LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.07.3基本的なネットワークの問題解決
LinuC レベル1 102試験の出題範囲から「1.07.3 基本的なネットワークの問題解決」についての例題を解いてみます。
ここでは、ネットワークに関する問題の原因を調査方法について確認しておきましょう。
例題
目的のホストに到達可能かどうかを確認するためのコマンドとして適切なものを一つ選択してください。
- ping
- netstat
- ss
- host
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「1. ping」です。
pingコマンドは、指定したホストにICMPプロトコルのECHO_REQUESTパケットを送信し、そのホストからECHO_REPLYパケットが返ってくるかどうかでホストへ到達できるかを確認することができます。
以下は ok.example.com に対し、pingコマンドを実行した場合の例です。
$ ping ok.example.com
PING ok.example.com (10.1.4.168) 56(84) bytes of data.
64 bytes from ok.example.com (10.1.4.168): icmp_seq=1 ttl=64 time=0.806 ms
64 bytes from ok.example.com (10.1.4.168): icmp_seq=2 ttl=64 time=0.360 ms
64 bytes from ok.example.com (10.1.4.168): icmp_seq=3 ttl=64 time=0.454 ms
^C
--- ok.example.com ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2079ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.360/0.540/0.806/0.191 ms
出力結果の見方は以下の通りです。
出力結果1行目
PING ok.example.com (10.1.4.168) 56(84) bytes of data.
ok.example.com | : | 宛先として指定したホスト |
(10.1.4.168) | : | 宛先として指定したホストのIPアドレス |
56(84) bytes of data. | : | 送信するパケットサイズ 86bytes=56bytes(データ)+8bytes(ICMPヘッダ)+20bytes(TCPヘッダ) |
出力結果1〜4行目
64 bytes from ok.example.com (10.1.4.168): icmp_seq=1 ttl=64 time=0.806 ms
64 bytes | : | 送信されたICMPのデータサイズ(TCPヘッダの20bytes分を除いたサイズ) |
10.1.4.168 | : | 接続確認先のIPアドレス |
icmp_seq=1 | : | icmpパケットデータの何番目のデータ送信かを表示(pingを送信した回数) |
ttl=64 | : | TTLの数値 |
time=0.806 ms | : | パケットを送信してから帰ってくるまでの時間 |
出力結果7行目
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2079ms
3 packets transmitted | : | pingを送信した回数 |
3 received | : | pingを送信して宛先ホストから正常にパケットが戻ってきた回数 |
0% packet loss | : | 送信パケットに対するパケットロス(通信失敗)の割合 |
time 2079ms | : | pingを開始してから終了するまでに掛かった時間 |
出力結果8行目
rtt min/avg/max/mdev = 0.360/0.540/0.806/0.191 ms
応答時間統計。それぞれ、最速値(min)、最遅値(max)、平均値(ave)、通信速度の偏差(mdev)を表示。
目的のホストに到達できない場合は、Distination Host Unreachableと表示され、相手先が見つからずに100%のパケットが破棄されます。
以下は、ホストに到達できない場合の実行例です。
$ ping ng.example.com
PING ng.example.com (10.1.3.111) 56(84) bytes of data.
From test.example.com (10.1.4.79) icmp_seq=1 Destination Host Unreachable
From test.example.com (10.1.4.79) icmp_seq=2 Destination Host Unreachable
From test.example.com (10.1.4.79) icmp_seq=3 Destination Host Unreachable
^C
--- ng.example.com ping statistics ---
5 packets transmitted, 0 received, +3 errors, 100% packet loss, time 4123ms
pipe 3
それでは、例題の選択肢について解説します。
1.ping
正解です。
前述の通り、pingコマンドを用いることで、指定したホストへ到達できるかを確認することができます。
よって正解となります。
2.netstat
不正解です。
netstatコマンドは、ネットワークシステムに関する情報を表示するコマンドで、ネットワーク接続やルーティングテーブル、インタフェース統計情報などを表示することができます。
指定したホストへ到達できるかを確認することはできないため不正解です。
3.ss
不正解です。
ssコマンドは、netstatコマンドの代わりとして利用できるコマンドで、netstatと同様にネットワークシステムに関する情報を表示することができます。
指定したホストへ到達できるかを確認することはできないため不正解です。
4.host
不正解です。
hostコマンドは、DNSを使って指定したホスト名やIPアドレスを検索するためのコマンドです。指定したホストへ到達できるかを確認することはできないため不正解です。
ネットワーク接続に問題が発生した場合、原因がどこにあるのか調査できるよう、今回紹介したコマンドを使えるようにしておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 橋本知里