LinuCレベル2 202試験の例題と解説
2.13.1高可用システムの実現方式
LinuCレベル2202試験の出題範囲から「2.13.1 高可用システムの実現方式」についての例題を解いてみます。
ここでは、高可用性を実現するためのシステムに関する用語を確認しておきましょう。
例題
用語の説明として正しくないものを一つ選択してください。
- 「HAクラスタ」とは、アクティブ系とスタンバイ系のノードから構成されるシステムのことである。
- 「フェイルオーバー」とは、サービスを提供しているマシンが停止した場合に、待機している予備のマシンでサービスを引き継ぐ処理のことである。
- 「Pacemaker」とは、単独でHAクラスタを稼働させることのできるクラスタリングソフトウェアである。
- 「ロードバランシング」とは、複数台のサーバー間で負荷を分散することである。
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「3. 「Pacemaker」とは、単独でHAクラスタを稼働させることのできるクラスタリングソフトウェアである。」です。
近年、DX化などの取り組みとしてIT技術を取り入れる企業が増えた一方で、システム障害やメンテナンスなどによって予期せずサービスが停止してしまい、社会的問題となったニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。
システム障害発生によるリスクを最小限にするためには、バックアップや冗長化などの対策を行い、可用性を向上させることが非常に重要です。
例題に出てくる用語は、高可用性を実現するためのシステムを構成する際に欠かせない用語となっています。
それでは、選択肢を見ていきます。
1. 「HAクラスタ」とは、アクティブ系とスタンバイ系のノードから構成されるシステムのことである。
正しい説明です。
HAとは、High Availabilityの略で、「高可用性」という意味を持ちます。
HAクラスタ構成のシステムでは、サービスを提供しているマシンが停止した場合に、予備のマシンに切り替えることで、サービスを提供し続けることができるようになります。
2. 「フェイルオーバー」とは、サービスを提供しているマシンが停止した場合に、待機している予備のマシンでサービスを引き継ぐ処理のことである。
正しい説明です。
HAクラスタのように多重化されたシステムで、アクティブ系で障害が発生した場合に、スタンバイ系にフェイルオーバーすることで、ダウンタイムを極力少なくし、サービスを継続できるようになります。
3. 「Pacemaker」とは、単独でHAクラスタを稼働させることのできるクラスタリングソフトウェアである。
間違った説明です。
Pacemakerは、高可用性クラスタを構成するためのクラスタリングソフトウェアの一つで、多重化されたシステムのノード間で死活監視を行います。
Pacemakerは、以前から開発されていたHeartBeatというソフトウェアのリソース管理機能だけを独立させたもので、Pacemaker単独ではHAクラスタを稼働させることはできず、Corosyncなどのクラスタを制御するソフトウェアと組み合わせて動作させる必要があります。
今回は、間違った説明を答える問題のため、3が正解となります。
4. 「ロードバランシング」とは、複数台のサーバー間で負荷を分散することである。
正しい説明です。
企業のホームページから何かを予約しようとした際、予約開始日にWEBアクセスが集中していて、予約ボタンを押してもページが変わらなかったり、ページがホワイトアウトしてしまった経験のある人もいるかもしれません。
こうした事態を防ぐために、サーバー負荷の監視を行い、負荷の少ないサーバーノードにアクセスを振り分けるなど、複数のサーバー間で負荷を分散するための工夫を行う必要があります。これをロードバランシング、といいます。
このように、高可用性のシステムを実現するためには、HAシステム構成を考えたり、負荷分散するための工夫を行う必要があります。
用語と意味を正しく理解し、システム構成を考える際に使えるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本 知里