LinuCレベル1 102試験の例題と解説
1.09.1システム時刻の管理
LinuCレベル1 102試験の出題範囲から「1.09.1 システム時刻の管理」についての例題を解いてみます。
ここでは、timedatectlコマンドについて確認しておきましょう。
例題
以下の中から、timedatectlのサブコマンドとして存在しないものを1つ選択してください。
- status
- set-clock
- set-time
- set-timezone
※この例題は実際の試験問題とは異なります。
解答と解説
正解は、「2. set-clock」です。
set-clockというサブコマンドは、timedatectlには存在しません。
その他の選択肢のサブコマンドは、全て存在するため問題の回答としては不正解となります。
timedatectlは、システムの時刻の設定や確認を行うためのコマンドです。timedatectlの書式は以下の通りです。
timedatectl [OPTIONS...] {SUBCOMMAND}
timedatectlはサブコマンドを指定することで、時刻に関する様々な操作を行うことができます。
問題の選択肢と合わせてサブコマンドについて解説します。
1.status
ネットワーク時刻同期、システムクロック、RTC(リアルタイムクロック)の現在の設定を表示します。
実行例は以下の通りです。
$ timedatectl status
Local time: -08-31 17:09:54 JST
Universal time: 木 2023-08-31 08:09:54 UTC
RTC time: 木 2023-08-31 08:09:54
Time zone: Asia/Tokyo (JST, +0900)
System clock synchronized: yes
NTP service: active
RTC in local TZ: no
表示される項目の説明は以下の通りです。
Local time | : | システムの現在の時刻 |
Universal time | : | UTC(協定世界時) |
RTC time | : | RTC(リアルタイムクロック)、ハードウェアが保持している時刻 |
Time zone | : | システムで利用しているタイムゾーン |
System clock synchronized | : | 時刻同期サービスとの同期状態 |
NTP service | : | NTP(ネットワークを利用した時刻同期)の有効状態 |
RTC in local TZ | : | RTCがローカルタイムを利用しているか |
UTCは世界的に定められた標準時刻のことを指します。一方で地域毎の標準時刻も存在します。日本の場合、日本標準時(JST)が一般的です。JSTの場合、UTCから+9時間のずれがあります。
また、同一の標準時を利用する地域は、タイムゾーンとしてとしてまとめられています。上記の実行例では「Asia/Tokyo (JST, +0900)」とあり、Asia/Tokyoが日本標準時のタイムゾーンを表しています。
2.set-clock
前述の通り、set-clockというサブコマンドはtimedatectlには存在しません。
3.set-time
システムの時刻を変更するために利用します。
次は、2023年9月1日10時20分30秒に設定する例です。
# timedatectl set-time "2023-09-01 10:20:30"
4.set-timezone
システムで利用しているタイムゾーンを変更することができます。
タイムゾーンをAsia/Tokyoに変更する場合、以下のようにコマンドを実行します。
# timedatectl set-timezone "Asia/Tokyo"
また、list-timezoneサブコマンドを利用することで、set-timezoneサブコマンドで指定できるタイムゾーンを一覧表示することができます。実行例は以下の通りです。
$ timedatectl list-timezones
Africa/Abidjan
Africa/Accra
Africa/Addis_Ababa
Africa/Algiers
Africa/Asmara
Africa/Asmera
Africa/Bamako
:
(中略)
:
US/Pacific
US/Samoa
UTC
Universal
W-SU
WET
Zulu
今回紹介した内容以外にも、timedatectlには多くの機能が存在します。
システムの時刻は、ファイルの作成時刻やデータの保存日時など、重要な箇所に影響を及ぼします。システムが正常動作するために必要な設定のため、正しく管理できるように理解しておきましょう。
例題作成者
株式会社デージーネット OSS研究室 宮地智哉