新潟情報専門学校
教科書の手順を見ながら進めていけるので
演習で習った後は、学生自身で何度も復習が可能
LPI-Japanが、Linux/OSS技術者の教育・育成に取り組む企業や教育機関に利用していただくために、無償でダウンロード公開(*製本版は有償での提供)している「Linux標準教科書」シリーズ。初心者がLinuxの基礎を学ぶのに最適な内容として、多くの専門学校でも採用いただいています。今回は同シリーズの「Linuxサーバー構築標準教科書」を演習で活用されている、新潟情報専門学校(新潟県)にお伺いして、同教科書を導入されたねらいや活用の成果などをお聞きしました。
採用の決め手は「Linuxサーバーの構築手順が、明確に説明されている点」
「新潟情報専門学校は、全国に専門学校を展開する電子開発学園グループの一員です。その中で新潟情報専門学校独自のカリキュラムとして設けているのが、この『Linuxサーバー構築標準教科書』を使ったLinuxサーバー構築の演習なのです」と、新潟情報専門学校 教務部 教務部長の六車傑先生は語ります。
これまで同校では、Linuxサーバー構築の学習には、市販のLinux入門書を使用していました。しかしその教材は、辞書的な使い方を想定した構成だったため、体系的に学習を進めるのが難しく、先生が自分たちで副教材や資料を作成しなくてはならないといった課題がありました。そこで同校では、「この入門書が販売終了になったのをきっかけに、新しい教材を探すことにした」と、副教務部長の丸山智久先生は振り返ります。
丸山先生「あちらこちらの情報を集めていたところ、たまたまLPI-JapanのWebサイトで、『Linuxサーバー構築標準教科書』のことを知りました。直ぐにダウンロードして内容を精査し、他の先生方にも意見を聞くなどして採用を決めたのです」
採用の決め手は、いくつかありました。最大の決め手は、Linuxのインストールから、DNSサーバーやWebサーバー、メールサーバーの構築手順までが、明確に順序立てて説明されていることでした。このため「授業で先生自身が手順を説明する際にも、これまで以上に効率よく進めていけると考えた」と丸山先生は言います。
丸山先生「教科書に書かれた手順を見ながら進めていけば構築できるので、授業でひととおり説明を聞いた後は、学生自身で帰宅後に試してみることもできる。このように繰り返しおぼえるまで復習できる点も、重要な評価ポイントになりました」
Linuxサーバー構築の演習科目は、最終学年で履修することになるため、学生はサーバー構築に関する基本的な知識をマスターしています。このため授業の進め方としては、1回目は先生の指導のもと、テキストどおりの手順でインストールからサーバー構築までを体験し、2回目以降は学生同士でグループを組み、役割分担によるロールプレイング的な反復学習を実施します。ほとんどのクラスで、3回の繰り返し学習を体験するという「実践重視型」のカリキュラムが特徴です。
丸山先生「学生がお互いにそれぞれ講師役、受講生役を演じていく中で、自然にサーバー構築を体験していけるようになっています。これを3回も繰り返すと、Linuxの設定・操作などちょっと難しめな部分が苦手な学生も、テキストを参照しながら、ちゃんと自分で設定や構築ができるようになりますね」
Linuxを学ぶことは、将来の先端技術に備えた基礎体力作りでもある
そもそも新潟情報専門学校が、独自のカリキュラムとしてLinuxサーバー構築の演習を設けていることには、どのような狙いがあるのでしょうか。丸山先生は、Linuxがまさに今の時代の要請に応えるプラットフォームである点を挙げます。
事実、昨今のクラウドコンピューティングをはじめとするインターネット技術は、ますますその活用範囲を広げています。そうした中で、例えばクラウドシステムなどのOSとしてLinuxが使われている場面は、もはや数えきれないほどです。
丸山先生「この技術トレンドは今後もさらに勢いを増すことが確実ですし、ここ数年でサーバー/ネットワークエンジニアの求人も急速に増えています。そうした世の中の技術動向を見ても、サーバー用OSとしてLinuxを学習し、その分野の技術を身につけることの意義は非常に大きくなっていると感じています」
もちろん学生側も、クラウドや仮想化、あるいはAIなどの最新技術に対する学習意欲は日増しに高まっています。しかしそれらの先端技術を理解するには、基本を確実にマスターしておかなくてはなりません。
特に上に挙げたような話題のテクノロジーは、どれもその根本にLinuxが関わっているものばかりです。「つまりLinuxを学習する意義というのは、現在の技術を理解できるようになると同時に、この先きっと現れてくる新しい技術に対応するための基礎体力を養うことにもつながるのです」と、丸山先生は強調します。
学生が自分で教科書を見ながら正解にたどり着ける点が意欲につながる
新潟情報専門学校では現在、大学併修科 情報システム専攻4年生・情報システム専門科情報システム専攻3年生・マルチメディア専門科3年生の学生が、「Linuxサーバー構築標準教科書」を使用しています。演習の指導を担当されている伊藤海輝先生は、実際にこの教科書を使ってみた感想を、「教える側としては、サーバー構築の手順がかなり丁寧に記述されているのが嬉しいですね」と語ります。
伊藤先生「学生が自分で教科書を見ながら作業を進めていくのですが、失敗すれば当然、通信はできません。そこを頑張って、ついに通信に成功したとたん、ぱっと表情が明るくなるのが印象に残っています。学生が自分で試行錯誤しながら正解にたどり着けるので、努力の成果が嬉しさにつながる点が、次への意欲にもつながると思います」
伊藤先生が言われる「手順が丁寧に記述されている」というのは、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか。その1つの例としては、「Linuxのコマンドを省略せずに、1つひとつ正確に記述してある」点が挙げられるといいます。このため学生は、最初は意味が分からなくとも、教科書のとおりに進めていけば確実に動作が確認でき、それを繰り返すうちに、自分の知識として取り込むことができるのです。
伊藤先生自身は指導の際に、演習の時間が単なるコマンドの入力で終わらないよう、その背景となる知識を詳しく説明することに力を入れていると語ります。
伊藤先生「例えばWebサイトを構築する際も、手順だけでなくその仕組みからきちんと説明をするように心がけています。またその仕組みの説明の中ではいろいろなIT用語が出てきますが、この教科書はそうした仕組みや用語についての説明も漏れなく書かれているのが、講師としては説明しやすいと感じました」
手厚い就職支援体制で、学生一人ひとりの学びと成長を熱くサポート
ここまでご紹介したように、新潟情報専門学校が「最新の技術トレンドへの対応」、そして「実践的な技術を習得したエンジニア育成」を重視する背景には、同校が卒業生の進路やキャリアパスまでを見通した指導を行っていることがあります。
同校の公式Webサイトに、「新潟県内ナンバー1。全国屈指の国家試験合格実績」「就職決定率100%」といった実績が掲載されていることからも、同校が卒業生の就職に非常に大きな力を注いでいることが伺われます。
学生一人ひとりの学習進捗や進路などの希望に寄り添った、きめ細かな指導を行うために、同校ではクラス担任制を敷いているのも、専門学校としてはユニークな特徴だと六車先生は語ります。
六車先生「もう1つは、就職指導部というのがあって、学生個人に対して就職の希望や要望に即した手厚いサポートを実施しています。例えば、就職活動の際の履歴書やエントリーシートの添削なども、クラス担任がじっくり行っています。またクラス担任以外にもさまざまな経歴や知識を持った職員がいますので、彼らが面接練習の指導をすることもしばしばです」
最後に六車先生は、これからエンジニアを目指して専門学校で学んでみようという若い方々に、「IT業界で将来にわたって働いていくためには、実践的なITスキルの習得はもちろんですが、行動力や問題解決能力を自分の中に育むための環境も必要です」とアドバイスされます。
六車先生「そのためにも、専門学校に入学したら、最新の技術やトレンドに触れるだけで満足せずに、今回ご紹介したグループワークやグループ学習などを体験してください。そこからコミュニケーション能力や、課題を見つけて解決に導くための思考力が育っていくはずです。今の失敗を恐れずに、ぜひ未来に向けてチャレンジすることをお勧めします」
学校紹介
「時代に応えるIT人材育成」の理念のもと、独自のカリキュラムを展開
新潟情報専門学校
新潟県新潟市中央区弁天2-3-13
https://www.nics.ac.jp/
新潟情報専門学校は、電子開発学園の一員として1970年に設立。新潟県で最初に開校したIT系専門学校として半世紀を超える歴史を持ち、資格合格実績や就職決定率でもきわめて高い実績を誇っています。
電子開発学園は、「IT人材育成に関する国策の推進役を担うとともに、IT企業が求める実践的なIT人材を育成することにより、情報社会の進展に寄与する」を建学の理念に掲げ、北海道から九州まで全国に10校の専門学校と北海道情報大学を展開しています。
さらに、株式会社SCCや宇宙技術開発株式会社といった企業や、北海道情報技術研究所などの研究機関とともに、「産・学・研」が一体となった総合的な情報サービス産業グループ(eDCグループ)を形成しています。