率や推移を確認するには、「sar -r」コマンドを実行します。
以下は、sar -r を実行すると表示される項目の説明です。

 kbmemfree 物理メモリの空き容量(キロバイト)
 kbmemused 使用中の物理メモリ(キロバイト)
 %memused  物理メモリ使用率
 kbbuffers カーネル内のバッファとして使用される物理メモリ(キロバイト)
 kbcached  カーネル内でキャッシュ用メモリとして使用されている物理メモリ(キロバイト)
 kbcommit  現在のワークロードに必要なメモリ(キロバイト)
 %commit  現在のワークロードに必要なメモリの割合(RAM +スワップ)
 kbactive  最近使用され、通常は必要でない限り再利用されないメモリ(キロバイト)
 kbinact  最近使用されておらず、他の目的のために再利用可能なメモリ(キロバイト)
 kbdirty  ディスクに書き戻されるのを待っているメモリー(キロバイト)

3. sar -u を実行することで、CPUの使用率やI/O待ち率の推移を確認できる。
正しいです。
以下は、sar -u を実行すると表示される項目の説明です。

 %user   ユーザーレベル(アプリケーション)で実行中に発生したCPU使用率の割合
 %nice   優先度の高いユーザーレベルで実行中に発生したCPU使用率の割合
 %system  システム・レベル(カーネル)で実行中に発生したCPU使用率の割合
 %iowait  システムがディスクI/O要求を処理している間に、1つ以上のCPUがアイドル状態だった時間の割合
 %steal   ハイパーバイザーが別の仮想プロセッサーを処理している間に、
       仮想CPUまたはCPUが不本意に待機するのに費やした時間の割合
 %idle   CPUまたはCPUがアイドル状態で、システムに未処理のディスクI/O要求がなかった時間の割合

4. sar -r を実行することで、スワップイン/スワップアウトのサイズの推移を確認できる。
間違いです。sar -r で確認できるのは、メモリの使用率の推移です。
スワップイン/スワップアウトのサイズの推移を確認するには、「sar -W」コマンドを実行します。
以下は、sar -W を実行すると表示される項目の説明です。

 pswpin/s  1秒間にスワップインしているページ数
 pswpout/s 1秒間にスワップアウトしているページ数

sar コマンドのオプションと出力内容の意味を把握しておきましょう。

■例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 後藤慎司

ページトップへ